Juice=Juice・金澤朋子 子宮内膜症で今後の活動に影響
予兆は、昨年の秋からあった。
10月17日、その日からはじまる全国ライブツアー「LIVE MISSION 220 〜Code2→NEXT to YOU〜」の公演を体調不良で欠席した金澤。この体調不良が、その後に公表される子宮内膜症によるものなのかは不明だが、重要な初日公演を離脱し、公演前に予定されていたサイン会も返金対応で中止にしたのだ。単なる風邪などでないのはあきらかだった。
武道館公演実現の条件として、全国220公演達成を目標とするライブハウスツアー。その過密スケジュールからか、これまで公演やイベントを欠席したメンバーは、金澤を含めて5人中4人。当初は、ファンの間でも「またか」「働かせすぎだ」などの声が大半で、事態をそれほど重く見てはいなかった。
ファンが不穏な空気を感じはじめたのは、年明けのハロプロ全体コンサートだ。1月9日、金澤はその日の2公演を欠席。翌10日の昼公演には登場したが、体調が万全でないことは、重い表情や動きから見て取れた。案の定、夜公演の途中から金澤は姿を見せなくなった。その日は、DVDの収録が入っていた。本来なら全休としたいところ、無理をしてギリギリまでステージに立っていたのかもしれない。
1日2〜3公演を連日こなしていくハロプロの全体コンサート、通称「ハロコン」では、ツアー途中で体調を崩し離脱する者が少なくない。特に、毎年1月2日からはじまる冬のハロコンでは、インフルエンザに罹患して欠席するメンバーが多い。しかし、このとき金澤にインフルエンザの症状が出ていたのなら、周囲に広がることを恐れ、収録があろうとも朝から欠席させていたはずだ。前年の秋から痛めていた肩が悪化したと見る向きもあったが、昼公演ではひな壇に座ってのトークコーナーを休んでいたため、それも考えづらい。金澤は、1月11日と12日のJuice=Juiceのイベントも欠席した。
1月13日、金澤の体調不良が「胃腸炎」であることが公式サイトで伝えられた。とりあえず、病状が分かったことでひと安心する一方、その後に予定されていたJuice=Juiceでの2公演(1月13日、15日)、ハロコン2公演(同16日、17日)の欠席決定の知らせに、ファンはとまどった。「ただの胃腸炎で、そこまで長引くだろうか?」と。ハロコンを欠席した1月9日以降、ブログをほぼ更新していなかったことも、心配する気持ちを波立たせた。
金澤が生の姿をファンの前に見せたのは、1月19日の握手会イベント。3日後の単独ライブにも晴れて復帰するが、その公演後の握手会で、金澤は大粒の涙を流した。体調への配慮か、途中からは着席しての握手となった。欠席が続いた悔しさからなのか、あたたかく待ち続けていたファンへの感謝か、それともほかの理由があるのか。涙を流し続ける金澤を前に、数百人のファンは誰も確かめることができなかった。
金澤朋子の本当の病名が報告されたのは、それから3日後だった。
そもそも、子宮内膜症とはどのような病気なのか。ハロプロの公式サイトには、「20代から40代の女性のおよそ10%が患っている」とあるが、「それほど珍しくはない」と、特段に心配しないでもいいものなのだろうか。
子宮内膜症とは、本来子宮内にある子宮内膜という組織が、子宮以外の場所に発生し増殖する病気だ。最も大きな症状は、下腹部、腰、頭などに表れる「痛み」で、それは「腹の奥が引きちぎられるよう」とも表現される。これだけでも、「多くの女性がなるから」と楽観できる病気ではないことが分かる。また、短期間での完治は難しく、基本的に長く付き合っていく病気だという点も気がかりだ。金澤にとってはハロプロの大先輩である松浦亜弥も同じ病気を患い、活動をセーブすることになった。
「今後は体調と相談しながらの活動となりますが、今までと同様、いや、今まで以上に!精一杯努力していきます」
自らを鼓舞するかのように語る金澤だが、同時に「志半ばで夢を諦めたく無いという気持ちが強かった」とも綴っている。「卒業」や「引退」という選択が、現実味をもって考えられていたことがうかがえる。
「薬の影響による突発的な頭痛、めまい、むかつきなどの症状が見受けられます。体調をみながらの活動となります事、また急な変調も予想されますので、何卒ご理解下さいますようお願い申し上げます」
こちらは、所属事務所であるアップフロントプロモーションからの公式発表だ。この内容からも活動の継続は間違いないようだが、現在、Juice=Juiceはハロプロのどのグループよりも多忙を極めている。前述の単独ツアーだけでなく、朝井リョウの同名小説を原作とするテレビドラマ『武道館』の劇中ユニット「NEXT YOU」としての動きも、2月3日のシングルリリースに向けていよいよ本番を迎えるところだ。
220公演という無謀とも思えるライブツアーは、やっと折り返しを迎えた辺り。同じハロプロのアンジュルムが「2年で日本3周」を宣言したものの、その後、なし崩し的に公約の旗を下ろしたこともあって、Juice=Juiceまでが同じ道を辿るわけにはいかない。文字通り、過酷なミッションだ。
そんな苦労が実を結んで、最近のJuice=Juiceへの評価は非常に高い。総合的なパフォーマンス力は、ハロプロトップとの声も耳にする。当然この評価は、他に類のない歌声や個性を持つ金澤朋子あってのもの。“5人”のJuice=Juiceのキャラクターバランスのよさは、ハロプロのみならず、アイドル界随一だ。「決して無理をさせたくはないが、グループ成功のためにも活動は続けて欲しい」と願うのが、ファンの偽らざる気持ちだろう。
このようなとき、ファンはどのような態度をとるべきなのか。「働かせすぎるな」「しっかりと休ませろ」と事務所をバッシングするのは簡単だ。しかし、原因が不明で短期間の完治は難しい病気だけに、休養を取ることだけが本当に金澤朋子のためになるのか、現時点では医師すら分からない。とある医師会では、子宮内膜症に罹った者の心がけとして、第一に「好きな仕事や趣味を続ける」ことをあげている。
今回のアクシデントに、ほかのメンバー4人は「みんなで支えていきたい」と声を揃えている。「観覧者」や「ユーザー」というだけでなく、「サポーター」の側面も強く持っているアイドルファン。心配する思いや応援の持ちを過剰な方法で表すことなく、本人の意志を尊重して冷静に見守るのが、今、ファンにできる第一のサポートかもしれない。
【リアルライブ・コラム連載「アイドル超理論」第13回】
*写真 (C)フジテレビ/スカパー!/共同テレビ
【記事提供:リアルライブ】
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