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【中年名車図鑑|6代目日産サニー 】若いユーザーに支持され、カローラを追い抜いた歴史的一台


2016年12月6日、日産自動車から1つのプレスリリースが発表される。同年11月の国内新車販売の車名別ランキングにおいて、日産ノートが初の首位に輝いたというニュースだ。実は日産車が車名別で月販トップになるのは、1986年9月のB12型系サニー以来、実に30年2カ月ぶりの快挙だった。今回は“TRAD SUNNY”の愛称でヒット作に昇華したB12型系の6代目サニー(1985~1989年)で一席。



 





【Vol.92 6代目日産サニー】



 



排出ガス規制やオイルショックといった困難を乗り越え、クルマの高性能化と上級化に舵を切った1980年代前半の日本の自動車メーカー。その最中に日産自動車は、主力の小型乗用車であるサニーの全面改良を画策する。80年代後半に向けた大衆車で、かつ国際戦略車に位置する新しいサニーに必要な要件とは──。ここで開発陣は、1台のミディアムクラス車を参考にする決定を下す。日産の工場においてノックダウン生産をすることが決まっていたフォルクスワーゲン(VW)・サンタナだ。



 



日産と西ドイツ(現ドイツ)のフォルクスワーゲンAGは、国際貿易上の問題解決に積極的に貢献することを目的として、全般的な協力関係を1980年12月に樹立する。その一環として、1981年9月に日本でVWサンタナのノックダウン生産を実施する契約を結んでいた。日本にやってきたVWサンタナをつぶさに研究した日産のスタッフ。その技術的な学習を、次世代サニーの開発に活かそうとしたのである。



 



 





■“TRAD SUNNY”を謳って市場デビュー



 







直線基調の端正なルックスが「トラッド サニー」の真骨頂。セダンで全長4155×全幅1640×全高1385~1400mmとコンパクトサイズ。写真は1500ターボ




基本コンセプトに「時代が要求する様々なニーズをバランスよく織り込んだ“ジャストサイズクオリティセダン”」の創出を掲げた次世代サニーの開発陣は、まず基本骨格の刷新に取り組む。新設計のプラットフォームと組み合わせるボディは、剛性のアップや品質の向上を狙って高張力鋼板および有機皮膜処理の防錆鋼板を採用。ホイールベースは従来比+30mmの2430mmに設定する。ボディタイプは4ドアセダンと5ドアワゴン(カリフォルニア)、3ドアハッチバックを用意した。懸架機構はフロントにマクファーソン式ストラットを、リアにパラレルリンク式ストラット(FFモデル。4WDモデルはリバースAアーム式ストラット)をセット。上級モデルにはアジャスタブルショックアブソーバーも装備した。





搭載エンジンは改良版“PLASMA”シリーズのE15ET型1487cc直列4気筒OHCターボ(100ps)/E15E型1487cc直列4気筒OHC(82ps)/E15S型1487cc直列4気筒OHC(73ps)/E13S型1270cc直列4気筒OHC(67ps)という4機種のガソリンユニットとCD17型1680cc直列4気筒OHCディーゼル(55ps)を採用する。トランスミッションには5速MT/4速MT/4速AT/3速ATを用意。駆動機構にはFFのほか、セダンにパートタイム4WDを新設定した。





エクステリアについては“サニーらしい明快さ”をテーマに、直線を活かした端正なルックスに仕立てる。同時に、セダンは高品質でシック、ワゴンは軽快でスポーティ、ハッチバックはファッショナブルでカジュアルなムードを創出した。ボディサイズはセダンで全長4155×全幅1640×全高1385~1400mmに設定する。一方で内包するインテリアは、居住空間の拡大や機能性の向上を図るとともに質感を大きくアップ。ボディタイプに合わせてカラーリングなどをトータルコーディネートしたことも訴求点だった。





新しいアプローチ手法で開発した第6世代のサニーは、B12の型式をつけて1985年9月に市場デビューを果たす。キャッチフレーズは“TRAD SUNNY(トラッド サニー)”。車種展開はセダンが1500ターボ/1500/1500・4WD/1300/1700ディーゼル、ワゴンのカリフォルニアが1500/1700ディーゼル、ハッチバックが305/303(末尾はエンジン排気量を意味)のシリーズで構成した。



 



 



■歴代サニーのエポックメイキングに昇華



 





3ドアハッチバックは「ファッショナブルでカジュアルなムード」を創出




市場に放たれた6代目サニーは、欧州調のスクエアで端正なルックスや高品質なボディ、卓越した走行性能、機能性に富んだインテリアなどが“ワンランク上の大衆車”として好評を博し、従来以上に多くの受注を獲得する。ファミリー層だけではなく、若者層のユーザーが増えたことも特徴だった。また、CMでは6代目サニーのシックなイメージを強調するように、ビートルズの『Here, There and Everywhere』をBGMに使って話題を集める。その後のCMでは、ビートルズの『Oh! Darling』(1986年8月~)や『You Never Give Me Your Money』(1987年9月~)、ジョン・レノンの『LOVE』(1989年1月~)がBGMとして使われた。





新世代のサニーの人気をさらに高めようと、日産は積極的に車種ラインアップの拡大や仕様の変更を実施していく。まず1986年2月には、パーソナルクーペモデルの「サニーRZ-1」を発売。1986年8月には、CA16DE型1598cc直列4気筒DOHC16Vエンジン(120ps)を搭載した1600ツインカム・シリーズをラインアップに加える。翌9月には、セダンとカリフォルニアにフルオート・フルタイム4WD車を設定した。



 





5ドアワゴンはカリフォルニアの愛称が与えられた。「軽快でスポーティ」なイメージをアピール




1987年9月になるとマイナーチェンジを実施し、1500のエンジンを新世代“GA”ユニットのGA15E型1497cc直列4気筒OHC12V(97ps)とGA15S型1497cc直列4気筒OHC12V(85ps)に換装。同時に、内外装デザインの一部変更や4WD車への4WASの採用などを行う。1988年1月には、セダンのスポーツモデルとなる1600VRツインカムと特別仕様車の1500/1300 EXサルーンGをリリース。翌2月には、セダンのスーパーサルーン系に国内初のツインエアロルーフ装着車を設定した。さらに、同年6月にはトリプルビスカス4WD車と特別仕様車の1500スーパーサルーンTRADを、9月にはドアミラーヒーターなどを装備するスノーバージョンを発売。1989年1月には、セダンを中心とした一部改良を行う。そして1990年1月になると、いっそうの高品質を追求した7代目のB13型に移行した。





一時は最大のライバルであるカローラの販売台数を上回る好成績を記録し、またユーザー層の若返りにも成功した6代目サニー。その偉業は、日産自動車のサニー史、ひいては国産大衆車の歴史のなかで燦然と輝いているのである。

 


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