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幾多もの苦難を乗り越え“達観”の境地へと到った前園真聖の的確かつ謙虚な自己分析力


25年前の7月21日、1996年アトランタ五輪で世界最強のブラジルを破った「マイアミの軌跡」──当時エース&主将として五輪代表をけん引したが、その後は移籍騒動の影響もあってか精彩を欠くようになり、2005年に現役を引退。テレビ東京のスポーツ番組でコメンテーターを務めたり、2009年にはビーチサッカーの日本代表に選ばれたりもしたが、2013年には酒に酔ってタクシー運転手に暴行を加えた容疑で逮捕(翌日、処分保留で釈放)されたりも……。そう! 元プロサッカー選手の前園真聖氏(47)のことだ。

 
現在は、サッカー解説者として活動しながら、バラエティ番組からお声もかかる人気タレントでもある。そんな、なかなかに浮き沈みの激しい波瀾万丈な半生をおくってきた前園氏のロングインタビューを『Number Web』が配信していた。とても温かみのある、読み応えたっぷりのインタビューだと思った。ご本人写真の笑顔もじつにいい。ご興味のある方はゼヒ↑をクリックして目を通してもらいたい。

 
前園氏が、とくにバラエティの世界で注目を浴びるようになったきっかけは言わずもがな、2014年の6月からレギュラーとして出演している『ワイドナショー』(フジテレビ系)である。当初はブラジルW杯に向けたコメンテーターとして、一度かぎりの出演予定だったという。そのときのことを前園氏は、以下のように振り返る。

 

 
「お酒のトラブルで仕事を休んでいた時期があって、『ワイドナショー』は復帰後、(レギュラー番組以外で)最初のテレビの仕事だったんです。緊張のあまりテーブルに置かれたウーロン茶を飲んだら、松本さんが『いま水割り飲んだでしょ!』ってツッコんでくれて。気づいたら翌週からバーテンになっていたという流れです(笑)」

 
「声をかけてもらったからだけではなくて…失敗を晒し、新たな一歩を踏み出すいいキッカケになったというか。『ワイドナショー』に出られたことは間違いなくいまの自分の礎になっています」

 
「(ほかのバラエティにも呼んでもらえるようになったのも)松本さんに僕の“取扱説明書”を作ってもらったというか、勝手に恩人だと思っています」

 
また、前園氏は謙遜気味にこうも続けている。

 

 
「たとえば『ワイドナショー』は、僕じゃなくてもできる人はいると思うんです。だって、僕は芸人さんみたいに話すのが上手くもないし、オチをつけて話せるわけでもないですから」

 
「番組に出始めた頃は、どうしても期待に応えたい、面白いことを言わなきゃと思っていて、いろいろと準備して収録に臨んでいたんです。でも、そんなときはだいたいうまくいかなくて…(笑)。変に狙いにいったとしても松本さんや東野さんにはすぐ見透かされてしまいます。だから、いまは別に何か面白いことを言おうとも思っていないですし、うまい返しができなければできないでいいやっていうスタンスで臨んでいます」

 
「謙虚さ」が10%ほどフレイバーされた感じの、見事なまでに的確な自己分析ではないか。私もたまにテレビ出演の依頼があったときは、「変に狙いにいく」ことだけは絶対に避けるようにしている。素人が下手な色気を出しても、本当にロクなことがないのだ。場を凍てつかせてしまうだけなのだ。専門外のフィールドに“お邪魔”する際は、周囲のプロフェッショナルに流れを委ねておいたほうが100%上手くいく。

 
いっぽうで、前園氏は「バラエティに出演してもサッカーやスポーツの話題ではふざけすぎないよう心掛けている」らしい。まずは「自分のフィールドの枠組を形成するラインの位置を正確に把握すること」こそがビジネス、ひいてはコミュニケーションにおいても必要不可欠なのではなかろうか?

 

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