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夏目雅子さんや坂本龍一さんも 写真家・田川清美さんの作品展


 佐賀県多久市出身の写真家、田川清美さん(73)が1980年代後半に俳優や音楽家らを撮影し、市に寄贈した特大パネル24点が、多久市北多久町小侍の市中央公民館で展示されている。舞台や稽古(けいこ)などを終えた一瞬を切り取った作品で、その迫力に圧倒される。田川さんは85年に27歳で亡くなった女優、夏目雅子さんを撮り続けたことでも知られ、夏目さんの生き生きとした表情の写真25点もある。14日まで。入場無料。

 写真展は図書館創立100周年記念事業の一つ。特大パネルは田川さんの「肉体温度」シリーズの作品で「役から素の自分に戻るまでの魂が垣間見える瞬間」(田川さん)を舞台袖などで狙った。モノクロでほとんどが縦260センチの特大サイズ。

 田川さんによると、3月に亡くなった音楽家、坂本龍一さん(享年71)の写真は、東京・渋谷公会堂の公演で撮影。汗が光り恍惚(こうこつ)とした表情を浮かべている。

 映画監督でタレントの北野武さん(76)や、指揮者の小澤征爾さん(87)、俳優の仲代達矢さん(90)のほか、平幹二朗さん(享年82)や森繁久弥さん(同96)といった今は亡き名優の姿も。市が所蔵するパネル24点を一度に展示するのは今回が初めてだという。

 田川さんは、夏目雅子さん(1957~85年)が有名になる前の19歳の頃から撮影をしてきた。夏目さんについて「目的意識があり、それに向けての『決め』がすごかった」と振り返る。

 夏目さんは76年にテレビドラマでデビュー。まだ注目されておらず、77年には化粧品会社のキャンペーンガールに選ばれた。

 当時カメラマン助手だった田川さんは、羽田空港で夏目さんに初めて会った。北アフリカ・チュニジアでのCM撮影のためだった。「普通の女の子。印象は薄かった」。

 経由地のパリで、フランスの俳優の出演が不可だと分かり「(夏目さんだけで)インパクトのある夏キャンペーンをやらなくてはならなくなったが、彼女は一人で考え、答えを出した」。「運命が変わった瞬間だったかもしれない」と田川さん。健康的な笑顔と鮮烈な水着姿は、後に大評判を呼ぶ。

 現地で言葉を交わすようになった2人は、帰国後再会。六本木で食事をしたが「食べ終わると人に見えないようテーブルの下で1万円を差し出した。助手の自分を立ててくれたのでしょう。とても驚いた」。

 後に夏目さんの母親にこのエピソードを話すと「そんな教育はしていない」と語ったという。田川さんは「自分の知る限り、夏目さんを嫌いだという人は男性でも女性でもいない」と言う。

 夏目さんが24歳のころ「魅力を撮り切りたい」と、夏目さんに「5年、10年かけて写真集を撮りたい」と直談判。すると「マネジャーに言っておくね」と応じてくれたという。

 夏目さんは映画「鬼龍院花子の生涯」で82年度ブルーリボン賞主演女優賞を受賞し、地位を確立。「なめたらいかんぜよ」のセリフは流行語にもなった。84年に伊集院静さんと結婚した。

 夏目さんが両耳を引っ張り寄り目をする有名な写真は、女性誌の撮影での一コマだったという。「『おもしろい顔をすることある?』と尋ねると、やってくれた。一瞬のできごと。友人の距離感だったからでしょうか」。

 そんな撮影の時間も長くは続かなかった。夏目さんは85年2月、舞台の最中に体調不良を訴え入院。急性骨髄性白血病だった。約7カ月後の9月11日に亡くなった。田川さんは「ぶれない人。すごい女優だった。でもいつもはそんな感じを出さず、明るく、気配りのできる素晴らしい雅子ちゃんでした」と語った。【西脇真一】

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