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アジサイの色なぜ変わる? 土の酸性度だけじゃない未解明の謎


 青、紫、ピンク、赤……。梅雨を彩るアジサイの色は七変化。「移り気」の花言葉を持つこの植物の色はどのように決まっているのだろう。

 「最も影響が大きいのは土の酸性度。土の中に溶け出したアルミニウムを吸収する量の大小で色が変わる」。愛知工業大学の吉田久美教授(天然物化学)はそう解説する。

 アジサイは日本原産で、青い品種が祖先だ。赤系統はヨーロッパで品種改良される中で生まれたと考えられている。花びらのように見える部分は実はがく。吉田教授によると、がくの細胞内の「液胞」という組織にアントシアニンという色素が溶けている。ブルーベリーなどにも含まれ、赤や紫などのもとになる色素だ。これが土の中にあるアルミニウムと結合すると青色になる。

 アルミニウムは土が酸性だと水に溶け、根から吸収される。そのため酸性土壌でアジサイは青くなる。これに対し、中性やアルカリ性の土壌だとアルミニウムは水に溶けず根から吸収されにくい。だから、赤やピンク、紫色になる。

顕微鏡でのぞくと…「点描画」

 と、ここまではよく知られた話。不思議なのは、同じ場所に咲く同じ株でも微妙に色が異なる場合があることだ。さらに、がく単位で色が微妙に違う株もある。なぜか?

 吉田教授は2020年、アジサイの色が細胞ごとに異なることを突き止めた。紫色のがくの細胞を顕微鏡で調べると、隣り合う細胞でも色が違ったのだ。吉田教授は「点描画のようにいろんな色の点が集まり、全体の色を作っていた」と語る。

 遺伝子や生育環境がほぼ同じなのに細胞ごとに差が生じる理由は未解明という。液胞内のアルミニウムの量などの微妙な差が影響していると考えられるが、謎のままだ。

 余談だが、アジサイの色を人工的に変えることは可能だ。硫酸アルミニウムを含む水をまいて青くしたり、石灰を酸性土壌に混ぜて紫色にしたりできる。しかし、わずかな環境変化で色は移ろう。吉田教授は「きれいな色を狙って出すのは難しい」と話す。【岡田英】

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