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【ブルワーインタビュー】女子ブルワーのパイオニア!ビール好き向けのコテージも経営するテリさん










ビール女子のみなさま、こんにちは!ポートランド在住の東リカです。

ポートランドの女子ブルワーをリレー形式で紹介するこの企画。今回は、前回お話を伺ったキャットさん紹介のテリ(Teri Fahrendorf)さんにお話を伺いました。

数々の受賞歴をもつブルーマスター兼「ピンクブーツ・ソサエティ(Pink Boots Society)」の創始者でもあるテリさん。彼女は、アメリカ西海岸初の女子ブルーマスター。また、単独でアメリカ横断ブルワリー巡りにも出かけた強者なんです。

テリ ブルーマスター 女子ブルワー
今回は、テリさんが自宅の敷地内で経営するビール好きのための宿「ブルーマスターズ・コテージ(Brewmaster's Cottage)」でお話を伺いました。


ブルーマスターズ・コテージ(Brewmaster's Cottage)


「ブルーマスターズ・コテージ」は、ブルーマスター夫妻が2007年よりポートランド北部セントジョーンズ地区の自宅敷地内で経営する宿泊施設。独立したタイニーハウスは、その名の通りビールをテーマに彩られている。2階建て、約74平方メートルのハウス内及びパチオやアメニティ全てにおいて細部まで考慮されており、長期でも快適に過ごすことができる。1組4人まで宿泊可能。


ビール愛が詰まったコテージ


ブルーマスターズコテージ 宿泊施設 ポートランド
ーテリさん、こんにちは!こちらが「ブルーマスター・コテージ」ですか。ホップやビール樽の描かれたステンドグラスが可愛いですね。


  テリさん


ありがとう!このステンドグラスもそうだけど、内部にあるビールをテーマにしたアートワークは、全て私が集めたり作ったりしたの。ホップ、イースト、モルト、水の要素やビール造りの工程、ビールの歴史など多くのビールモチーフが詰まっているわ。



ポートランド ビール旅 ホテル
細部にまでビール愛を感じるコテージ内。ビール関連の本もたくさん揃っています。

テリさんみたいに有名なブルーマスターの自宅敷地内に泊まれるというだけで、ちょっと自慢できちゃいそうです。クラフトビール好きにとっては最高の宿ですね!

女子ブルワー ポートランド テリ
ここを拠点に、たくさんのビールを楽しんでほしい」というテリさん。ブルワリー巡りにも活躍しそうな自転車の貸し出しもしています。また、夏場はビールを買ってきて、コテージのパチオで飲むのがおすすめだそう。

オレゴン&カリフォルニア初!女子ブルワーのパイオニア


女子ブルーマスター ポートランド テリ
現在は、モルト会社「Great Western Malt」で、モルト・イノベーション・センターのマネージャーを務めるテリさん。まずは、「初のロッキー山脈西側での女子ブルワー(カリフォルニア初・オレゴン初)」「全米で3人目の女子ブルーマスター」というテリさんのブルワーとしてのキャリアについて聞いてみました。


  テリさん


ビールの道に進むきっかけは、大学卒業後にプログラマーとして就職したけど、つまらないと感じたこと。そのとき、3年ほど趣味で行なっていたホームブリューイングをキャリアにしようと思ったわ。世界中の文化に登場する発酵飲料としての伝統や歴史、アートプロジェクトのようにクリエイティブな側面、人との会話を促すソーシャルな役割をもつビールに惹かれるの。



その後、シカゴのシエベル工科大学で醸造技術を専攻し、卒業後に無事、サンフランシスコのブルワリーに就職。

しかし、ブルワリーが2ヶ月で閉鎖したり火傷を負ってしまったりと、ビール造りの大変さや危険さを肌で感じたそうです。それでも、ここで負けてはいられないと奮闘。2年ほどカリフォルニアのブルワリーで働き、最終的にはオレゴン州ユージンの「スティールヘッド・ブルワリー(Steelhead Brewery)」でブルーマスターとして17年間務めます。

女子ブルワー アワード ブルーマスター
ースティールヘッド・ブルワリーでは、アメリカンIPA『U.C.I.P.A.』での「グレート・アメリカン・ビア・フェスティバル」の銀メダルをはじめ、たくさんのアワードを獲得しましたよね。それなのにスティールヘッドを辞めて、お一人でアメリカ横断ブルワリー巡りに出かけたのはなぜですか?


