starthome-logo 無料ゲーム
starthome-logo

戦艦大和の主砲削り出した160トン旋盤、70年ぶり広島・呉へ里帰り


 太平洋戦争中に広島県呉市で建造された戦艦「大和」の主砲を削り出したとされる大型旋盤が2022年末、約70年ぶりに呉へ「里帰り」した。大和ミュージアムの敷地内に展示施設が完成、公開が始まり、待ちわびたファンらが詰め掛けている。

 旋盤は高さ、幅各約4メートル、長さ約16メートル、重さ約160トン。1938年に旧日本海軍がドイツから輸入し、呉海軍工廠(こうしょう)で使用され、大和の口径46センチ主砲を削り出したとされる。建造に関わった大型工作機械で現存すると確認できるのはこの1機のみ。53年に民間へ払い下げられ、96年からは機械部品製造会社「きしろ」(兵庫県)が保有。大型船舶のエンジン部品を加工するのに使われてきた。

大和ミュージアムで一般公開

 展示施設はミュージアム西側の駐車場横に約8800万円かけて建設。屋根付きの建物で、周囲からガラス越しに見ることができる。

 ミュージアムでは2005年の開館前に会社側に旋盤提供を打診したが、当時は現役で使われており断念。その後会社は使用を終え、20年にミュージアムへ寄贈を申し出た。しかし輸送費などの確保が難しく、市はクラウドファンディング(CF)で資金を調達。開始1日で1億円を越え、最終的には約6600人から目標額を大きく超える約2億7000万円が集まり、雨ざらしの心配がない展示施設を建設することができた。残った寄付金は今後メンテナンスなどにあてるという。

 5日朝に展示施設前で除幕式があり、関係者らがテープカットした。きしろの松本好隆社長は「大和ファンの熱い思いに心を打たれた。未来を生きる子どもたちに大型旋盤のダイナミズムを体感してほしい」と期待。ミュージアムの戸高一成館長は、旋盤が戦争のためにも平和のためにも使われたということを見てほしいとした上で「技術の本質は人間がどのように使うかにある。技術が人間の平和のために使われなければいけない」と話していた。公開が始まると展示施設の前には見物客の長蛇の列ができた。CFにも参加したという三原市から来た製造業の男性(26)は「職場でも工作機械は見るがこの旋盤は大きいと感じる」と感心した様子で話していた。【岩本一希】

    Loading...
    アクセスランキング
    game_banner
    Starthome

    StartHomeカテゴリー

    Copyright 2024
    ©KINGSOFT JAPAN INC. ALL RIGHTS RESERVED.