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スーパーボランティアの尾畠さんが教えてくれた、子どもの「もしも」を考えないという視点




 



山口県周防大島町で行方不明となっていた2歳男児を発見し、大きな注目を集めた尾畠春夫さん。「子供は下には行かない、上に行く」というスーパーボランティアの経験値をもとに、わずか30分で発見に至ったのですから、圧巻です。警察が連日、大規模捜索をしても見つかっていなかったというのに……。



 



 



■「子供は下にいは行かない、上に行く」



 



尾畠さんの「子供は下には行かない、上に行く」という言葉、今現在、小さいお子さんを育てている親御さんなら、「たしかに!」「なるほど」と合点が行くのではないでしょうか。子供の発達段階と照らし合わしても、まさに合致します。



 



0歳の赤ちゃんの成長を見ると、「上への願望」がよく表れています。まずは、寝返りで始まり、おすわり、ハイハイ、そしてつかまり立ち。目線がどんどんと高くなっていきます。そして、まだ歩けないうちでも、四つん這い状態で何かによじ登り、1歳以降、歩けるようになれば、さらに家の中の階段、すべり台、ジャングルジム…と上へ上への行動が増えていきます。



 



トドラーと言われる、よちよち歩きの時期は、高い場所から、もしすべったり、落ちたりしたらというリスクまでは気づいていないので、親からしたら、「怖くないのかしら」と思うところまで上がっていってしまうことも少なくありません。上がるだけ上がって、下りるときは「抱っこ」というお子さんも結構いますが、上に行くことに気持ちは行くものの、上ったら、下りなくてはいけないという計算まではしていないことが分かります。



 



今回警察は、まずは、「池や井戸などに落ちたのではないか」「事件に巻き込まれたのではないか」という部分に焦点を置いて捜索をスタートさせたようですが、幸い、そのような事態には遭遇せずに済んだので、理稀ちゃんは自分の思いのまま、上へ上へと登っていったのでしょう。ましてや2歳の子にとっては、家の中で、2階への階段を上ることと、おじいちゃんの家の裏山を登ることに大きな違いはありません。「ここを登ったら危ないかな」とは当然考えないので、自分の発達や本能に沿って進んだと思われます。まさに、理稀ちゃん的には、「目の前に登るものがあったから登った」のでしょう。



 



 



■尾畠さんが教えてくれたこと



 



今回、尾畠さんが私たちに教えてくれたのは、視点を変えることの大切さだと思います。警察は、「事件や事故に巻き込まれていたら……」ということを踏まえ、ため池や側溝、古井戸、空き家などに重点を置いて捜索をしていましたが、ボランティアである尾畠さんは、「事件や事故に巻き込まれなかったら、子供ってどう動くのだろう」という部分に着目し、それに沿って動きました。



 



さらに尾畠さんは、自分が理稀ちゃんを見つけるという方向性のほかにも、理稀ちゃん自身が自分を見つけてくれる可能性も踏まえていたのでしょう。山の木々の中でも目立つオレンジのTシャツと赤のねじりハチマキをしていて、理稀ちゃんへの視覚的なアピールもされています。すべて理稀ちゃんの生命力を信じての行動です。



 



警察は大がかりな捜査をしたにもかかわらず見つけられなかったことで、かなり批判も受けたようですが、結果的に、理稀ちゃんの発見につながったのですから、両者が視点の違う捜索を同時進行できたことも勝因なのだと思います。ただ、こういうことが起こると、最悪の事態を想定して動いてしまうのが大人の習性なので、尾畠さんのような「もしも」を考えない視点も、非常に大切なのだと今回改めて感じさせられました。



 



 



■過信を捨てることの大切さ



 



今回の事件は、尾畠さんの奇跡のレスキューのおかげで一件落着となりましたが、家の直近でさえ、いくら探しても見つからないような事態になりうる怖さを教えてくれました。小さいうちは、ちょっと目を話すと、一瞬で迷子になることがあります。ここまでの騒ぎには至らないにしても、ヒヤッとしたり、慌てて探したりする状況を経験したことがある方も多いのではないでしょうか。



 



とくに夏は、お出かけの機会も多いですし、はじめての場所に行くことも増えます。「このくらいの距離なら、大丈夫だろう」という過信は禁物です。「もしものこと」は迷子になってから考えるのではなく、迷子になる前に考えるべしです。そうすれば、大半の迷子は防げるはずです。


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