宇宙航空研究開発機構（JAXA）が8月以降に打ち上げる、小型月着陸実証機「SLIM（スリム）」に搭載予定の月面探査ロボット「SORA－Q（ソラキュー）」を一般向けに商品化した「発売モデル」を、JAXAと共同開発した玩具会社のタカラトミー（東京都）が13日、報道関係者向けに公開した。
SORA－Qは、同社が変形ロボ「トランスフォーマー」などから着想を得て開発。月着陸前は丸い形をしているが、月面に着くと自動でボディーが左右に割れて車輪のように変形し、それを回転させて進む設計だ。発売モデルもこの変形機能を再現しており、スマートフォンの専用アプリを通じて操作できる。JAXAが持つ実際の月のデータを利用し、月面に見立てた場所で各種「ミッション」をクリアするなどして、家庭内で気軽に月面探査気分を味わうことができる。
この日、東京都港区の「スパイラルホール」であった発表会には、宇宙愛好家として知られるデザイナーの篠原ともえさん（44）と、宇宙飛行士の野口聡一さん（57）が登場。SORA－Qを前に宇宙への思いを語り合った。
商品化モデルを見た野口さんは「目の前1メートルのものと37万キロ離れたものを動かすのは原理的には同じ。自分が月面で遠隔操縦しているような気分になれる」と高評価。篠原さんも「ものづくりに挑戦し、宇宙へと届けるというのは、本当に力をもらえる活動。SORA－Qからパワーと遊び心を受け取ってほしい」と目を輝かせていた。
発売モデルは9月2日に全国の玩具専門店や百貨店、家電量販店、タカラトミー公式ショッピングサイトなどで発売。希望小売価格は税込みで2万7500円。300個限定で販売される人気漫画の「宇宙兄弟」とのコラボモデルは税込み3万3000円。【榎良広】
