トップに死刑判決、弱体化進む＝市民襲撃繰り返す―工藤会

　王将フードサービス前社長に対する殺人などの容疑で逮捕された田中幸雄容疑者（５６）が系列団体幹部を務める工藤会は、北九州市に拠点を置き、一般市民らへの襲撃を繰り返してきた。トップが関与したとされる元漁協組合長射殺などに加え、みかじめ料の要求を拒否した商店主や暴力団追放運動に関わった地元政治家、企業トップや警察官なども相次いで標的とし、２０１２年には全国で唯一の特定危険指定暴力団に指定された。 　福岡県警は１４年、同会トップの総裁、野村悟被告（７５）ら幹部を摘発する「頂上作戦」に着手。２１年８月には一般市民が殺傷された四つの事件で、殺人や組織犯罪処罰法違反（組織的殺人未遂）などの罪に問われた野村被告に死刑判決＝控訴＝が言い渡された。 　トップの逮捕と前後して組織からの離脱者が相次ぎ、近年は弱体化が進んでいるとされる。県警が今年発表した準構成員を含む勢力は約３７０人で、全盛期の約３割に減少した。構成員は約２００人で、うち半数は拘留中か服役中。実質的に活動している組員はさらに少ないとみられる。 　本部事務所は１９年に解体され、土地売却益の一部は事件被害者への賠償に充てられた。警察当局は現在も、水面下で資金獲得を図る組員らの実態把握や、未解決事件の捜査などを続けている。　（了）【時事通信社】