  テリさん


クレイジーな話よね(笑)。無職になって、夫も置いて、一人で30フィート(9m強)にもなるヴァン+キャンパーを運転してブルワリーを巡るなんて。

スティールヘッドにいる頃からジャッジとして大会やコンファレンスに参加していて、年に1度だけ会うブルワーの友人が全国にたくさんいたの。でも、みんながどんなブルワリーでどんな風にビールを造っているか知らなかった。だから、見にいこうかなって。小さな街のブルワーとしては上り詰めたし、そろそろ外に出て、世界を広げる時期だって思ったのよね。



アメリカ横断!「Road Brewer」ツアー


女子ブルーマスター ポートランド
アメリカ横断ブルワリー巡りの様子は、ブログ「Road Brewer(http://roadbrewer.blogspot.com/」にも綴られていますが、少し「ロードブルワー」旅の概要を教えてもらえますか?


  テリさん


これまでみたいにブルーマスターの肩書きがない、無職の女でしょ。それがちょっとアイデンティティ・クライシスでね。それで「ロードブルワー」って名乗ることにしたの。

期間は、2007年6月4日〜10月20日までの139日間。オレゴン州からメーン州までの区間を往復12,656マイル(約20,368km)、友人のいるブルワリーとそれらの道中にあるブルワリーを含めて合計70軒を巡った



GPSもまだ普及していなかった当時、テリさんは、電話で道筋を聞いては、案内を頼りにブルワリーへ向かいました。そして、その駐車場に車を停めて、キャンパーで就寝。「ご飯をご馳走してもらえるよう、夕飯時を狙ってブルワリーに到着するようにしていた」と笑います。

翌朝からは、ブルワリーのビール造りに参加。コラボをする時代ではなかったため、基本、そのブルワリーのその日の作業に参加する形です。それからランチ、午後はブログを書いて、次の場所に向かう。その繰り返しで、70軒のブルワリーを訪れました。

写真提供:Joe Sixpack/Don Russell


ーものすごく長い走行距離ですが、地域によってビール造りに違いはありましたか?


  テリさん


クラフトビールが増え始めた当時、東海岸はヨーロッパの影響が濃く、伝統的なスタイルのビールを極めたい造り手が多かった。

対して西はビール造りにも「ワイルドウエスト」開拓者精神みたいなのが根付いている。場所も広くホップも近場で取れ、海外を見るならアジアの方。だから、伝統的なスタイルでも、ゆず、キヌア、ワイルドライスなどの珍しい食材も積極的に取り入れて、自分だけのビールを生み出したいという造り手が多いと感じたわ。


Teri Fahrendorf
写真提供:Teri Fahrendorf


ーピンクの長靴がテリさんのシンボルマークになったのはこの旅からですよね?なぜピンクの長靴を使うことにしたのですか?


  テリさん


当時女子ブルワーはすごく珍しくて、私がブルワリーに現れる度に「ヘイ!どうしたの?道に迷ったの?」って聞かれる感じだった。もちろんブルーマスターだと自己紹介して一緒に働き出せば仲間になるんだけど、この旅では自分が単なるブルワーじゃなくて、「女」のブルワーってことも主張するべきって気がしたの。

それで、当時は黒とこげ茶しかなかったブルワーアイテム・長靴を女子を象徴するようなピンクにするのはどうかなって夫に話したの。そうしたらなんと、出発前日に義理の母からピンクの長靴が届いたの!だから、その話をまず出発前のブログにアップしたのよ。



その後、1つ目のブルワリーを訪れる際「やっぱりピンクの長靴はいかにも女子っぽくって、気恥ずかしい」と思ったテリさんは、いつもの黒い長靴を履いて行きました。すると、ブログを読んでいたブルワーたちに「ピンクで来てよ」と追い返されてしまったんだとか。これを機に、腹を括ったテリさん。その日以降、ピンクの長靴でブルワーに現れることに決めたそうです。


ピンクブーツ 女子ブルワー 漫画ビールをテーマにしたコミック。ピンクの長靴のキャラクターのモデルはテリさん!


ー当時、女子ブルワーは全米をみても相当少なかったですよね。ロードトリップで女子ブルワーと会う機会はありましたか?


