首相演説やじ排除訴訟で判決＝法的根拠の有無争点―札幌地裁

　２０１９年参院選での安倍晋三元首相の応援演説にやじを飛ばした札幌市民２人が、北海道警の警察官に違法に排除されて精神的苦痛を負ったなどとして、道に計６６０万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が２５日、札幌地裁（広瀬孝裁判長）である。 　原告らがやじを飛ばしたことで、警察官職務執行法の定める「人の生命や身体に危険を及ぼす恐れのある状況」が生じたかが主な争点。 　原告はいずれも団体職員の大杉雅栄さん（３４）と桃井希生さん（２６）。訴状によると１９年７月、札幌市内で応援演説をしていた元首相に「増税反対」「安倍辞めろ」などとやじを飛ばしたところ、複数人の警察官に腕などをつかまれ、強制的にその場から排除された。桃井さんはその後約１時間、警察官に付きまとわれた。 　道警側は「周囲の聴衆ともめ事になる可能性がある危険な事態で、排除は適法だった」と主張。原告側は「政権に批判的な意見を表明した人だけを排除した政治的表現の自由の侵害で、法的根拠がない」と訴えていた。（了）【時事通信社】