スカーフめぐり逮捕の女性死亡＝各地で抗議、当局発砲の情報―イラン

　【イスタンブール時事】イランで頭部を覆うスカーフを適切に着用していなかったとして逮捕された女性が治安当局の拘束下で死亡し、首都テヘランなど各地で反発する市民の抗議行動が起きている。イランではイスラム法に基づき、女性は公共の場でスカーフを着用するよう義務付けられている。 　死亡したのは、西部コルデスタン州出身のマフサ・アミニさん（２２）。１３日にテヘランを訪問した際に逮捕された後、意識不明となり、１６日に死亡が発表された。当局は「病死」としているが、対応を問題視する市民も多い。 　現地メディアによれば、抗議行動はテヘランや第２の都市マシャドで行われた。ロイター通信は少数民族クルド系人権団体の情報として、コルデスタン州で治安部隊が１９日、デモ隊に発砲し、死者が出たと報じた。デモ隊は当局を非難するスローガンを叫び、中にはスカーフを外している人もいたとされる。 　ＡＦＰ通信によると、警察幹部は１９日、アミニさんが服装規定を守っていなかったため、親族に「きちんとした衣服」を持ってくるよう伝えたと説明した。「警察側に過失や不適切な行為はなかった」とも主張している。 　バヒディ内相は１７日、アミニさんは「明らかに健康状態に問題があった」と述べたが、アミニさんの父親は「娘には病歴はなく、健康に問題はなかった」と反論した。ライシ大統領は、アミニさんの死に関する調査を指示している。　【時事通信社】 〔写真説明〕逮捕された女性マフサ・アミニさんの死を報じるイランの新聞＝１８日、テヘラン（ＥＰＡ時事） 〔写真説明〕１９日、テヘランで、逮捕後に亡くなった女性をめぐる抗議活動に参加する人々（ＡＦＰ時事）