米、移民の即時送還廃止へ＝不法越境者の急増懸念

　【ワシントン時事】バイデン米政権は１日、新型コロナウイルスの感染拡大防止を理由として移民希望者を即時に強制送還する措置について、５月２３日をもって廃止すると発表した。トランプ政権時代から続いた施策の終了により、南部国境で不法越境者が急増することが懸念されている。 　マヨルカス国土安全保障長官は１日の声明で、同措置の終了後は通常の難民申請・送還手続きに切り替わると説明。安易に移民を望む人が増えないよう、「米国内にとどまる法的根拠を示せない場合は送還される」と強調した。 　移民に冷淡なトランプ政権から受け入れに寛容なバイデン政権に交代したことで、米国への移民希望者数は急増した。税関・国境警備局（ＣＢＰ）によると、２０２１年度に不法に入国し拘束された人は１７０万人超と、過去最多を記録。昨年９月には、カリブ海の島国ハイチから移民希望者が押し寄せ、国境警備隊がムチを使って追い返したことが問題となった。 　移民政策をめぐっては、リベラル派が人道的観点から幅広く受け入れを求める一方、保守派は厳しい取り締まりを求め、世論が二分。野党共和党は即時送還の廃止で「不法越境者の洪水が起きる」（クルーズ上院議員）と非難しており、１１月の中間選挙でも主要争点の一つとなりそうだ。　【時事通信社】