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相続法が40年ぶりに改正--配偶者に優しく、遺言書の書き方も緩和



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今年、約40年ぶりに「相続法」が改正されます。遺言書の書き方が緩和されたり、これまでは「相続人でない」とされていた親族が相続できるようになったりするなど、自分事として知っておきたい内容ばかり。FPの稲村優貴子さんがわかりやすく解説してくれました。


家族が亡くなった後、遺族は悲しみが癒される間もなく、遺産の整理手続きをしなくてはなりません。せっかく故人が遺言を書いていても、ルールに則って開封しなければ無効になるなどの問題点が多かった「相続法」が約40年ぶりに改正されました。主な改正点を3つ紹介します。

「自筆証書遺言」の新しい書き方


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夫や妻に先立たれた配偶者の生活を守るため、そして相続が「争族」にならないためにも、遺言書の利用促進の必要性が高まってきています。今回の相続法改正の中でも特に注目したいのが、「自筆証書遺言」の作成方法が緩和されたことです。

これまでは、遺言の全文を自書することが条件でしたが、細かな財産も一字一句手書きするのは大変です。そこで、改正後は、「財産目録」はパソコンで作成したり通帳のコピーを添付したりするだけでも対応できるようになります。なお、今回の改正法の施行は2019年1月13日となるため、それ以降に作成された「自筆証書遺言」が対象となることに注意が必要です。

また、法務局で自筆遺言を保管する制度が新設される予定です(遺言保管法により2020年7月10日~)。遺族は遺言者の死亡後、法務局に遺言書の有無の確認や、あれば遺言書の写しを請求できるようになります。今までは自筆証書遺言は封を開けずに家庭裁判所で検認を受ける必要がありましたが、法務局に保管しておけばその必要がなくなり、スムーズに相続手続きを進められるようになります。

「特別寄与」の創設


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被相続人(亡くなった人)の事業に労務提供したり、療養看護など特別な寄与があったりした場合、相続の際に「寄与分」を請求することができます。今までそれができるのは、相続人(相続の権利がある人)に限られていました。そのため、実態上は親の介護をしてきたのが長男の嫁だったとしても、嫁は民法では相続人にならないことから寄与分を請求することはできませんでした。

今回新設された「特別寄与」を請求できるのは、「相続人でない親族」です。親族とは、配偶者、6親等以内の血族(血のつながった家族)、3親等以内の姻族(婚姻により家族関係になった人)をいい、例としてあげた「長男の嫁」は「相続人ではない親族」に該当します。

では、具体的にどれくらい請求可能なのでしょうか。金額の目安は「療養介護の日当分×日数」で数百万円ほどでしょう。日当が5,000円、介護期間が2年間と仮定すると5,000円×365日×2年=365万円です。ただし、この額は請求が可能というだけで、相続人が認めなければ受け取ることはできません。相続人達の相続財産が減ることになりますので、もめずに認めてもらえるよう、日々の介護日記やかかった費用の領収書はもちろん、もらったものやお金も記録として残しておくと良いでしょう。「病院に連れて行くついでにいつも外食していい思いをしていたじゃない? 」など言いがかりをつけられないためにも、金銭的にプラスとなった要件も記録しておくことをおすすめします。

配偶者亡き後も自宅に住み続けやすくなる「配偶者居住権」


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夫婦一緒に住んでいた自宅の評価が3,000万円、夫が残した現金は2,000万円の場合、相続財産の総額は5,000万円です。相続人が妻と長男のみの場合、相続割合は1/2ずつとなり、それぞれ2,500万円ずつとなります。今までは、妻がそのまま自宅を相続するのであれば、500万円の現金を長男に渡した上、現金2,000万円はすべて長男が相続することになっていました。このようなケースでは、住宅を相続すると現金を相続できないばかりか持ち出し金まで必要となり、残された妻の今後の生活が大変になってしまいます。

そこで、住んでいる建物を対象として「所有権」とは別に、一生涯または一定期間使用するか、賃貸などで収益を得ることを認める権利である「配偶者居住権」が創設されました。この「配偶者居住権」の評価計算は平成30年12月14日に出された「平成31年度税制改正大綱」で発表されました。

わかりやすいイメージで前述の「自宅の評価が3,000万円・相続人が妻と長男のみ」の例で説明すると、配偶者居住権の評価額が1,500万円となった場合、自宅評価の残りの1,500万円を「居住建物所有権」として取得することになります(計算によっては、評価額が均等になるとは限りません)。このようなケースの場合、夫が残した現金2,000万円を妻と長男で1,000万円ずつ相続でき、妻は今までの家に住み続けることができるうえ、現金も相続できることになるのです。

なお、この「配偶者居住権」は、あくまでも遺産分割における選択肢のひとつであって、当然に得られる権利ではありません。遺産分割・遺贈・審判によって取得される権利となります。

また、「配偶者短期居住権」も新たに創設されました。こちらは相続開始時(被相続人が亡くなったとき)に建物に無償で居住していた配偶者は、遺産分割確定まで(最低6カ月)は登記せずとも住み続けられるというもので、遺産分割協議の間は無償で住み続けることができます。


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この相続法の改正は、遺された家族が困らないよう、そして陰ながら支えた、従来は相続人にはならなかった親族などに配慮した内容になっています。内容を知っておかないと、いざというとき利用できないこともあります。自分自身におきかえて制度を理解し、突然起こるかもしれない相続に備えておきましょう。


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