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「かすかな違和感」が身を守る 新入生狙うカルト、阪大で対策講義


 進学や進級など、環境や人間関係が変わる春は、学生を狙ったカルト団体による偽装勧誘が活発化する。特に親元を離れる大学1年生は標的にされやすい。サークルやイベントを装いたくみに近づいてくる団体を見分けるにはどうしたらいいのだろう。【菅沼舞】

 4月7日、大阪大豊中キャンパス(豊中市)で、新入生を対象にした必修講義「大学生活環境論」があった。大阪大ではかつてカルト団体が入り込み、学生が被害を受けるケースが複数あったことからカルト対策に力を入れている。2006年からは講義を通じて、だまされてしまう心理や偽装勧誘の手口、カルト団体に関わったために起きる不利益を紹介し、身を守るすべを伝えている。内容は随時アップデートしているが、22年7月に起きた安倍晋三元首相銃撃事件を機に、親の信仰の影響を受けて育った「宗教2世」の存在が注目されたことから、今年は宗教2世の課題や支援についても説明した。

拠点や団体名を教えず、連絡先は個人…要注意

 カルト団体はサークルや学生団体を装うため、気がつかないうちに関わってしまう危険性がある。講義を担当するキャンパスライフ健康支援・相談センターの太刀掛俊之教授は、注意すべきポイントをいくつか解説した。

 まず、サークルやイベント勧誘時に「活動拠点や団体名を教えない。連絡先は個人」は要注意だ。カルト団体は、大学側に実態を把握されないよう、活動内容などをあいまいにする。「参加者に合わせて活動内容を変える」こともよくあるという。これは、本当の目的を隠しているからだ。参加者の注意を引き続けるため、活動内容を参加者の趣味や好きなものに合わせる。行動をコントロールし、熟考させないよう「メンバーの横のつながりを制限する」「メンバーが共同生活する」ことも珍しくない。

まずは相談 窓口確認、頼れる先を増やして

 太刀掛教授が講義で強調したのが、相談することの重要性だ。カルト団体は、ターゲットを家族や友人ら周囲の人間関係から切り離し、孤立させて正常な判断を阻むためだ。最近は投資やセミナー、社会人交流、ボランティアなど、学生の向上心をくすぐる勧誘の手口が目立つ。太刀掛教授は「かすかな違和感を大切にしてほしい」と話す。

 学生は講義内容をどう受け止めたのか。学生寮で暮らす1年生の男性(18)は「宗教を怖いものと決めつけるのは良くないが、だまされないかは心配だ」と不安を口にした。ただ、相談のハードルの高さも自覚する。「高校の時、相談窓口は遠い存在だった。大学もそんな気がする」

 太刀掛教授は学生に「頼れる先を増やす」ことを勧めている。「悩みごとが大きくなってから対処しようとすると、自分のパワーが残されていない可能性が高い。頼れる先を増やすこと、そして相談ごとがなくても事前にどのような相談先があるかを確認してみることは、新しく学生生活をはじめる学生にとって、大事なことだ」と話す。

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