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「車道走行原理主義者」たちよ。幹線道路の“自転車ナビライン”は安全なのか?




東京の道に最近、自転車ナビマークあるいは自転車ナビラインと呼ばれる表示が増えてきた。どちらも車道左端、自転車の走る場所にペイントしたもので、自転車ナビマークは自転車を正面から見たアイコンと矢印を白で描き、自転車ナビラインは矢印のみをブルーで表示している。警視庁のウェブサイトによれば、自転車ナビマークは道路、自転車ナビラインは交差点で、それぞれ自転車の走る場所や進む方向を示し、安全な走行を促すものだという。



 





東京で自転車レーンの設置を推進したひとりが、舛添要一前東京都知事だった。舛添氏は高額な海外出張費や公用車の私的流用などが問題となり、就任から2年あまりで辞任しだが、ロンドンのそれを思わせるブルーのペイントを施した自転車レーンは、筆者の事務所の近所など各所に出現した。



 



最近の日本では、ひとつの不祥事があるとその人すべてを否定する論調がはやっているようだが、舛添氏の自転車政策が相応の結果を残していることは、その前の猪瀬直樹元都知事が推進した東京メトロと都営地下鉄の一元化への取り組みを含め認めるべきだろう。



 



話を戻すと、その後制定された自転車ナビマークおよび自転車ナビラインは、舛添元知事が推し進めていたブルーの自転車レーンに比べればコストはかさまないような気がするし、走る場所だけでなく方向も示した点は評価できる。



 



しかし最近気になるのは、生活道路のみならず幹線道路まで、一律にこの表示を設置していこうという動きが見られることだ。編集者からは環状8号線にこの自転車ナビマークが描かれているという報告を受けた。大型トラックがひんぱんに通る環8の路肩に自転車ナビマークがあることが、自転車の安全な走行に貢献するとは思えない。環状8号線ぐらい道幅がある道なら、車道や歩道とは独立した「自転車道」を作るべきだろう。可能であれば道路を再配分して、ゼロから自転車道を構築してほしいところだが、現時点で自転車のために割ける場所があるなら、歩道か車道か、片側通行か対面通行かを問わず確保していってほしい。



 



こう書くと必ずと言っていいほど反論を出してくるのが、「車道走行原理主義者」と呼ばれる一部の自転車専門家だ。筆者が作った呼び名ではなく、インターネットで検索すると結果が数多く出てくる。自転車は車両の仲間であり、自転車道や専用レーンのない場所では車道左側(日本や英国など左側通行の場合)を走ることが決められている。これは筆者も認めるし遵守している。しかし彼らは自転車道や自転車レーンであっても車道左側にこだわる傾向が強い。



 



筆者は欧州各地の都市交通を見てきた。その様子は自分のブログ(THINK MOBILITY)で報告している。気になる方は見ていただきたいが、欧州のすべての都市の自転車道や自転車レーンが車道右側(欧州大陸の国々は右側通行なので)に設置されているかというと、そんなことはまったくない。



 



自転車王国として知られるオランダの首都アムステルダムは、自転車レーンをレンガ色としてあって分かりやすいが、たとえばアムステルダム中央駅近くのレーンは歩道上にあり、しかも対面通行だった。ほかにもベルリン、パリ、バルセロナなど各地で歩道上や対面通行のレーンを見てきた。



 



車道走行原理主義者は無視したくなる状況かもしれないが、これが現実だ。危険という人がたまにいるけれど、危険なら速度を落として通行しようという発想がなぜ生まれないのだろうか。都市空間には限りがある。限られた空間を臨機応変に多くの機能に割り振っていくのがまちづくりだと思っている。ついでに言えばアムステルダムにも自転車レーンのない道は、裏通りなどにたくさんある。もちろん自転車は車道右側を走っている。自転車ナビマークはこうした場所で、自転車の走る場所を示すためには有効だろう。



 



しかし幹線道路も同じように、車道左側にペイントすればOKとは考えないでもらいたい。対面通行でも歩道上でもいいから、自転車道かそれに近い構造の自転車レーンを作ることが最終到達点だろう。もっとも大事なのは自転車利用者の安全なのだから。



 



※情報は2018年3月2日時点のものです


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