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長崎・原爆投下後の降雨をデジタル地図に 住民の証言調査から作製


 長崎県保険医協会は、長崎原爆投下後に住民が雨を経験した地点のデジタルマップを作製し、11日に同協会ウェブサイトで公開を始めた。長崎市などが1999年度に実施した証言調査で得られた129人の雨に関する証言を情報公開請求で入手し、インターネットの地図アプリ「グーグルマップ」上に詳細な地点を記載した。

 長崎の爆心地から12キロ以内で原爆に遭った被爆体験者らでつくる長崎被爆地域拡大協議会が11日に長崎市で開いた会合で同協会の本田孝也会長が報告した。国は「(原爆投下時に被爆体験者がいた地域で)降雨があった客観的記録がない」として被爆体験者を救済から除外しているが、本田会長は「地図は降雨の客観的な裏付けになる」としている。

 被爆地域拡大のため同市と周辺6町が99年度に実施した証言調査では、降雨の有無を直接聞く設問はなかったが、証言をした7025人のうち129人が自由記述欄に雨について記していた。同協会はその調査票を県と同市への情報公開請求で入手。調査票には回答者が降雨を経験した集落名や学校、神社、防空監視所などの場所が記載されており、地域住民への聞き取りなども踏まえて、デジタルマップを作製した。

 マップからは爆心地の東側を中心に、他の方角も含めて広範囲で住民が雨を経験していたことが分かる。降雨証言の地点をクリックすると、証言の詳細な内容も表示される。

 さらにマップでは、米原爆傷害調査委員会(ABCC)の1950年代の調査で爆心地に近いエリアを中心に約600人が「雨に遭遇した」と回答した地点▽原爆投下から間もない時期に米軍が残留放射線を測定した278地点――も示せるようにし、雨などの放射性降下物の広がりの全体像が分かるようにした。

 原爆投下後に降った雨を巡っては、国は広島原爆投下後に降った「黒い雨」体験者への被爆者健康手帳交付を2022年4月に始めた一方、同様に雨や灰などの放射性降下物の影響を受けた可能性がある長崎の被爆体験者は救済から除外したままだ。

 本田会長は「原爆投下後の長崎が放射性物質で広範囲に汚染されたことを把握してもらい、核兵器廃絶の一助にしてほしい」と話した。【樋口岳大、高橋広之】

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