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【レビュー】自らの尊厳のために命すら賭した歴史的事件を今の時代に伝える意味とは—『最後の決闘裁判』


今では誰もがハリウッドの売れっ子であることを認めるマット・デイモンベン・アフレック、この2人は昔から親友同士だ。

2人が共同で脚本を書き上げて出演もした映画『グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち』が広く評価されたことを契機に、彼らの名は広く知られることになった。

そんな彼らが約25年の時を経て再び共同で脚本を手がけ、共演した映画が公開されている。

2人から本作の監督に指名されたのは『エイリアン』『ブレードランナー』『グラディエーター』等で知られる巨匠リドリー・スコット

2人以外の主要キャストをアダム・ドライバージョディ・カマーといった旬な俳優たちが固める。

物語は実際に起きた歴史的スキャンダルを描いたミステリーだ。

14世紀のフランスで、ある騎士の男がその妻に夫の旧友から強姦されたとの驚きの告白を受ける。

ところが旧友は自身の無実を主張したため、2人の男は互いに命を懸けて闘う“決闘裁判”に挑むことになる。

この映画、蓋を開けてみると、愛する者を傷つけた相手への純粋な復讐、夫婦の愛情や結びつきの美しさといった綺麗事からは遠い内容だ。

映画が事細かに生々しく拾い上げるのは、家父長である男に強すぎる権利が与えられた反面、女性の権利が全く確立されていなかった中世の古い価値観だ。

決闘裁判で夫に認められた権利を見ても、実質的には妻のための復讐などではなく、自身の所有する財産としての妻の価値が貶められたことについての被害回復という意味合いでしかない。

しかも仮に夫が決闘に敗れてしまうと「神が被害事実の不存在を証明した」とみなされ、妻は偽証をしたという理由で火炙りにされてしまうのだ。

また、後継ぎの子供をなかなか妊娠しない妻に対する風当たりも極めて強い。

当時、女性は男性に従属するものとしてその立場はあまりにも低いものだった。

そんな時代に女性が自信の被害事実についてしっかり声を上げるということは、時代に先駆ける勇敢な行動であり、まさに命懸けの決意表明でもあった。

終盤の激しい決闘シーン自体も十分に見応えがあるが、本作が最も伝えたかったのは、そんな声を上げて主張する、芯のある女性の強さや美しさだろう。

そんなテーマが観る者にしっかり届く理由の一つに、マット・デイモンたちが脚本の段階からこだわった物語の「構成」が挙げられるかもしれない。

本作は3つの章に分かれていて、夫である騎士、強姦の疑惑をかけられた旧友、強姦の被害を訴える妻の順にそれぞれの視点による物語が1章ごとに展開する。

まさに名作『羅生門』を彷彿させる構成だが、同作が真実を藪の中に隠してミステリー要素を高めようとしたのに対し、本作はむしろ前述したテーマを意識的に伝えようとした点に方向性の違いがあるかもしれない。

人が変わり視点が変わるだけで、起きた出来事や関係性に対する見方はこんなにも変わるものかと唸るように観ているうちに、いつしか事件の真相についての感じ方も変容していく。

ちなみに男性視点で描かれる最初の2章分の脚本はデイモンとアフレックが担当したが、妻の視点で描かれる最後の章の脚本は女性であるニコール・ホロセフナーが担当している。

これには、女性の視点による物語は女性が書くべきだ、とする製作陣の強い想いが感じられる。

女性の社会進出が進み、さすがに中世のヨーロッパよりは女性の権利・立場が格段的に改善されたとは言え、今なお社会における男女間の格差や不公平は解消されていない。

本作が描いた中世の時代は、人の命が軽すぎた反面、男性より立場の低かった女性の口は一般的に重く閉ざされていた。

そんな時代の風潮に真っ向から逆らって勇敢にも声を上げることをやめなかった女性が実在したということを描いた本作は、現代でも多くの人に共感を持って迎えられるだろう。

そして、女性の本音とは裏腹に男たちが自分たちのためだけに争い合っているのは、今も昔もそう大差がないような気すらしてくるのだった。

 

配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン
10月15日(金)公開中

© 2021 20th Century Studios. All Rights Reserved.

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