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未曽有の事故、立証にハードル=当時の規制枠組み、二審も重視―東電強制起訴


 東京電力福島第1原発事故で強制起訴された東電の勝俣恒久元会長(82)ら旧経営陣3人について、東京高裁は一審東京地裁判決と同様に、当時の原子力規制の枠組みの中で判断し、無罪との判断を下した。東日本大震災の巨大津波による未曽有の事故。立証のハードルは高く、経営トップら個人の刑事責任を問う難しさが浮き彫りとなった。  一審は「結果の重大性を強調するあまり、正確な予測が困難な自然現象について、あらゆる措置が義務付けられるなら原発事業者に不可能を強いる結果になる」とし、当時の法規制や安全指針、審査基準など原子炉の安全性に関する「社会通念」を中心に検討した。規制当局の旧原子力安全・保安院は津波地震を予測した「長期評価」を参考情報扱いにとどめていたことから、地裁は「当時の規制の在り方は絶対的安全性の確保までを前提としていなかった」とした。  二審も「当時の知見の状況を前提」に検討し、防潮堤の設置や主要建屋の浸水防止の水密化、代替電源設備の高台移転などは「事後的に得られた情報や知見を前提にしている」と指摘した。  ただ、こうした規制の在り方は、事故後に「原子力ムラ」と称された業界の体質が生み出した枠組みとも言える。国会事故調査委員会は「過去の規制の正当性を否定する意見や知見、それを反映した規制が緩和、先送りされるよう落としどころを探り合っていた」と批判した。  勝俣元会長ら4人に13兆円余りの賠償を命じた株主代表訴訟の東京地裁判決は、東電の対応を「現状維持のため有識者意見の都合の良い部分を利用し、都合の悪い部分を顕在化しないよう腐心してきた」と指弾。最高裁で国の責任が否定された原発避難訴訟でも、2020年の仙台高裁判決は「保安院は不誠実な東電の報告を唯々諾々と受け入れ、規制当局としての役割を果たさなかった」と非難するなど判断が割れた。  同志社大の川崎友巳教授(刑法)は「刑事裁判では個人の能力を超えた責任を問うことはできない」とする。判決後に記者会見した被害者参加代理人の河合弘之弁護士は「情報をたぐり寄せる義務があったと認められないと、企業が犯した事件で経営責任は問えない。知らなかったらそれで終わりだ」と問題提起した。 (了) 【時事通信社】 〔写真説明〕控訴審判決後、記者会見する河合弘之弁護士(左)ら=18日午後、東京都千代田区
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