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唐十郎さんほど伝説の多い演劇人はいない、ジャックナイフをカウンターに突き刺したことも…


05年10月、本紙インタビューに応じる唐十郎さん

唐十郎さんほど伝説の多い演劇人はいないだろう。新宿の酒場で作家の野坂昭如さんと言い争いになり、唐さんはジャックナイフをカウンターに突き刺した。血を見る事態になる寸前にイラストレーターの黒田征太郎さんが仲裁に入ったという。

唐さんが1963年に旗揚げした「状況劇場」は当初から街頭劇や野外での公演を行っていた。65年には東京・数寄屋橋公園に南京袋のサックドレスや白衣などを着込んで現れ、公園内にあった池に飛び込んだり、のたうち回ったりのパフォーマンスを見せて、警察署に連行された。当時の新聞には「自称演出家の唐十郎さんをリーダーとする演劇愛好グループ」と書かれる無名の存在だった。66年の野外公演では3日間の公演で観客はわずか70人。照明機材がなく、舞台袖に置いた2台の自転車を劇団員が必死にこいで、そのライトのかすかな明かりが出演者を照らした。

そんな状況劇場が一躍注目集めたのが、67年に出現した「紅テント」だった。葉山の海外に釣りに行った帰りにひらめいたアイデアがきっかけだった。これまでもサーカスではテントを使っていたが、演劇では初めてだった。15万円で買った八角形の紅テントが花園神社にお目見えし、観客は床に敷いたむしろに座って見た。マスコミも大きく取り扱い、唐さんも状況劇場も「アングラ演劇の旗手」ともてはやされるようになった。

開放感あるテント公演に魅せられたのが、若き日の18代目中村勘三郎さんだった。19歳の時に初めて見て「これは歌舞伎の原点。いつかこういうところでやりたい」との思いを抱き、それから25年後に仮設の芝居小屋である平成中村座を旗揚げした。「紅テント」がその原点だった。唐さんは演劇界に大きな影響を与えた人だった。【林尚之】(ニッカンスポーツ・コム/芸能コラム「舞台雑話」)

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