日米中3カ国語をしゃべる女優藤本ルナが、Netflixなどで配信中の米映画人気アクションシリーズ「山猫は眠らない10 レディ・デスの奪還」（オリバー・トンプソン監督）で主役グループ3人の1人に抜てきされている。映画「トゥームレイダー」のアンジェリーナ・ジョリーに憧れ、13歳で渡米。名門・北京電影学院に進んでグローバルに活躍する。連載最終回は、これからの目標などについて聞いた。
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13歳で女優を目指して渡米。大学は中国へ進んで、アクションシーンのために近距離での戦いを得意とする詠春拳を学んだ。「山猫は－」では、ゾンビのように次々と襲いかかる敵と、延々と戦い続けた。
「あの長回しは、やっぱりある程度、練習していないとできない気がします。監督も、私のアクションを見て、長回しがイケると思ってくださった。それでアクション監督と相談して、長回しが決定されたんです。今回はアクションも演技も、どちらもちゃんと見せられたのがすごい。なかなか、そういうチャンス自体もいただけないですからね。だから大事な役をいただいた上に、さらに演技力とアクションという両方をちゃんと見せられるという役どころで、すごく光栄だなって思っています」
次にやりたいのは恋愛もの。強い女とは、違うタイプの役だ。
「アクションものは定期的にやってるんで、恋愛ものをすごくやりたいです。これが1人の女性なの？ と思うような、感情の動きをすごく表現してみたいですね。仕事で自分の道を切り開きながらも、誰かと恋に落ちてときめく心は忘れないような恋愛ものをやってみたいです」
昨年公開された映画「レジェンド＆バタフライ」がお気に入りという。木村拓哉（51）と綾瀬はるか（39）が演じる、政略結婚で結ばれた織田信長と濃姫（帰蝶）が夢に向かう作品だ。
「あの恋愛が、すごい理想なんですよ。すごく偉大な愛を感じました。圧倒的な信頼関係というか、少しずつ芽えていく感情みたいなものが素晴らしいなと思って、すごく良かったです。もう、ボロ泣きでしたね」
言葉もしゃべれないまま、13歳で渡米して女優を目指した。当時は遠かった日米の距離が、大分近くなった。
「すごく近くなりましたね。当時はまだ、SNSのテレビ通話も普及してなかったですから。今は無料で、電話できちゃうんですから、すごいですよね。だから、女優をやっていくのに、どこにいても構わないという感じはします。そういう意味では、とてもやりやすいです」
地球上で日本語を話すのは1・3億人、英語は13・5億人、中国語は11・2億人、合計26億人近い。地球上の全人類80億人の3分の1近くと、言葉で通じ合える。
「役者をやるとなると、やっぱり発音が大事なんです。そこで、すごく時間を取られちゃいますね。ただ、アメリカにいて思ったのは、しゃべれない人は永遠にしゃべれないんですよ。20年暮らそうが、30年だろうが、いろいろな国の方がいるから自分たちのコミュニティーを探そうと思えばあるんです。そうなると、英語が通じなくても暮らせるみたいな状況が、すごく多いんです」
13歳の決断。女優を目指してアメリカに渡った。親の理解も大きかった。
「そういう意味では、本当に親には、めちゃめちゃ感謝しています。あの時に行かせてもらえたっていうのは、親の決断でもあるんですね。行きたいと言ったのは自分ですけど、行かせてあげられるっていうのはやっぱり大きかったなと。いろんな意味でね。許すのもそうだし、そういう余裕があったということですから。コロナ禍以降は、ベースを日本に移したので親孝行できています。一緒にご飯を食べに行ったりしています」（終わり）
【小谷野俊哉】
◆藤本（ふじもと）ルナ 東京都出身。誕生日は5月6日。13歳で女優を目指して渡米。ニューヨークのラガーディア高ダンス学科卒業後、中国の大学・北京電影学院入学。2020年（令2）に映画「モンスター・ハント 王の末裔」で女優デビュー。同年に中国映画「「淬火」「恩仇結」で主演。21年に映画「昨日より赤く明日より青く－CINEMA FIGHTERS project－」、水のない海」「永遠の1分。」、22年には映画「47RONIN ザ・ブレイド」に出演。公開中の映画「ハードボイルド・レシピ」では裏取引の運び屋を演じている。165センチ。
