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ウクライナの陰、放置されるアジアの人権 試されるG7の本気度


 主要7カ国首脳会議(G7サミット)が19~21日、広島市で開かれる。日本を拠点にそれぞれの分野で活躍する人たちに、各国の指導者に求めることを聞いた。【聞き手・森口沙織】

ミャンマー難民・アウンミャッウィンさん

 今回の主要7カ国首脳会議(G7サミット)は、何よりも「アジアの平和」の実現のきっかけになってほしいと思います。日本はリーダーシップを発揮して、G7のリーダーに、ミャンマーや台湾などアジアの諸問題にもっと関わるようアピールしてほしいです。単なるパフォーマンスで終わらせたり、経済的な利益を優先したりするのではなく、本気で関わってください。

 私は2004年に難民認定を受けた後、日本各地の在日ミャンマー人の支援を個人のボランティアとして続けています。

 ミャンマーでは21年2月、国軍によるクーデターが起こり、23年4月には国軍による空爆で多くの犠牲者が出るなど混乱が続いています。

 SNS(ネット交流サービス)を通じて、1日で多い時には15件ほど、年間約1000件の相談を受けます。

 内容は、在留資格や難民申請の手続きへの問い合わせをはじめ、病気や離婚の相談などさまざまです。「交通事故を起こし、雇用先からは労災には該当しないと言われているが、何とかならないか」といったものもありました。必要な時には遠方にも駆け付けます。

 日本でのサッカー・ワールドカップ予選で3本指を立てて帰国を拒否した元ミャンマー代表、ピエリヤンアウン選手の難民認定もサポートしました。

 ある海外メディアから「活動から得られるものは何ですか」と聞かれました。私は支援をした人たちの生活が軌道に乗り、自立していく姿を見たときに何よりも喜びを感じます。

 相談を受ける中で感じているのは、日本に住む外国人が駆け込める相談窓口の必要性です。個人のボランティアでは限界があるので、行政が設置すべきではないでしょうか。

 主要7カ国の中でも日本は難民の受け入れや認定数の少なさが目立ちます。本格的な受け入れが難しいのなら、経済的支援を行うなど、できることを探してほしいです。

 ミャンマーの軍事政権化に対して、日本をはじめ、G7いずれの国も強い関心を寄せ、積極的に民主化を支援してくれているようには思えません。アジアには、台湾問題、ミャンマーから逃れたロヒンギャ難民、中国の新疆ウイグル自治区での人権問題など課題が山積しています。しかし、ウクライナへのロシア侵攻の陰に隠れてしまっているように感じます。その目をもう少し、アジアに向けてほしいです。

 私は日本の大学などで国際人権法を学びました。国際人権とは、簡単に言えばみんなの人権です。さまざまな人がともに生きる中で一人一人を尊重する姿勢は、身近な生活でも、国際社会でも変わりません。

 G7サミットに合わせて、私も現地・広島を訪れ、ミャンマーはもちろん、アジアの人権問題に関心を寄せてもらえるよう街頭で声を上げていきます。

アウンミャッウィンさん

 ミャンマーの最大都市ヤンゴン出身。高校生だった1988年に民主化運動に参加し、迫害を恐れて日本に逃れて2004年に難民認定された。大阪市で飲食業や介護業を営みながら、日本各地に身を寄せるミャンマー出身者を支援する。48歳。

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