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任天堂スイッチ版『ゼルダの伝説』をHD振動化してみた



Nintendo Switch版『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は面白いけど、ひとつガッカリな点があります。


それはHD振動に対応していないこと。


HD振動はNintendo Switchの目玉機能のひとつ。従来機のバイブレーションとはまったく異なる振動体験を心待ちにしていたら、新作ゼルダはそもそも Wii U向けタイトルだから、HD振動には対応してないんだってよ!ヽ(`Д´)ノ


それならとHD振動を擬似的に実現するツールを作ってしまったのが、ゼルダ好きすぎエンジニアの竹内伸さん(某OA機器メーカー勤務、触覚のハッカソン「ショッカソン」の発起人)


確かにリンクが斬っているものの感触も伝わってくるような振動、スゴイ! その開発談話を語っていただきましよ!



『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』で Joy-Con が……リアル振動!



これ、独自HD振動を体験できる Nintendo Switch です。グリップ型コントローラの Joy-Con に振動スピーカーを付けて『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』で遊んでいます。



振動スピーカーは本体のヘッドホン端子とつながっておりまして、BGMを振動に変換してくれるんですけど、これが……スゲェ!のひとこと。


リンクが歩く地面の固さだったり、草を薙ぎ払う感覚だったり、そういった感触の差が明確に手に伝わってくる! 各アクションの効果音が、それっぽい振動に変換されるんですよ!!


どうやってHD振動を実現しているの?


この独自HD振動は次の3つの部品で実現されています。


① 振動スピーカー



スピーカーと接触させた物体を振動させることで音を鳴らすユニット。「机に貼り付けて、机そのものをスピーカーにする」といった商品も登場しています。


② オーディオアンプ



振動スピーカーを駆動させるためのアンプ。持ち運べるように乾電池を電源としています。


③ Joy-Conストラップ



Joy-Con に振動スピーカーを取り付けるために専用ストラップを改造しました。気分を高めるためにちょっと装飾を施しています!


どんなゲーム機でもHD振動にできる?


振動スピーカーを使ったシステムは、効果音を振動に変換するものなので、Nintendo Switch に限らず、どんなゲーム機にも取り付けることが可能です。


でも、BGMが激しく鳴り続けるようなゲームだと、振動し続けてしまうのが難点。『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の場合、BGMは抑え気味で効果音(SE)がはっきりしているので、効果音をうまく振動に変換しやすいんですね。


そういう意味では、今回作ったものはあくまでも簡易版。簡易版でこれだけ臨場感があるのですから、プログラム的にHD振動に対応した『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』でもぜひ遊んでみたいところです!



ところで、今回使った独自HD振動ツールは『テクタイルツールキット』という触覚デバイスを元に開発しました。慶應大学大学院メディアデザイン研究科が提案するオープンソースハードウェアで、これを安価に作れるように簡易化したものになります。このような触覚デバイスは、たとえば写真のように、コップの中に水を注いでいる感覚やコップの中でビー玉が回っている感覚などを振動だけで再現することができるんです!


*     *     *


以上、Nintendo Switch版『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』HD振動化計画をお届けしました。最後にこのツールを開発した竹内氏に振動スピーカーなどの触覚デバイスについて解説いただきました。ご興味のある方、ぜひご一読を。


HD振動化に使った『簡易版テクタイルツールキット』とは?


『テクタイルツールキット』とはどういうものか?


振動スピーカーは、原理的にはボディソニックの一種なので歴史は古いものになります(参考:ボディソニックとは(小松明 ボディソニック株式会社 研究開発センター))。


今回『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザワイルド』をHD振動化する上でベースにしたのが、慶應大学大学院メディアデザイン研究科(KMD)が提供するオープンソースハードウェア『テクタイルツールキット』です。VR機器販売で有名なソリッドレイさんでも購入することができます。


なぜ簡易版を作ったのか?


しかし、KMD製『テクタイルツールキット』は、この方式でできる最大限のことを盛り込んでいるため、自作しても数万円、完成品を買うと86,400円(税込)という価格になります。ハック好きの人が手軽に試すにはちょっと厳しいコスト感です。


そこで安価な『簡易版テクタイルツールキット』を開発することにしました。フォスター電機さんの協力も得て、低コストの部品で作れるよう機能・性能をややそぎ落としたものです。こちらは某ワークショップにて1,000円で試験頒布したことがあります。



ちなみに、市販の円筒形振動モータ(大きめのやつのほうがいい)やマブチモータを使っても、出力はやや落ちるものの、同じような感触を得ることができます(そのあたりは月刊I/Oの2017年1月号に記事を書かせていただきました)。


簡易版のポイントは?



  • できるだけ安価な部品を用いて触覚デバイスを構成した点

  • 音声再生という簡易な方法により臨場感の高い触覚表現が可能になっている点


HD振動を含む振動触覚技術は、音声再生という簡易な方法により人間の力触覚のほんの一部を高精度に再現することが可能です。


高精度であるがゆえに、視覚などとうまく同期した呈示をすることによって力触覚の他の部分についても脳内で補完され、臨場感の高い触覚表現が可能になります。


今後の予定


現在、この『簡易版テクタイルツールキット』を使った頒布型ワークショップを行っていく予定に加え、キットの販売も検討は行なっています。ま、他の簡易触覚デバイスなどについても順次頒布型ワークショップを企画中です。


Nintendo Switch版『ゼルダの伝説』HD振動化ハックについて


どういうものか?


Nintendo Switch版『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』のHD振動化ハックとは、先述した『簡易版テクタイルツールキット』を Nintendo Switch のゲームコントローラに取り付け、ゲーム中で発生している効果音を手元で振動として感じることができるようにするものです。


なぜ作ったか?


触覚技術に関わる者として今回の Nintendo Switch のHD振動はとてもエポックメイキングなものです。そのうえ、個人的にも『ゼルダの伝説』には『風のタクト』にハマってしまい、それ以降のシリーズはもちろん初代作にまで遡ってほとんどプレイしており、新作『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の Nintendo Switch版には大いなる期待を抱いていました。


しかし、買ってプレイしてみると「んっ、振動がほとんどない!?」。どうやら 『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』は Wii U向けに開発がスタートしたタイトルのため、Nintendo Switch特有の機能である HD振動を活かしたゲームになっているわけではなかったのです。


でも、ここで諦めるわけにはいきません。「なら、作っちゃえ!」ということで、試しに前出の『簡易版テクタイルツールキット』を取り付けてみたところ、「んっ、これはこれで結構いいぞ」と。その後はさらに調子に乗って左右ステレオバージョンなども作ってみている次第です。


特に Nintendo Switch本体を改造する必要もなく、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』をHD振動風の臨場感で楽しめる点はポイントですよね(ストラップは分解しましたがw)。


今後この『簡易版テクタイルツールキット』については頒布も考えています。Maker Faire Tokyo などに受かれば展示したいと思いますし、『ゼルダの伝説』のHD振動化ハックに特価した頒布型ワークショップを行うのもよいかもしれません。


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