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日中、協力から競合へ=中国猛追、GDPは逆転―正常化50年


 1972年の日中国交正常化を機に、両国の交流が本格的にスタートしてから50年。当初は日本による技術協力という形で始まった日中の経済関係だが、2010年には国内総生産(GDP)で中国が日本を逆転し、世界2位に浮上した。両国は技術力でも拮抗(きっこう)しつつあり、世界市場で競合する事例も増えている。  ◇「象徴」の製鉄所  上海市北部の宝山区に位置する宝山製鉄所。広々とした敷地内に巨大な関連設備が立ち並ぶ。78年に訪日した当時の実力者、トウ小平が新日本製鉄(現日本製鉄)の製鉄所を訪れたことから建設が決まり、巨額の円借款が行われた。新日鉄は延べ1万人の技術者を派遣して操業を支援。日中協力の「象徴」となった。  宝山製鉄所関係者は「日本人技術者は手取り足取り、教えてくれた。中国の鉄鋼業界が近代化の道を歩めたのは新日鉄の協力のおかげだ」と感謝の言葉を惜しまない。85年の生産開始から37年がたち、同製鉄所を傘下に持つ中国宝武鋼鉄集団の粗鋼生産量は年間1億1995万トンと、単独で日本全体(9630万トン)を上回る規模となった。  ◇「お家芸」で後塵  今や宝武と日鉄は世界で顧客を取り合うライバル関係だ。昨年秋には特許を侵害されたとして、日鉄が宝武子会社を提訴する事態に発展した。日本の鉄鋼関係者は「中国が質でも日本に追い付きつつある」と打ち明けた。  鉄鋼だけではない。日本は造船や家電など「お家芸」だった分野で、次々と中国の後塵(こうじん)を拝している。習近平指導部が重視する人工知能(AI)などハイテク分野の技術力は特に向上が目覚ましい。中国のIT大手関係者は「日本は尊敬するが、発展のスピードは遅い」と息巻く。  ◇WTO加盟で飛躍  横浜国立大の荒木一郎教授は中国の急速な発展について、自身も通商産業省(現経済産業省)で交渉に携わった01年の世界貿易機関(WTO)加盟が「大きな役割を担った」と振り返る。貿易環境の整備が進み、中国企業の輸出を後押ししただけでなく、日本企業にも多くの恩恵をもたらしたと強調する。  中国はWTO加盟から約10年で日本の経済規模を上回った。30年ごろには米国を抜いて世界トップに立つとの予想もある。一方、独自の外資規制などWTO規定からの逸脱も散見される。荒木氏は、中国が目指す環太平洋連携協定(TPP)加盟に向けた交渉では、日本として「(中国が)TPPのルールを守れるのか見極め、約束させることが重要だ」と訴えた。 【時事通信社】 〔写真説明〕日中協力の「象徴」とされる宝山製鉄所=16日、中国・上海市
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