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時蔵から初代中村萬壽 「萬には 叔父・萬屋錦之介の魂が入っている」6月に襲名


インタビューで笑顔を見せる「初代中村萬壽」を襲名する中村時蔵(撮影・中島郁夫)

<情報最前線:エンタメ 舞台>

初代中村萬壽が6月に誕生する。歌舞伎俳優中村時蔵(69)が「六月大歌舞伎」(同1~24日、東京・歌舞伎座)で襲名し、43年間名乗ってきた「時蔵」は、長男中村梅枝(36)が継ぐ。萬壽に込めた思いや、時蔵を託す気持ちなどを聞いた。【小林千穂】

   ◇   ◇   ◇

5月は「團菊祭五月大歌舞伎」の昼の部「毛抜」に出演している時蔵。43年間名乗った時蔵としての最後の舞台、萬壽を迎える直前の舞台となっている。出番後の取材で、柔和な表情で記者を迎えてくれた。

「特別な、大した気持ちはないんですよ。それより、(準備で)忘れていたことがあるんじゃないかって焦ってます(笑い)」

時蔵と離れるさみしさより、継承を見られる喜びの方が大きいという。

「さみしさは全然ないです。うれしいです。時蔵という名前は祖父が大きくして、父が継いで、私が継いで…。時蔵という名前が大好きだった祖母に報いることができたと思います。私も大好きな名前ですが、絶やさないことも大事なこと。元気な時に次の人を見届けるのもいいなと思っています」

コロナ禍以前から、孫大晴(ひろはる)君(8)の初舞台のことを考えていた。時蔵親子はともに、梅枝の名前で歌舞伎俳優としての初舞台を踏んでいる。大晴君にも梅枝からスタートしてほしかったという。

「じゃあ(今の)梅枝をどうするかとなったんです。別のおうちから名前を借りることも考えましたが、私が新しい名前になって、梅枝が時蔵になれば、萬屋の中でできるわけです」

新しい名前「萬壽」には、屋号である萬屋から1文字取った。10代半ばの時に一家の屋号が萬屋になった。映画俳優で叔父中村錦之助が萬屋錦之介に改名したことでも、当時大きな話題になった。

「萬屋という屋号を嫌がった叔父も最終的に折れて、俺も名前を変える! と。萬という字には叔父の魂が入っていると思っています。新しい名前はいろいろ考えましたけど、最初に思いついたのが萬壽でした。去年の夏ごろ決まって、そこからはどんどん襲名に向かって動き出しました」

萬壽を襲名することで、役柄の幅も広がりそうだ。意欲を見せる。楽しみにしている気持ちは表情からも伝わってくる。

「もう少し老け役を守備範囲として。大事な役どころですから。『盛綱陣屋』の微妙など、やってみたい役も多いですし、自分の手の内に入れていきたいです。若い役、立役、今までやってきたような役ももっとふくらませたいです。まだまだこれからです」

■3代共演 披露口上は菊五郎

「六月大歌舞伎」の夜の部「山姥」が、萬壽の襲名披露狂言(演目)となる。これまで数々の相手役を務めて共演してきた尾上菊五郎が披露口上を述べる。「菊五郎のおにいさんに相談したら『おう、俺出るよ』と言ってくださいました」と喜ぶ。

同演目には、梅枝あらため時蔵が出演し、大晴君が梅枝として初舞台を踏む。さらに、いとこである中村獅童の長男が中村陽喜(はるき)として、次男が中村夏幹(なつき)として初舞台を踏む。祝祭感あふれる狂言になりそうだ。「子供たちはお芝居が好きなので一生懸命やってくれると思います」と楽しみにしている。

昼の部「妹背山婦女庭訓」は時蔵襲名披露狂言。片岡仁左衛門が豆腐買おむらで出演する。「この間、歌舞伎座でご一緒した時、もう(役を)構想していらっしゃいました」と、うれしそうに語った。

◆中村時蔵(なかむら・ときぞう)1955年(昭30)4月26日生まれ。4代目中村時蔵の長男。萬屋。60年4月歌舞伎座「嫗山姥(こもちやまんば)」で3代目中村梅枝を名乗り初舞台。81年6月歌舞伎座「妹背山婦女庭訓」で5代目中村時蔵を襲名。古典、新作、時代物、世話物、舞踊と幅広く演じる。クラシカルでノーブルなたたずまいと、よく通る声が特徴。趣味の陶芸が舞台での集中力に生きている。長男中村梅枝、次男中村萬太郎。

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