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ついに放出の処理水をおさらい トリチウムとは? 流して大丈夫?


 東京電力福島第1原発の処理水について、政府は22日午前、首相官邸で関係閣僚会議を開き、24日に海洋放出を始める日程を最終決定した。そもそも「処理水」とは?「トリチウム」とは?海に流して大丈夫なのか?

「汚染水」との違い

 原子炉がある建物内には、溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)が残っている。今も熱を持っているので水で冷やし続けなければならないが、核燃料に触れた水は高濃度の放射性物質を含んでいる。一方、建物の壁の割れ目などからは毎日、地下水や雨水が入り込んでいる。それが核燃料を冷やした水と混じると、64種類の放射性物質を含む高濃度の「汚染水」になる。

 敷地内には、多核種除去設備「ALPS(アルプス)」と呼ばれる装置がある。装置の中にはフィルターのようなものがあり、ほとんどの放射性物質の濃度を国の基準値未満に下げたものが「処理水」だ。

 処理水などはすべて敷地内のタンクにためており、すでに1000基以上ある。計約137万トンの容量のうち、6月末時点で約98%が埋まり、ほぼ満杯だ。これ以上のタンクの増設は難しく、今後の廃炉作業に支障が出ると東電はみている。処理水の放出を急ぐのはこのためだ。

トリチウムって?

 放射性物質のトリチウムは水素の仲間だ。化学的な性質も水素とほぼ同じで、自然環境の中ではほとんどが酸素と結びついて普通の水と混じっており、除去が難しい。

 ただ、トリチウムは「ベータ線」と呼ばれる放射線を出す。その力は弱く、紙1枚で遮(さえぎ)ることができる。空気中では約5ミリ、水中では約0.006ミリしか進めない。

海に流して大丈夫?

 このため、放出前に処理水をさらに海水で薄めてから放出する。

 国の基準では、トリチウム水1リットル当たりの濃度が6万ベクレルを下回らなければならない。なぜ6万ベクレルか。この濃度のトリチウム水を生まれてから70歳になるまで毎日約2リットルずつ飲み続けても、被ばく線量が1ミリシーベルトに達しないからだ。1ミリシーベルトは、国際放射線防護委員会(ICRP)が許容している1年間の被ばく線量だ。

 しかし、海に流すと風評が懸念されるため、東電は国の基準の40分の1(1500ベクレル)未満になるよう大量の海水で薄めてから海に流す。経済産業省によると、世界保健機関(WHO)の飲料水のガイドライン(1万ベクレル)よりも低いレベルだ

トリチウム放出は福島第1原発だけ?

 世界の原子力施設でも、トリチウムは海や河川に放出されている。カナダや中国で使われている重水炉や、使用済み核燃料の再処理施設では、発生するトリチウムの量が桁違いに多い。第1原発の年間放出量は22兆ベクレル未満だが、中国の泰山第3原発では143兆ベクレル、フランスのラアーグ再処理施設では1京ベクレル(京は兆の1万倍)に上る。日本に建設中の日本原燃再処理工場(青森県六ケ所村)は年間上限が9700兆ベクレルで、第1原発の400倍以上だ。ただ、第1原発の水は直接燃料デブリに触れており、発生原因が他の施設とは異なる。

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