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不成立ばかりの万博協会入札、ようやく全落札 工費69.5億円増


 2025年大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会は9日、放送作家の小山薫堂氏が手がけるパビリオンについて、3回目の入札の結果、大成建設・隈研吾建築都市設計事務所が約12億6000万円で落札したと発表した。協会が発注した建設工事で、入札が不成立となった10件はいずれも入札をやり直し、今回で全て成立した。一方、入札のやり直しで予定価格が引き上げられた結果、落札価格と当初の予定価格を比べると、10件で計約69億5000万円の増額となった。

 1回目の入札が不成立となった10件は、外国からの賓客を迎える「迎賓館」▽メイン会場の一つ「大催事場」や「小催事場」▽映画監督の河瀬直美氏ら著名人がプロデュースする「テーマ館」6施設――など。再入札ではデザインや設計を変更するなどし、いずれも予定価格を引き上げた。落札価格と最初の予定価格との差額が最も大きかったのは大催事場だ。予定価格は約47億6000万円だったが、3回目の入札で約1・5倍の約71億1000万円で落札、約23億5000万円上振れした。

 会場建設費の総額は1850億円で、他にインフラ整備や大屋根などのほか、海外パビリオンのうち協会が建設して参加国・地域に貸し出す「タイプB」「タイプC」などが含まれる。国、大阪府・市、経済団体が3等分で負担する。当初は1250億円だったが、暑さ対策などを理由に20年12月、約1・5倍の1850億円に膨らんだ。

 ただ、テーマ館については会場建設費から拠出する金額に上限を設けており、関係者によると1館当たり約7億円とされる。それを上回った場合はプロデューサー自身が企業や個人から募った協賛金で賄うため、一連の入札のやり直しで膨らんだ計約16億3000万円は会場建設費に影響しないという。

 この日、大阪市内で記者会見した協会の藁田博行・整備局長は「1850億円の枠内で賄う主要な工事はこれで最後だ。整備局としてのミッションはクリアした」と述べた。物価上昇などを見込んで1割程度余裕を持った予算計画を立てていたため、増額に対応できたという。

 他に会場建設費を圧迫する要因としては、資材の高騰に伴って受注者側が契約金額の見直しを請求できる「スライド条項」がある。会場基盤整備工事の5件で適用され、計約9億円が増額された。だが、協会は「資材の高騰は頭打ち傾向にある」として今後は大きな影響はないとみている。さらに休憩所やイベント用の屋外ステージなど十数件の工事発注を予定しているが、金額の上限をあらかじめ決めているため、金額が膨らむ恐れは低いという。

 一方、落札率が高くなる入札方法は課題も残した。公共事業の入札では一般的に予定価格を非公表とすることが多いが、協会は1回目から予定価格を公開した。藁田整備局長はその意図を「万博はデザインが特殊なものが多く、価格をオープンにして参加意欲を引き出そうとした」と明かす。

 この結果、メディアアーティストの落合陽一氏が手がけるテーマ館は、2度目の入札で予定価格をわずかに2000円下回る11億8093万円で落札され、落札率は99・99%。1回目の入札で決まった施設整備工事は、予定価格より約200万円低い175億5500万円で落札され、落札率は99・98%だった。

 万博の入札を巡っては、政府が出展するパビリオン「日本館」の建設工事でも不成立となった。工事を発注した近畿地方整備局は、「再入札では25年4月の開幕に間に合わない」として随意契約に変更。予定価格を約10億円引き上げて計59社と交渉し、7月に業者を選定した。【石川将来】

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