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「夏の風物詩」が肥満の原因?ダイエットの邪魔をする意外な食材とは…【Dr.山村の診察余録】





「エーッ!? なんで血糖値悪くなってるんですか??」






血液検査の結果を伝えるやいなや、中村直美さん(仮名、41歳、女性)は不服そうに声を張り上げます。中村さんは、春の会社検診で高血糖を指摘された境界型(糖尿病予備群)の患者さん。内服薬は使用せず、食事と運動で生活習慣病の数値はほぼ改善し、体重も減りつつありました。血糖値の指標であるHbA1c(ヘモグロビンA1c)も順調に下がっていたのですが、夏場に入って突如、彼女のHbA1cが上昇に転じたのです。



 



通院をはじめてからは、大好きだったコーラをゼロカロリー飲料や炭酸水に変更し,間食もほとんどやめています。中村さん本人は、血糖値が上がる原因が見当もつかない様子です。念のため、ホルモンの異常や悪性腫瘍が隠れていないか検査を追加しつつ、あらためて中村さんの食生活を見直します。



 



ちょうどその日、中村さんは栄養指導も受けていました。栄養士さんのカルテを何気なく確認した私の目に止まったのは、「毎食、果物あり」の文字。なるほど、犯人が分かりました……。



 



 





■「ほとんど水分」のはずが…



 





聞くところによると、中村さんは無類のスイカ好き。夏になると毎食(!)スイカを食べているとか。果物も血糖値を上げる一因になることを説明すると、「スイカって、ほとんど水分じゃないんですか?果物は体に良いって思ってたので…」と意外そうな表情です。





実は、果物も多くの糖質を含んでいます。果物の甘みの主成分は「果糖(フルクトース)」とよばれる糖質で、直接的には血糖値(血液中のグルコースの濃度)は上げません。しかし、筋肉や肝臓でグルコースに変換され、最終的には血糖値を上げる一因となります。





スイカは水分が多く、フルーツの中でも糖質量が際立って多いわけではありません。ただ、みずみずしく食べやすいので、つい食べ過ぎてしまいがちです。中村さんの場合、大玉のスイカをカットして冷蔵庫に冷やし、食後のほかにも、寝起きやお風呂上がりの水分補給として2、3日に1玉のペースで食べていたことがわかりました。



 



中村さんにとってスイカは「水分」であり、「糖質」としても「間食」としても認識されてなかったのでした。



 



果物はビタミンやミネラルの供給源として、体にいいものというイメージが強いですが、過ぎたるは及ばざるが如し。食べ過ぎは血糖値の観点からワルモノにもなります。



 



ごはんやパンなどの炭水化物や砂糖と違って、血糖値を上げるまでに変換のステップが加わるため急激な血糖値上昇は引き起こしにくいです。しかし、ゆっくりと血糖値を上げ、加えて、中性脂肪も上昇させるため肥満の原因となりえます。



 



1日分の果物摂取量の目安は、血糖値が気になる方の場合、両手でお椀型をつくり、その中に平らに収まる量。りんごなら半分、バナナなら1本くらいです。フルーツが好きな人には、1日分としては少なく感じる量でしょう。意外なところに含まれている糖質の存在を知っていただき、血糖値を上げすぎず、糖尿病にならないよう、上手に果物と付き合っていきたいものですね。



 



【Dr.山村・診療情報】

「上大崎クリニック」

非常勤外来(不定期につき診察日はクリニックへお問い合わせください)



 



「押上駅前松浦内科クリニック」

火曜・金曜非常勤外来(詳細はクリニックHPをご覧ください)



 



※情報は2019年6月17日時点のものです



 



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