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「他人をイジるとき」に絶対忘れてはならない、ある一つの心構え


「大人の女性に向けて、面白くて役に立つ情報をお届けすること」をコンセプトとするWEBメディア『コクハク』が、「他人をイジる」という行為に対して、いささかの警鐘を鳴らす旨の記事を配信していた。著者さんは “イジリ”が一種の文化として定着している感のある関西の出身で、冒頭では

 

私は関西出身なので、お笑い文化が身近にあり、小さな頃からイジリ慣れをしております。
そしてもちろんイジられ慣れもしているのですが、最近「これはちょっと高度な文化なのかもな」と思いはじめました。というのも、イジリは一歩間違うと “大事故”になるからです。

 

…との “問題提起”がなされている。一体全体どういうことなのか? とりあえずは、著者さんが述べる、その「高度さ」の根拠を以下に要約しておきたい。

 

イジリと似た言葉に、イジメがあります。というか、「そもそも同じでしょ?」と思う方もいるかもしれません。でも全然違うんです。

 

じゃあ、どこが違うのかというと、相手に得があるかないか。この一言に尽きます。イジリ文化が成立するためには、イジられた人間がその場でもっとも得する必要があるんです。

 

その人の可愛らしさや面白さ、優しい一面や人間味あふれる部分などを笑いを交えて引きだせる、それがイジリなんですね。

 

「まさにおっしゃるとおり!」だと、心底から首(こうべ)を垂れた。ちなみに、私はどちらかと言えば「イジられやすい」タイプのキャラで……たとえ年下であっても皆さん、それなりにこなれた関係になったら、どんどんと “ゴメスイジリ”をやってくる。

 

もう私もいいアダルトゆえ「イジられているうちが華」と割り切り、たいがいはニコニコと受け流してはいるものの、なかにはつい「ムッ」としてしまうフライング気味なイジリもなくはない。ましてや「(イジられることによって)私がもっとも得をした」というイジリに出会うケースは……正直申して、滅多にない。


たとえば、私がアラフォーの男性友人・Sクンと一緒に、最近懇意になった女性二人との飲み会に参加したとする。そして、こんな会話が交わされたとしよう。

 

女性A:それにしてもゴメスさんって、全然アラカンに見えないんですけど~!

 

ゴメス:そうかなぁ……(まんざらでもない様子で)。

 

女性B:40代とかでも絶対とおりますよ~!

 

ゴメス:マジか!? んじゃ、今日は49歳ってことで(笑)。

 

女性A:もうダメですよ~(笑)! ホントの年齢聞いちゃってるから。

 

Sクン:それにゴメちゃん、最近カラダもあちこちガタがきてるもんね(笑)。

 

女性B:え〜!? めっちゃ健康そうじゃん!

 

Sクン:だってホラ……ゴメちゃん、奥歯は全部入れ歯だし!

 

女性A・B:うっそぉ~~~!?(爆笑)


仮に、私が彼女ら二人と、これからも「仲良しな女性友だち」として関係を続けていきたいだけだとしたら、このSクンによる「ゴメちゃん、入れ歯だし!」という “ツッコミ”は、結果として爆笑だったので「ナイスなイジリ」ってことになるのだろう。そこで私も「じつはぁ~」と “ボケ”をかましながら、すかさずパカっと(部分)入れ歯を外し、よりいっそうの大爆笑を誘うためのサービス精神を発揮する。

 

しかし、これがもし、私がどちらかの女性を本気で「カノジョにしたい」と狙っていたとすれば……そのSクンの “ツッコミ”は、私を貶める誹謗中傷のたぐい──イコール「バッドなイジリ」にしか捉えられず、「入れ歯のことはもっと彼女と親密になってからカミングアウトするつもりだったのにぃ~!」と、私は彼のことを(たぶん)一生恨み続けることだろう。

 

そう! 「イジリが真に相手の得になるかどうか?」のジャッジは、じつにデリケートなシロモノであって、そこに100%の “確信”がなければ……「下手にイジらないほうがよっぽどマシ」なんである。

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