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新入社員に「辞めてもいいよ、逃げてもいいよ」はアマすぎるか?




とある企業で管理職を務める40代後半の知人男性から突如、以下のような問いかけが私のもとへと届いた。



 




4月になって新卒が入ってきた会社、部署も多いと思いますが、



新卒社員に安易に「逃げてもいいよ」「辞めてもいいよ」と言う人たちにモヤモヤ……といったネタがツイッターで話題になってるそうです。



 



若者たちに「察する力」がなくなりつつある現代、



こうした親身に見えてその実、無責任なアドバイスは、



むしろ毒にしかならないのでは……? 



という文脈のようです。



 



ゴメスさんは新卒で就職していますし、



弟子も多く取っていますよね?



新人に対して「逃げてもいいよ」的な声掛けをするのはどう思われますか?




 



「そんなアドバイス、今のサラリーマン社会じゃ本気で横行しているのか!?」



 



……と、いささか驚愕したものの、近ごろの新入社員に贈る言葉としては、わりと定番なメッセージになりつつあるという。Twitterのツイートを集めて公開できるウェブサービス『Togetter(トゥギャッター)』にも『「新社会人へ、仕事が辛かったらやめても良い。逃げても良い」というアドバイスが賛否両論』なるタイトルのまとめ記事がアップされていた。このそこはかとなく口当たりの良い「優しすぎる訓示」の真意は、



 




新しく働き出したみなさんへ。仕事はいざとなったら投げ出してもいいし、逃げてもいいのです。それで君のすべてが否定されるわけではない。退路をふさぐと、仕事は労働になってしまう。人は生きるために仕事をするのではない。生きることが楽しい、それを最上位に置いてください。ほどほど、がんばれ。




 



……みたいな感じである……らしい。



 



さて。新卒で就職して、じつのところ7年間は画材屋で正社員として働き、フリーになってからも弟子を(傍系も合わせると)軽く30人以上は取ってきたワタクシ山田ゴメスの見解はいかに……?



 



まず、同記事に掲載されてるツイートにもあったとおり、



 




「(会社を)辞め(ら)れない」って思い込む人を減らすためにはこの手のツイートを蔓延させるのも手かもしれないね。




 



……とは、たしかに私も思う。ただ、コレもまた同記事に掲載されていたツイートにあるのだが、



 




自分の人生の責任を取るのは自分なのでスキルアップも考えて仕事と健康のバランス(を)取っていかないとスキルが大して上がらないまま年取ることになる恐れがあることを忘れないで。




 



……とも、同様に私は思う。魅惑的な甘言には必ず「但し書き」という名のウラがある、「優しいアドバイスは毒にも薬にもなる」というセオリーは、きちんと肝に銘じておいてもらいたい。



 



「経験」は、それがたとえ「ブラック企業で牛馬のごとくこき使われただけ」であっても、100%“糧”になるのだ。それが嫌なら、すぐに辞めようが逃げようが別に全然かまわないのだけれど、私は「あまりにすぐ」そうしちゃうのは、単純にもったいない気がする。いくら実際に入社してみたら想像と実状のギャップが激しすぎだったとしても、仮にも一度は、まがりなりにも相思相愛の関係になった企業ではないか。できれば3年、最低でも1年の“年単位”は我慢して働けば、「前のカイシャ、超ブラックで大変だったんすよ〜」との愚痴一つにも説得力が帯びてくる。



 



だから、大学の経済学部を卒業しながらもイラストレーターになりたいと、「美術系の学校で体系的な勉強をしてこなかったがゆえの技術不足を画材の知識で補うため」画材屋に就職した私は、7年間店頭に立ってレジを打ち続けた。そして、そこで得た「知識」は間違いなく現在のキャリアの根底を担っている。



 



フリーランスになった私を頼って「弟子にしてください!」とゴメス組の玄関まで押しかけてきて、殊勝に頭を下げていたくせに、試しに使ってみたら、「イメージと違う」なんて捨て台詞を吐きつつ、1ヶ月も経たずに辞めていった輩もたくさんいた。「去る者は追わず」が私の基本姿勢とは言え、せっかくの縁なのに……本当にもったいない。コラムニストや小説家チックな記名原稿を書くほうの文筆家を目指してきたんだろうが、80ワードのキャプションもロクに書けないヤツが小説やコラムなんぞ書けるはずもない。



 



とりあえずは、すぐに辞めたり逃げたりする人種の方々が好んで口にする「夢」なる単語をいったんは封印して、遮二無二眼前にあるやっつけ仕事を右から左へとこなす修行期間っていうのは……いつの時代になってもやはり、ある程度は必要なのではなかろうか?


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