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地下鉄ポスターにダンディー坂野が…「ピークを過ぎた芸人」として起用したバランス感覚の絶妙さ




 



地下鉄の混雑時の利用を避けた時差通勤をすすめる、東京メトロによる「東西線オフピークプロジェクト」のポスターが話題になっている。



 



ほぼ中央、やや右斜め方向から舐めるようなアングル──静かな表情でカメラに目線を寄越す、とある男性がバストアップでドカン。「とある男性」とは、お笑い芸人のダンディ坂野(53)。その下には、



 



ピークを知る男。



 



……のメインキャッチコピーが。さらには(向かって)左側に、



 



他人とズレてるくらいで、



ちょうどいいと思うよ。



そういう時代になったし。



 



……とのサブキャッチが。ちなみに、同プロジェクトのポスターには、やはりお笑い芸人である小島よしお(39)バージョン(※ジャケット着用)もあるらしく、そのサブキャッチは、



 



揉みくちゃにされて、



毎日大変でした。



 



……なのだという。



 



素晴らしい広告である。なにが「素晴らしい」かって、その人選のバランス感覚が素晴らしい! 仮に、これがユーキャン新語・流行語大賞で一発ギャグがノミネートされ、翌年には完全に消え去った幾多の“真の一発屋芸人”だと「誰これ?」ってことになってしまう。「オフピーク」どころか「無人電車」を推奨することにもなりかねないため、コンセプトにも微妙なズレが生じてくる。かといって、たとえば「武勇伝」でならしたオリラジあたりの「ピークとピーク後の振り幅が比較的小さい芸人」だと、その意図がユーザーに伝わりにくい。本人らもまだまだ「今はピークじゃない」というレッテルは貼られたくないだろうし……。



 



自分が「ピークを過ぎた芸人」であることを受け入れながら、なおかつ現在でもそれなりの知名度を誇る芸人さん──いそうでなかなかいない人材なのではなかろうか。



 



さて。じつのところ私は数年前、このダンディ坂野さんにインタビューをしたことがある。「自身のピーク」について、とても冷静な自己分析をなされていたので、今日はその名言の一部を、ここcitrusでも紹介してみよう。



 




(30代半ばごろ「ゲッツ!」で)ブレイク後も1年ほどは、まだスケジュールも黒くて、2年目から徐々に落ち着いてきた。よく「あの人は今…」系の番組だと、天国と地獄的なギャップが欲しいと言われるんですが、正直なところ僕の感覚では「落ち着いてきた時期が普通」だったので、焦りもほとんどなかった。




 




40代になったあたりから、良い意味で自分の芸能界での“地位”や“役割”が冷静にわかりはじめてきた。ようやく「あまり無理をしなくても大丈夫」と、自然に思えるようになったんです。




 




50代は、「芸人としてどうなる」ってよりは、人間として楽しく過ごしたい。異常なスケジュールをこなしてきたブレイク期、あのころにはもう戻りたくない。




 




同じ事務所の先輩である太川陽介さん(61)のように物腰がやさしく、誰でも太川さんのことは知っている……みたいな“柔らかいイメージ”の芸人になりたいんです。




 




公私問わず、人のことを悪く言いたくはない。僕の芸風では、それをする必要もない。毒を持たないことによって、僕の「ほわん」とした雰囲気を内からにじみ出していきたい。




 




「諦めること」も時には大事。諦めなければ前に進めない。ずっと諦めないでいたら“夢追い人”で終わってしまう。諦めて別の角度から、また別のことを頑張ればいいんです。出来もしないことにチャレンジするより、出来ることを突き詰めればいい。




 



もはや達観の境地をも切り開こうとする「ピークを知る男」が、この非常事態のニッポンにおいてひとつの大仕事を成し遂げた──そんなちょっといい話でありました。


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