特殊詐欺被害を防いだとして、埼玉県警春日部署は11日、埼玉りそな銀行春日部支店（春日部市）の職員、押方まゆみさん（55）、岡部千香子さん（51）、土屋新波さん（23）と、同市内の会社員、木村秀雄さん（74）に感謝状を贈った。
同署などによると、押方さんと岡部さんは4月11日、市内の70代男性が窓口で「息子に150万円貸さないとダメになった」と話したことから、特殊詐欺を疑い警察に通報した。男性は息子を名乗る人物から「会社の事務員を妊娠させてしまった。現金が必要だ」と電話があり、慌てて窓口に預金を下ろしに来ていたという。
岡部さんは「どうしても現金が必要だという点も不審に思った。正直に男性が事情を話してくれたから気付いた」と話した。押方さんは「以前、被害者が泣き崩れる姿を見て胸が痛んだ。今回は被害を防ぐことができて光栄だ」と語った。
土屋さんと木村さんは4月28日、市内の60代女性が携帯電話で通話しながら現金自動受払機（ATM）を操作しているのを不審に思い、通話を止めさせて警察に届け出た。女性は市職員を名乗る人物から「保険料の過払い金の還付がある」と電話を受けていた。隣のATMを利用していた木村さんが通話内容を不審に思い、「待った方がいいよ」と女性に声を掛け、職員の土屋さんに伝えた。土屋さんは「周囲のお客様が異変に気付いてくれなければ分からなかっただろう」と話した。
同署の春木裕成生活安全課長は「還付金がATMで戻ることはない。還付金とATMというワードがセットで出たら詐欺だと気付いてほしい」と話した。【田原拓郎】
