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日帰り温泉で再起=コロナ禍でも「癒やし」を―被災の老舗旅館・熊本地震6年


 熊本地震で被災した老舗旅館「山口旅館」(南阿蘇村)が、日帰り温泉施設として営業を再開し間もなく1年を迎える。新型コロナウイルス感染拡大が客足に影響を及ぼす中、経営者の山口雄也さん(41)は「こんな時だからこそ、癒やされる場を提供したい」と意気込んでいる。  同旅館は1886(明治19)年に創業し、山口さんは8代目。垂玉温泉唯一の宿として親しまれたが、2016年4月14日の前震では砂壁が崩れ、配管が外れるなどの被害が出た。「なんとかなりそうだな」と翌日は通常営業したが、16日の本震で周辺の山が崩れ、名物の露天風呂が崩壊。旅館までの道路は大量の土砂などで寸断された。旅館にいた17人の従業員や利用客は無事だったが、ヘリコプターで救助された。  被災時自宅にいた山口さんが旅館に入ることができたのは、約1カ月後の5月10日。現金などの確認より、まず気になったのが泉源だった。大きな岩が転がるかつての露天風呂周辺を探すと、わずかに流れる水流を見つけた。感触やにおいを確認し、垂玉温泉だと確信。「再開の可能性はゼロじゃない」と感じた。ただ、経営が成り立つのか、宿泊客の安全が確保できるのかなど、悩みは尽きなかったという。  不安を解消したのは、復旧を手伝いに来たボランティアの存在だった。他愛のない会話を交わすことで「自分の心の風通しが良くなっていくのを感じた」と話す。延べ100人超のボランティアの中には同業者もおり、相談する中で日帰り温泉として再出発することを決意した。  名前を「瀧日和」と改め、昨年4月16日に営業を開始した。カフェや貸し切り湯のサービスも新たに加えるなどの工夫もしたが、新型コロナ感染者の増加に伴い、1カ月後には熊本県にまん延防止等重点措置が適用。その後、同措置は解除と適用が繰り返された。山口さんは「措置が適用されるたびに客は激減した」と明かす一方、「地震の時、被災者は風呂に入れない日が続いた。今、一息できる場所を提供できるだけでうれしい」と話した。(了)【時事通信社】
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