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隙あらば、別居を望む妻たち。夫の単身赴任によって手にした居心地の良い生活がたまらない…




 



■夫の単身赴任によって手にした居心地のいい別居生活



 



シズカさん(47歳)が3歳年上の男性と結婚して18年たつ。17歳、15歳の子どももいる。彼女が30代になったころから、夫は転勤が多くなった。





「子どもが小さいころは家族で引っ越していました。家族はやはり一緒にいたいと思ったので。友だちも知り合いもいない土地で、小さな子を育てていくのはけっこうつらかった。上の子が小学校に入るタイミングで一度、首都圏に戻ったので、次の転勤は単身赴任でということにしました。『数年でまた引っ越すとなったら、子どもたちがかわいそうだから』と夫を説得して。でも本当は、私が夫と別に暮らしたかったんです(笑)」



 



友だちの紹介で知り合い、半年ほどつきあって結婚を決めてしまったシズカさんだが、結婚してから夫が意外に神経質であることがわかった。彼女自身はかなり大雑把な性格だから、夫と暮らしていくのは息がつまりがちだったのだ。



 



「夫は帰宅すると、それとなく部屋を見回すんですよね。変わったことがないか、汚れている場所はないかとチェックしているみたい。言葉にはしないし文句を言われたこともないんですが、部屋を見渡している夫を見るとイヤな気持ちになる。食卓に珍しい料理があると、普通は『お、なにこれ、おいしそうだな』くらいのことは言うじゃないですか。夫は『お、なにこれ、いくらした?』と聞くんですよ。深い意味はないのかもしれないけど、転勤についていっていたころは私も専業主婦だったので、稼いでいないくせに倹約していないのかと言外に責められている気がして」



 



そうやって、「夫がストレス源」の状態が続き、ようやく手にした「単身赴任の夫をもつ妻」の立場。これが非常に居心地がいいのだという。



 



「世間からは、大変ねと言われるから、『寂しくて』と言っていれば“いい妻”でいられる。実際には子どもたちも伸び伸びしているし、私も気楽だし。私も今は働いていますし子どもたちも大きくなったので、家事も3人で分担して楽しくやっています。夫が帰ってくるのはせいぜい月に一度。夫が定年まで単身赴任が続きますようにと祈るような思いです」



 



 



■子どもの受験を機に





大学卒業後に就職した会社で知り合った4歳年上の男性と結婚したマミコさん(46歳)。結婚して17年、ひとり娘は15歳になった。





「都内で知り合って結婚したんですが、娘が3歳のとき、夫が故郷で仕事をしたいと言い出して。そのときはついていきましたが、近所や親戚との濃厚なつきあいにはついていけず、なんとか東京に帰りたいと思っていました。娘が小学校高学年になったころ、東京の私立中学を受験させたいと思い立って。ダメ元でと受験したら受かってしまったんです。それ以来、娘と私は、私の実家で生活、夫は夫の故郷でひとり暮らしをしています」



 



私立中学なんて贅沢だと言われたが、彼女は受験だけでもと言い張った。結果、合格すると娘自身がその学校に行きたいと主張、夫も折れるしかなかったのだという。



 



「結婚って“生活”ですからねえ、夫婦でもマンネリになりますよね。些細なことでイラッとしたりもする。うちはたまたま母がひとり暮らしをしていた家があるので、家賃もかからないし私も仕事をするようになったから、夫に大きな経済的負担はかかっていない。運がよかったんだと思います」



 



別居後は、月に1度、夫がやってくる生活。そのときは女三代が大歓迎する。夫はときどき、「家族なんだから一緒に住んだほうがいいと思うけど」とつぶやくが、マミコさんはそれをさらりと無視している。



 



「離れていても家族は家族。私は決して夫が嫌いなわけじゃない。ただ、夫婦と娘の3人だけで暮らしていくのは息苦しい。まして知らない土地では私のメンタルがもたないんです。ただ、それを言うと角がたつので、とにかく娘の学校の問題にするしかなかった」



 



おそらく夫の故郷へ彼女が行ってともに生活することは今後ともないのだろう。今後、どうやって暮らすかはそのときどきで考えればいいとマミコさんは思っている。さまざまな結婚の“形”がある。どれが正解でどれが間違いとは言えないのだ。


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