親族や友人との外出やお宅訪問の際、迷うのが服装。相手に良い印象を与えるためには、どのような服装を心がければよいのでしょうか。今回は見落としがちな服装マナーについて、ヒロコマナーグループのマナーコンサルタント・川道映里さんが解説します。
服装選びに役立つ「TPPPO®」
「TPPPO®」とは筆者の師匠であるマナー講師の西出ひろ子氏が発案したもので、「Time」(時間)、「Place」(場所)、「Person」(人・相手)、「Position」(立場)、「Occasion」(場合)の頭文字をとり名付けられました。服装を選択する際は、時間と場所、そして相手や自分の立場、場合に応じて検討することをおすすめします。
例えば、友人と高級レストランでのディナーに行くのであればドレスアップをし、子ども連れで外出する際はカジュアルな装いにするなど、状況に応じて服装も変化をします。「TPPPO®」を前提とすると、相手も自分も心地良い装いを選ぶことができるでしょう。
装いのポイント
続いて服装を検討する際、特に注意したいポイントを紹介します。
清潔感
お互いに気持ち良く楽しい時間を過ごすために、清潔感のある装いはとても大切です。相手に不快感を与えない服装や髪型に気を配れるといいですね。髪の毛の長い人はカバンの中にヘアゴムを携帯しておくと、食事をするときや子どもを抱っこする際に、パッと髪を束ねることができるので便利です。
また、意外と自分で気がつかないのが「におい」です。においはデリケートな事柄なので、他人からも指摘しにくいもの。まずは、汗や制汗スプレー、普段使用している香水などのにおいについて、強すぎないかなど意識してみましょう。
機能性
どんな状況においても「機能性」は大切なポイントです。無理のない動きやすい装いを心がけましょう。例えば、少しおしゃれをしたい外出時でも、小さな子どもも一緒となるとアクセサリーなどは身につけにくいですよね。華やかさを出したい時は、子どもを傷つけたりすることのないように、アクセサリーではなくリボンやフリルをあしらったトップスを身に着けると良いでしょう。アクセサリーが無くてもフェミニンな印象を演出することが可能になります。
自分に似合う色の見つけ方
誰しも、自分の好きな色があります。しかし、それが自分に似合っているのかといえば、必ずしもそうではない場合もありますね。好みの色を身に着けるのも良いですが、似合うものであれば与える印象も変わってきます。
そこでここからは、筆者がマナーの師匠から学んだ「簡単! 自分に似合う色やスタイルの見つけ術」を紹介します。
- 全身鏡の前に立って、洋服をあててみます。
- 鏡をパッと見て自分の目線が洋服にいくなら、残念ですが控えた方がいい洋服となります。これは、その色があなたよりも目立ってしまっているためです。
- 反対に、最初の目線が自分の目にいけば、それはあなたに似合っている洋服です。
この方法は、口紅などの化粧品を選ぶ際も同様に使えます。自分で判断しかねるときは、家族や友人に尋ねてみましょう。あなたの良さを引き出してくれる自分色に出あえるといいですね。
手先、足先まで気を遣う
見落としがちな「靴」
普段の装いの中で、意外と人から見られているのが「靴」です。特に座っている人の前を横切る際は要注意。座っている相手はどうしても視線を下へ落としがちなため、靴は相手の視界に入りやすいのです。手入れがしっかりとされていない靴を履いていると、ふとした瞬間に印象を損なってしまいます。かかとがすり減っていないか、ヒールのゴムが取れていないか、いま一度見直してみましょう。
靴にも格付けがある
女性の靴はどのタイプのものも同じ「格」ではなく、形状によって格が異なります。カジュアルな(格が低い)靴をはいて正式な場に行くなどすると、ひんしゅくを買うこともあるので気をつけましょう。
最も格上なのは、つま先もかかとも覆われている「パンプス」です。続いて、かかとは覆われ、つま先は空いている「オープントゥパンプス」、次につま先は覆われ、かかとは覆われていない「バックベルトパンプス」、そしてミュールやブーツなどとなります。「TPPPO®」に応じて、無理のない使い分けが大切ですね。
なお、上記はあくまで基本の話です。例えば正式な場への参加だとしても子ども連れの場合などは安全第一。スニーカーやヒールの低いパンプスでもちろん構いません。
靴の保管方法
靴は一度履いたら、靴箱へ入れて保管をする前にしっかりと手入れをしましょう。まずブラシでほこりを落とし、クリーナーでやさしく汚れをとります。そして靴箱に乾燥剤を入れ、多湿を防ぐようにしましょう。こうすることでカビが発生しにくくなります。
さらに、革靴の場合は型崩れをしないように注意が必要です。シューキーパーを入れて、形を保った状態で保管します。靴箱の側面にキリなどで、3カ所ずつ穴を空けておくと通気性が良くなります。手入れをしっかりするのとしないのでは靴の持ちや見た目も変わってきます。いざという時に「くたびれている靴しかない! 」と焦ってしまわないように、普段から心がけておきましょう。
視線がいく「手」
靴と同様、相手の視界に入ることが多い「手」も、見た目を調えるうえで重要なポイントです。とはいっても、ネイルをするのは子どもがいるとなかなか難しいもの。その場合は自爪をきれいにしておくだけで、細かな部分にまで配慮ができ、清潔感のある人といった印象を与えられます。
爪は短く切り、可能であれば甘皮の手入れまでできるといいですね。最近は、爪専用の様々なキットが販売されているので、自宅で簡単に手入れすることができます。またいつも頑張ってくれている「手」に対して、「ありがとう」とクリームでマッサージをするだけでも、肌が整い優しい気持ちになれますよ。
指はそろえることを意識して!
服装とは少し異なりますが、所作も大切。例えば書類や方向を指し示したり、物を取るときなどは、手の指先はそろえることを意識しましょう。指が長く見えたり上品な印象を与えることが出来たりすることで美しく見える他、物などを大切に扱うあなたの気持ちが、相手、そして物にも伝わります。
毎日忙しい中で、できないこともあるでしょう。全部取り入れないといけないと焦るのではなく、まずは取り入れられそうなことからでも、「TPPPO®」を意識しながら取り入れてみてください。相手も自分も心地が良い、自分らしい装いを楽しめることを願っています。