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コロナ自宅療養中に57歳死亡 遺族が東京・板橋区を賠償提訴


 新型コロナウイルスに感染した東京都板橋区の男性が自宅療養中に死亡したのは、血中酸素飽和度が入院の必要なレベル(93%)より大幅に低い70%だと男性が区保健所に伝えたのに、保健所が医療機関に搬送するなどの対応を取らなかったためだとして、男性の遺族が12日、区に対して慰謝料など約6400万円の損害賠償を求め東京地裁に提訴した。

 提訴したのは2021年8月に亡くなった会社員、北端明さん(当時57歳)の妹、久保田純子さん(56)。区は詳細な経緯の説明に応じておらず、久保田さんは取材に対し「板橋区にはきちんと(事実関係を)話してほしい」と語った。

 訴状などによると、北端さんは1人暮らしで、糖尿病や高血圧の持病があった。北端さんがパルスオキシメーターで計測した酸素飽和度を電話で伝えたところ、保健所の職員は、北端さんは会話ができているとし、機械に不具合の可能性があると告げた。保健所は医師に往診を依頼するよう求めたが、北端さんは診察を受けられなかったとみられ、翌日亡くなっているのが見つかった。遺族側は、区が医療機関に搬送していれば死亡を回避できたと主張している。

 区は、北端さんが亡くなった経緯について取材に応じていない。【村田拓也】

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