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ミドリムシ使って次世代バイオ燃料 軽油と混合、北海道で走行実験


 ミドリムシで地球温暖化対策――。倉庫、港湾運送業の苫小牧埠頭(北海道苫小牧市)が5月、脱酸素、気候変動対策などに向けた取り組みとして、藻類のミドリムシを活用する次世代バイオディーゼル燃料(次世代BDF)を軽油と混合させ、燃料に使うトラックの運用を始めた。特別塗装の「緑色のトラック」が道内を走る。一般の軽油よりもコストがかかるため、「走行実験」からのスタートとなるが、環境に優しい道内初の取り組みとして注目を集めている。【平山公崇】

 今回の走行実験に用いられる燃料は、東京大発のバイオベンチャー企業のユーグレナ(東京都)の製造する次世代BDFである「サステオ」と軽油が混ざったもの。

 サステオは、ミドリムシ(学名・ユーグレナ)や使用済み食用油が原料の一部に使われている。軽油と分子構造が同じため、既存のディーゼルエンジンの燃料として、そのまま活用が可能だ。燃焼時に二酸化炭素(CO2)が発生する点はこれまでの燃料と何ら変わらない。ただし、ポイントは、ミドリムシが混ざっていることだ。ミドリムシは光合成するため、燃料化前の段階でCO2を吸収する。このため、クリーンな燃料と期待されている。サステオは氷点下30度でも凍結しないため、寒冷地での使用に強みもある。

 苫小牧埠頭がサステオの混じった燃料で動かすのは、グループ企業・大北運輸の配送トラック1台。燃料は軽油8、サステオ2の割合となる。一般的に流通していないことから、コストは今よりも数倍かかってしまうが、既存の軽油との置き換えによって、CO2を2割ほど削減できるという。

 17日に苫小牧市内であった走行実験の出発式。セレモニーに続いて会場に姿を現したのは、緑色に特別塗装されたトラックだった。苫小牧埠頭の海津尚夫社長は「北海道の物流基地である苫小牧からカーボンニュートラルの風潮をつくりたい」と強調。今後、実験車両や混合割合を増やす可能性を示した。

 ユーグレナは2010年からBDFの研究開発を開始。サステオの供給先は、トラックだけにとどまらず、バス、消防車などの車両、タグボート、フェリーなどの船舶、商業用ジェット機など……と陸海空すべてに広がっている。ユーグレナの尾立維博執行役員エネルギーカンパニー長は「2025年に向けて横浜市内のプラントを大型化し、26年から生産能力を現在の5000倍にする。コストダウンと大量供給が可能になる」と説明した。

バイオディーゼル燃料(BDF)

 藻類を含めた動植物などからつくられた持続可能な資源「バイオマス(Biomass)」を原料としたディーゼル(Diesel)エンジン用の燃料(Fuel)。菜種油、ひまわり油、大豆油を含む使用済み食用油や藻類のミドリムシなどからつくる液体燃料を指す。軽油や重油などの化石燃料の代替としてトラックや船舶、重機などに使用できる。植物が育つ過程で二酸化炭素(CO2)を吸収するため、温暖化対策として近年、注目を集めている。

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