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おせち料理の意味や由来ーーお重の詰め方[三段重版]完全ガイド



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お正月に食べるおせち料理。重箱に詰まった料理それぞれに縁起をかついだ意味があることをご存知でしょうか。また、詰める際はどの段にどの料理を詰めるか意識できていますか。おせち料理のしきたりについて、民俗情報工学研究家の井戸理恵子先生に教えてもらいました。


おせち料理とは

お正月の時期に食べる行事食のおせち料理。実は、かつては「端午の節句」や「桃の節句」も含めたそれぞれの節句に食べる行事食でした。おせち料理を漢字にすると「お節」と書くのはこのことに由来します。今では、1月7日の「人日の節句(じんじつのせっく)」に食べていたものがおせち料理として残っています。

ちなみに、現在はおせち料理を重箱に入れるのが一般的ですが、かつては大皿に盛って出されていました。料理などを気前よく提供することを「大盤振る舞い」というのは、これに由来する言葉。大皿にごちそうをのせてお正月に振る舞うことを、大盤振る舞いと言ったのです。

それぞれのお重に詰める料理

おせち料理を詰める際、現在は三段や二段のお重を使用する家庭が多くなっていますが、正式には五段のお重が使われます。五段のものを使う場合は、一番上の一の重(もしくは一番下、地域によって変わる)は空にして、見栄えのする南天の実や葉などをのせて幸せを呼び込みます。また南天は「難を転ずる、難転に通じる」とされることから縁起を担いで入れるともされています。


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南天の実。この実や葉を一の重にのせる

四段のものを使う場合は、一の重には「祝い肴」と呼ばれる酒のおつまみになるものや、子どものおやつになりそうなものを入れます。二の重には「口取り」と呼ばれる前菜系のおかずを、三の重には海の幸を中心にメインディッシュになるものを入れ、与(四)の重には山の幸を入れます。なお、数字の「四」は「し」=「死」とも読めるため縁起が悪いことから、おせち料理のお重では「四」ではなく「与」を使って、「与の重」とあえて呼ぶようになりました。

三段のお重の場合は、一の重に祝い肴と口取りを、二の重に酢の物とメインディッシュになる海の幸を、三の重に煮物などの山の幸を入れるようにしましょう。

おせち料理の意味


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こちらは「田作り」

ではそれぞれのおせち料理の意味と、どの段のお重に詰めれば良いのかを解説します。ここでは一般的によく使用される、三段のお重版で説明していきます。

一の重

「数の子」

数の子の親魚であるにしんに、漢字の「二親」を語呂合わせであてはめ、子孫繁栄を願います。また金色でめでたい色をしていることも正月料理にふさわしい理由です。

「黒豆」

「マメに働く」「マメに暮らす」の意。また黒い豆には魔除けの意味があるともいわれます。

「伊達巻」

おしゃれな男性のことを「伊達男」とも呼ぶように、見た目の豪華さが伊達に通じることからお正月に食べます。また巻いて作る料理ということが、「巻物=書物=知識が詰まったもの」というイメージに通じ、知識や文化の発展を願う料理でもあります。

「紅白かまぼこ」

半円の形が日の出の形に重なってめでたいイメージを想起させる食材です。「かま」は鎌と、「ほこ」(ぼこ)は矛と語呂が合い、鎌で魔を祓い矛で守るという意味もあります。白魚の練り物はかつては高価で日常的には食べられなかったため、めでたいときにだけ真っ白な練り物を食べていました。

「栗きんとん」

金色をしていることから、金塊に見立てられて財や富の象徴とされます。

「たたきごぼう」

ごぼうは育つときに細く長く根を張ることから、人生が末永く安泰であることを意味します。また五穀豊穣の意味も持ちます。

「昆布巻き」

「よろこぶ」の語呂合わせから使用します。

「田作り」

田作りとはかたくちいわしの稚魚を干して醤油で甘く煮詰めたもので、「ごまめ」ともいいますね。ごまめは「五万米」とも書け、またいわしが田畑の肥料として使われていたことから、五穀豊穣の願いを込めて作られます。

二の重

「紅白なます」

赤と白の色が水引の色と重なって、めでたさの象徴となっています。また、白が男性を、赤が女性をイメージし、生命の象徴でもあります。

「エビ」

腰が曲がるまで丈夫に長生きするようにという意味を持ちます。エビの色が紅白であることから縁起がいいともいわれます。

「鯛」

「めでたい」との語呂合わせ。なお、メインディッシュの魚には、鯛の他に出世魚の「鰤」(ぶり)もよく使われます。

三の重

「れんこん」

れんこんには穴が空いていることから、全ての物事が通っていき、先が見通せるという意味。またれんこんは種が多いため、子孫繁栄の意味も兼ねます。

「里いも」

里いもには、子いもがたくさんつくことから子孫繁栄の意。多くの品種がある里いもの中でも、特に「八頭(やつがしら)」が喜ばれます。これは「八」が末広がりであることや、八つの頭(人)の上に立つことから出世も意味しているためです。

「お煮しめ」

「鬼を締める(鬼を〆る)=鬼退治」を意味し、家族から魔を祓いみんなが長く健康でいられることを願います。

それぞれのおせち料理の意味について理解は深まりましたか。新しく始まる1年を健康で幸せに過ごせるように、各料理の意味を楽しみながら食べてくださいね。


監修: 井戸理恵子

今回お話を聞いた先生


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井戸理恵子(いどりえこ)

ゆきすきのくに代表、民俗情報工学研究家。1964年北海道北見市生まれ。國學院大學卒業後、株式会社リクルートフロムエーを経て現職。現在、多摩美術大学の非常勤講師として教鞭を執る傍ら、日本全国をまわって、先人の受け継いできた各地に残る伝統儀礼、風習、歌謡、信仰、地域特有の祭り、習慣、伝統技術などについて民俗学的な視点から、その意味と本質を読み解き、現代に活かすことを目的とする活動を精力的に続けている。「OrganicCafeゆきすきのくに」も運営。坐禅や行事の歴史を知る会など、日本の文化にまつわるイベントも不定期開催。


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