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プロパンガスは原価が2年間で「59%」下がっても、消費者価格が「5%」しか下がらない驚愕の業界



下がり続けているプロパンガスの輸入価格


プロパンガスの輸入原価はこのところずっと下がっています。



しかし、一般家庭のプロパンガス価格が下がってきたという声はあまり聞きません。



そこで当協会が調査したところ、プロパンガスの原価そのものは3年前と比較して60%近く下がっているのに、一般家庭のガス代は約5%しか下がっていないことが判明しました。



なぜそれしか下がらないか? その背景を探ってみました。









原価大幅下落でも販売価格がほとんど下がらない3つの理由


都市ガスが2017年4月1日から自由化され、公共料金でなくなることは周知の通りですが、プロパンガスは最初から自由料金の商品です



それにも関わらず都市ガスと比較して割高で、非常にわかりにくい料金体系になってしまっています。



下のグラフは、プロパンガスの原価であるサウジアラムコのCP価格(産ガス国の船積価格)です。



2014年の平均価格は1トン当たり790.8ドルで、2016年の平均はは324.6でした。2年間で59%下がったことになります。



▲プロパンガスの輸入価格は2013年12月をピークに下がり続けている。





▲プロパンガスの輸入価格は2013年12月をピークに下がり続けている。



一方、一般家庭への年間平均販売価格は全国平均で2014年が10立方メートルで7,981円(石油情報センター調べ)で、2016年は7,573円でした。



2016年の価格は2014年と比較して94.9%です。わずか5.1%しか下がっていません。



プロパンガスの原価と平均価格



ドル円為替レートも、2014年が平均で約105.3円、2016年が108.3円ですので、3円ほど円安です。



しかし、これでは販売価格が下がらない大きな理由を為替レートのせいにすることはできないと思います。では、何が理由なのでしょうか?



理由1. 業界で原料費調整制度が普及していないから




これだけ大幅に原料コストが下がったのに消費者価格が下がらない第一の理由は、プロパンガス業界に「原料費調整制度」が普及していないからだと思います。



原料費調整制度というのは、プロパンガスの原料費変動にリンクして料金を変動させる料金体系のことです。



ちなみに、この制度は都市ガスで広く採用されており価格は毎月変動します。



ごく一部のプロパンガス会社は原料費調整制度を採用していますが、全体から見るとまだまだ少数派で、全体の1〜2%という印象です。



ちなみに、当協会には北海道から九州までで80社の会員ガス会社がありますが、原料費調整制度を導入しているガス会社は10社だけです



当協会の会員は問屋さんが半数以上で比較的大手であってもこの程度ですので、全体での比率は非常に低いと思います。



また、原料費調整制度でない料金制度は、固定料金制と言います。



この固定料金制では、1立方メートル当たりの販売価格を400円とか480円とか決めておいて、プロパンガスの輸入原価(CP価格)が大きく上下した時に、為替レートを加味して値上げや値下げを行います



では、この2つの料金制度を比較してみましょう。



原料費調整制度と固定料金制の比較



(1) 固定料金制は値上げ・値下げが不透明



大多数のプロパンガス会社が採用している「固定料金制」では、原料の仕入れ価格が大きく上昇した際に値上げされることが多いですが、それ以外にも会社の業績や事業計画の都合で値上げされる場合もあります。



そして、値上げは頻繁におこなわれても、値下げはごく少ないのが現状です。その理由については「理由2.」と「理由3.」に詳しく書いています。



(2) 原料費調整制度は儲からない



原料費調整制度を導入しているプロパンガス会社が非常に少ないのは、儲からないからだと言われています。



固定料金制のガス会社では、この2年ほど原価が非常に低い状態が続いているのに値下げをしていないことから、好決算をする会社が続出しています。



しかし、原料費調整制度を導入している会社ではそうはいきません。業績がかんばしくないからといって勝手な値上げはできないシステムなのです



好景気に沸く固定料金制のガス会社を横目に、指を咥えて見ていることしかできないのです。



理由2. どんな経営者でも進んで売上を減らしたくない




プロパンガスの原価が上がった際には背に腹はかえられないから、顧客が他社に移るかもしれないというリスクを冒しても値上げをします。



しかし、原価が下がった時は別です。値下げは避けたいというのがプロパンガス会社の本音なのです。



なぜなら、値下げは売上の減少を意味します。利益率は同じだとしても利益の総額は減ります。



ガソリン業界のように店頭に販売価格が掲示されている業界であれば、自社だけ下げなかったらお客様が離れていきますが、ホームページ上にキチンと販売価格が掲示されている会社が極端に少ないプロパンガス業界では、値下げしなくても何の問題も起きないのです



プロパンガス料金消費者協会のホームページを見た消費者なら、原料価格の推移(今月のCP速報)を確認できますが、ほとんどの消費者は原料価格が毎月変動していることすら知らないので、わざわざ自分から値下げをして売上額と利益を減らすような「バカな真似」をするプロパンガス会社はありません。



原油安でもプロパンガスだけ値下がりしない理由はもう一つあります。



理由3. 一度下げたら、上げづらいから下げない




ガス料金を下げた場合文句を言う消費者はいませんが、上げる時は必ずある一定の割合でクレームを付ける消費者はいます。



それが例え原油の高騰などの仕方のない理由であってもです。



本来なら、原料費調整制度のように原価が上がったら価格も上げて、原価が下がったら価格も下げるのが理想ですし、正しいやり方です。



しかし、正しいやり方だとリスクがあるのも事実です。



そこでプロパンガス会社は値上げの際のリスクを考えて値下げをしないことが非常に多いのです



良心的なガス会社であっても、1立方メートル当たり50円値上げしておいて、その後値上げ前の水準まで原価が下がっても20〜30円しか下げない、などといったことが当たり前な世界なのです。



そのため、10年も20年も同じプロパンガス会社を使っていると、どうしても価格は高くなりがちです





生活防衛は自分でやりましょう






プロパンガスの原価が3年前と比較して60%近くも下がっているのに、末端の消費者価格は5%程度しか下がっていません。



それがなぜなのかはお伝えしてきた通りです。



残念ながら業界に自浄能力を期待することは出来ませんので、自分の生活は自分で防衛するしかないと思います。



幸いなことに、今は昔と違ってプロパンガス会社は自分で自由に、適正価格の会社に変更することができる時代なのです。(執筆者:鈴木 秀男)



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