  テリさん


サンディエゴの「ストーン・ブルーイング(Stone Brewing)」で当時ブルワーとして3年目くらいのローラが、この旅で最初に出会った、私が初めて一緒にビール造りをした女子ブルワー。

彼女と話すうちに「メンターとして彼女の力にならなくちゃ」「女子ブルワーのネットワークが必要かも」って考えるようになった。その後16人の女子ブルワーに出会った。みんなそれぞれ「女子ブルワーは自分だけだ」と思い込んでいて、孤立感を感じていたから、他にも女子ブルワーがいると知るとものすごく驚いて、興味を示していたわ。



この出会いをきっかけに、テリさんのサイトから閲覧できる女子ブルワーのリストを作ります。タイトルが「女子ブルワーリスト」だとパッとしないと考えたテリさんは、陽気な高齢女性を会員とする団体「レッドハット・ソサエティ」にあやかり、「ピンクブーツ・ソサエティ 女子ブルワーリスト」と名付けます。これが、「ピンクブーツ・ソサエティ」を創立するきっかけになるのです。

女子ブルワーを応援する「ピンクブーツ・ソサエティ」


ピンクブーツソサエティ 女子ブルワー
ー「ピンクブーツ・ソサエティ」について教えてください。


  テリさん


「ピンクブーツ・ソサエティ 女子ブルワーリスト」をアップして以降、「ブルワーじゃないけれど、ビール関連の仕事をしている」「私もピンクブール・ソサエティに加えて欲しい」というリクエストメールがたくさんの女性から届いたの。でも「ソサエティ」って名前だけで、実は単なるリストでしょ。だから、旅から戻って数ヶ月後、ローラと相談してサンディエゴでのビアコンファレンスに合わせて集まる計画を立てた。リストの16人に声をかけ、この集まりを組織にするかを決めるランチ会議を開いたのよ。



この会議は、女子ブルワーだけが一堂に会するという歴史的な日になりました。更に6人の女子ビールライターを招待し、合計22人の女性ビール関係者が集まったのですが、みんな初対面でもとても盛り上がったそうです。そして、全員一致により「ピンクブーツ・ソサエティ」が組織として誕生しました。

会員資格に男性を入れるかはかなりの議論になったそうですが、最終的には「アイデンティティが女性である」ことに決定。それから「プロとしてビール関連の仕事についていること」がもう1つの条件。ピンクブーツ・ソサエティは、「女性」「ビール」「プロ」の3つを支持する非営利慈善団体と定義されました。

具体的な活動としては、奨学金など教育機会の提供を中心に会員をサポートしています。世界各国に支部があり、3月8日のインターナショナルウーマンズデイには世界中でコラボブルーイング「Pink Boots Collaboration Brew Day」も開催しています。


  テリさん


ペイイットフォワードの考え方が根底にある組織なの。だから、奨学金を受けてビール造りを勉強したら、学んだことを少しでも会員に還元することが義務づけられてる。組織初の奨学金を受けたのはスウェーデンの女性なんだけど、母国語じゃない英語でアメリカ最古の醸造学校・シエベル工科大学のオンラインのコースを卒業して、学んだことを、ものすごく緊張しながらも私たちの前で発表した時には、みんなが誇らしい気持ちになったわ。



ピンクブーツ 女子ブルワー ネットワーク
最後に、ビール女子に向けてメッセージをいただきました。


  テリさん


女子ブルワーから「なかなか仕事が決まらない。女子だから差別される。どうすればいい?」という泣きごとのような相談を受けることもよくあるの。確かに差別はあるかもしれない。でも、そこで負けていたらどうしようもない。自分がベストのブルワーになって、雇わなかった人たちを悔しがらせればいいだけなんだから。

例えば、いまだに採用試験で「ケグを階段の上まで運べるか?」みたいな質問をするところがあるみたいだけど、論点はそこじゃないはず。どれだけ安全にそのタスクをこなせるかが大事なわけでしょう?男性もマッチョな意地を張って腰を痛めたりするんだから、いかに安全な職場造りをするかを提案すべきよね。女性はその手伝いもできる。何事にも適応できることだけど、視野を広く、自信と勇気をもつことが大事ね



たくさんのことを成し遂げたテリさん。明るくて、温かく、頼り甲斐のあるとても素敵な方でした。
ポートランドに来ることがあれば「ブルーマスターズ・コテージ」に泊まってみては?



ブルーマスターズ・コテージ(Brewmaster's Cottage)

○住所:6625-B N. Amherst Street, Portland, OR 97203
○予約はバケーションレンタルサイトVacasaを通して、サイトフォーム、TEL、メール、FAXで行えます。ブルーマスターズコテージのユニット番号(Unit #)は、 9494
HPhttps://www.vacasa.com/unit.php?UnitID=9494
TEL:+1 (503) 345-9399
○email: info@vacasa.com
○FAX:+1 (503) 897-7036







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