フランスには昔から銀製品や家具など、先祖代々価値ある品々を後世に受け継でゆく習慣があります。そのためアンティークのものを再利用する事に抵抗なく、老若男女問わず古き良きものに魅了され、自分の生活を豊かにするための工夫としてどんどん取り入れていきます。蚤の市が盛んな理由の一つとも言えるでしょう。

 

この1年ほど、パリでオープンしているカフェやレストランでアンティークの銀製カトラリーやお皿を使ってテーブルコーディネイトしているお店が増えていると感じており、トレンドアイテムとなっています。

 

では、実際にアンティークの物がどのように取り入れられているのか、パリのレストランやカフェでの使われ方を見てみましょう。

 

例えばパティスリーでは、美味しそうな檸檬ケーキにアンティークのお皿が使われています。現行のデザートプレートでは表現できないベルエポックのノスタルジックな演出に、作り手の特別な思いをケーキに馳せさせます。可愛らしさが強調されますね。

 

 

ビーガンカフェではアンティークの銀製フォークが使われています。フランスでは銀製品は毒消しの役割があると言い継がれており、産まれたばかりの赤ちゃんが初めて使うカトラリーには銀製品を使う習慣があります。銀製品は塗料が塗られたものやプラスチック製品よりも、安心で安全に口にいれられる素材であるというのが当然の認識であります。デザインも気品高くて美しく見た目もリッチ、食事が楽しく会話も弾みます。


 

ビオカフェではプレートと銀製カトラリーにアンティークが使われています。無造作にガラス瓶に立てて入れられていますが、高価な銀製品をカジュアルにアップサイクルしている演出のひとつの技法だと思います。決して揃えてるのが美しい、という概念はそこには存在していません。バラバラでも色んな銀職人さんの仕事が見える方がわくわくし、魅力的なアプローチになる、というパリジェンヌの見解ですね。


 

ビオパティスリーでは、ケーキやビスケットなどのディスプレー用に、アンティークの陶器が使われています。この写真の陶器パニエは南仏のアンティークものですね。シンプルなビスケットのデコレーションが単なるカゴに陳列されているよりも、アンティーク陶器を使った方がお店のコンセプトがより伝わりやすい効果がありますね。かわいくて、つい買ってしまいます。

 

こちらのブーランジェリーでは店内用のお砂糖入れにアンティークポットを使用しています。蓋が無い、少し欠けてる、などのダメージが多少あっても見捨てずに拾い上げ、古い美しいものを無駄にせず、再び活躍できる場に立たせる。パリジェンヌ流の素敵な発想だと思います。普通のパン屋さんではないという拘りと、なんとも可愛らしいイメージに、思わずイートインでカフェオレでも飲みたくなってしまいます。おしゃれなお客様で店内はいつもいっぱいです。

 

 

ワインカーブではアンティーク陶器のプレートで雰囲気アップ。イタリアのモッツァレラみたいなブラッタというチーズですが、イタリアならばモダンなテーブルコーディネイトが普通ですが、真っ白で殺風景ではない柄物のお皿を使う事でお店のコンセプトや歴史が伝わり、良く見えてきます。


 

最近オープンしたレストランでもアンティークの銀製フォークが出てきました。大ぶりのステーキ肉を捕まえるにはアンティークの銀製品は大きめで使いやすいうえに、しっかりさせるので道具としての便宜性にも長けているモノ選びだと思います。日本人にはやや大きめのフォークですが、丈夫で見た目もお肉向けな印象で食欲をそそる効果をもたらします


 

こちらのカフェのティータイムは完璧でした。アンティークのナプキンの上に金メッキトレーと金彩のデッサンが施されたカップで、何ともゴージャスなアンティークおもてなし上級版です。ここまでロマン文学の良き時代を完璧に再現できてるカフェはなかなか無いと思います。しかしここはコーヒーがフランス価格の3€ほどで、この大袈裟な誂えと値段のギャップに笑える、というのがこのお店のコンセプトなのです。とても愉快でギャグカフェという位置付け。パリジャン流、人生の楽しみ方です。

 

 

最近訪れたビストロにて、秋の絵をあしらったデザートプレート。秋のタルトとお皿にプリントされた枯れ葉との演出が完璧でした。1世紀前のノスタルジックな秋皿にのせられた秋味タルトからは、視覚と味覚、臭覚でまるで懐石料理のようなアプローチの方法に驚き、秋の美しさに感動しました。パリではお皿に絵柄が描かれているものに出会わないからなのか、逆の発想は何だか新鮮で、秋という季節の訪れを感じられたほっこりな時間となりました。


 

時代を超えた素晴らしい職人の絵付けや彫刻技術を用いたお皿、カトラリーを用いてテーブルを演出するレストランやカフェが、以前よりも増えてきていると感じています。フランス文化の素晴らしさを今注目されている影響力のあるビストロやパティスリーが率先して見せることで、現代人がフランス美術の再認識を自分の土俵から新たに表現化をしているのだと感じています。

 

私もアンティークを買いに蚤の市へ出掛けたりしますが、パリの街に出ると使い方のヒントがたくさんあってとても参考になっています。パリという街は本当に感度が高いお洒落な人たちが生活している街で、暮らしの楽しみ方やセンスの良い感覚を発信し、本質がたくさん拾える街だと肌で感じてます。

 

 

文・福島 明子(パリ在住コーディネーター)

インスタグラム https://www.instagram.com/akiko.fukushima/

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情報提供元:PeLuLu
記事名:「フランスアンティーク 暮らしに取り入れるヒント