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日ハム新球場、バックスクリーンに醸造所 限定ビールで観戦を!


 野球観戦のお供といえばビールが定番。だが、球場で醸造されるビールをグラウンドが一望できる中堅バックスクリーンのビアレストランで楽しめるのは世界初だ。実現させたのは、プロ野球・日本ハムの新球場「エスコンフィールド北海道」(北海道北広島市)。球団とメーカーがビールに込める思いとは。【谷口拓未】

 レストランの名称は「そらとしばbyよなよなエール」。黒い壁の建屋でバックスクリーンの役目も担っている。従来の球場だと観客の立ち入りが禁止されていたエリアで、1階の屋内と屋上、グラウンドレベルの地下1階に座席がある。高さ最大約70メートルのガラスの壁から陽光が差す屋上の開放感は抜群だ。

 醸造所は1階。八つある2000リットルのタンクで球場限定のビールが20日間程度かけてつくられる。「そらとしばPlay Ball! Ale(プレーボールエール)」をはじめできたてのオリジナルビール3種などが提供され、飲み比べも楽しめる。

 運営するのは従業員200人規模のクラフトビールメーカー「ヤッホーブルーイング」(長野県)。「星野リゾート」の星野佳路代表が1996年に設立したことで知られる。個性的な味わいのラインアップをそろえ、かつては赤字続きだったものの、2003年から19年連続で増収を記録。店名にある「よなよなエール」はヤッホー社の看板銘柄で、球場内でも飲むことができる。

 日本ハム側は20年からヤッホー社に接触し、参入が決まった。ヤッホー社にとって、長野県外への醸造所の設置は初めてとなる。国内球場でのビール販売はアサヒ、キリン、サントリー、サッポロの大手4社が中心だが、なぜヤッホー社だったのか。

 球団側は、クラフトビールの国内市場が右肩上がりに推移する状況などを踏まえて、保守的な業界に風穴を開け、新たな価値を創造したいという狙いがあった。多様な観戦様式を提案することに加え、ビールの選択肢を増やすことも野球以外の魅力になるとの考えで、新規ファンの開拓につながるという見立てもある。

 一方、ヤッホー社にとっては、球場へも北海道へも初進出。ビールの消費量が多い北海道でシェアと「クラフトビール文化」の拡大を見据える。総務省の家計調査(2人以上世帯)によると、全国の県庁所在地と政令市のうち、札幌市はビールの支出額も購入量も20~22年平均でトップだった。

 レストランの責任者、岡秀憲さん(51)は「自社の(業績の)伸びは期待している。そして、縮小傾向のビール全体の市場も拡大したい。ここにはその可能性がある」と話す。クラフトビールとは小規模醸造所で職人がつくるビールで、多様性に富んだ香りや味わいが特徴。国内で広く普及するラガービールと一線を画し、「エールなら飲める」というファンもいるほどで人気も高まっている。

 開幕3戦目となった2日の楽天戦。試合前からそらとしばは混み合っていた。家族3人で練習を見ながら屋上でクラフトビールのグラスを傾けていた札幌市北区の松坂直美さん(65)は「フルーティーでおいしい。このビールも楽しみにしていた。試合以外の楽しみも大切。クラフトビールも北海道で更に人気になるのでは」と楽しげに語った。

 プレーボールエールは爽やかな香りと軽快ながら確かに感じられる苦みが特徴。タンクを背負った売り子も観客席を巡る。ヤッホー社にとって球場で売り子に売ってもらうのが憧れだったらしく、広報担当者は「とってもうれしい」と笑う。

 岡さんは「野球やビールを通じて『おいしい』や『楽しい』というコミュニケーションを楽しんでほしい。豊かな時間を過ごすのがクラフトビール文化。この唯一無二の場所をコミュニティーの中心地としたい」と力を込めた。

 ビアレストランは、こだわりの食事メニューも豊富。アルコール度数1%未満のビールもある。試合開催の有無を問わず、年中無休。

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