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唐十郎さん、直筆台本は小さな文字ぎっしり 型破りな舞台とは対照的な繊細さに驚き/悼む


煙草を吸う唐十郎さん(1969年撮影)

アングラ演劇の旗手として知られる劇作家唐十郎(から・じゅうろう)さん(本名大鶴義英=おおつる・よしひで)が4日午後9時1分、急性硬膜下血腫のため、都内病院で亡くなった。84歳。

5日、主宰する劇団唐組が発表し、座長代行が取材に応じた。1日に自宅で転倒し救急搬送されたという。長男で俳優大鶴義丹(56)も舞台出演後、都内で取材に応じてコメントした。通夜、葬儀は近親者で執り行う。亡くなった5月4日は、アングラ劇団ブームでしのぎを削った寺山修司さんの命日でもあった。

   ◇   ◇   ◇

唐さんの直筆台本を見たことがある。白い大学ノートに小さな文字がぎっしりと書き込まれていた。3日で書いたという台本には訂正もなく、きれいだった。型破りな舞台とは対照的な繊細さに驚いた。

初めて取材した時は、すでに芥川賞作家だった。活動資金集めに妻だった李さんと各地のキャバレーで金粉ショーをしたとか、寺山修司から公演祝いに黒の花輪を贈られたことに激怒し、天井桟敷に殴り込んだなどの武勇伝を聞いていたので、どんなこわもてかと思ったら、色白で優しい笑顔に緊張がとけた。

ただ、舞台に登場すれば、俳優唐十郎の独壇場だった。60歳過ぎても泥水からはい上がったり、パンツ1つで駆け回った。病で舞台に出られなくなっても、体調のいい日は舞台あいさつに出た。「唐!」のかけ声と拍手がテントにあふれた。華のある人だった。

海外公演も行ったけれど、戒厳令下の韓国やレバノンのパレスチナ難民キャンプだった。唐さんの舞台には社会から疎外される人が多く登場したが、世界から疎外される人に寄り添うのも、唐さんならではだった。

李さんが亡くなった時、唐さんは「また会おう」と言葉をかけた。舞台では時空を超えて神出鬼没だった唐さんだから、アングラ演劇、唐ファンの思いは同じだろう。「また会おう」そして「ありがとう」と。【林尚之】

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