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触れる等身大「わさお」や純金動物オブジェの「子ねこ」も 「はしもとみお 木彫展 -時をかけるケモノたち-」がギンザタナカ銀座本店で開催中


1892年に創業した貴金属の老舗ギンザタナカは2023年2月3日、動物の生き生きとした姿を木彫り彫刻で表現した作品で全国的な人気を誇る木彫り彫刻家・はしもとみお氏の個展「はしもとみお 木彫展 -時をかけるケモノたち-」の開催をスタートした。期間は3月19日までで、会場はギンザタナカ 銀座本店5階ホール。

本個展では、テレビでもおなじみの秋田犬「わさお」やギンザタナカの純金オブジェコレクション 動物シリーズ「子ねこ」のモデルとなった「ウニちゃん」などの動物彫刻作品24体、月に座る動物たちが可愛らしいオーナメント11点などに加え、レリーフやスケッチなど計42点を展示している。

開催に先立って2月3日にはプレス向け内覧会が行われ、はしもと氏自らが集まった記者たちに向かって本個展のテーマや作品ひとつひとつに込めた思いを語ってくれた。

今回のはしもと氏個展は、“作品に触って楽しめる”という大きな特徴がある。動物たちの顔や手、足、胴体などを触っていくことで、表面にツヤが増し、作品そのものが生きているかのように変化する。そんな生きた美術を堪能することができるのだ。

また作品たちはすべてガラスケースにも入っておらず、説明書きもない。まるで動物たちの住んでいる家にお邪魔させてもらったかのような雰囲気を楽しめるだろう。

これは、「足を踏み入れたら誰もがわかる美術を目指しているので、原始的で温かな、すぐそばにある美を間近で感じてそのまま共感してほしい」というはしもと氏の強い願いがあるからだ。

今回の展示の見どころはなんと言っても等身大サイズの秋田犬「わさお」だ。会場入り口でおすわりをしている様子が、来場客を出迎えてくれているようでなんとも愛らしい。

普段のはしもと氏の製作は、生きている動物を表現する“肖像彫刻”だ。しかしこの「わさお」はすでに亡くなっているため、飼い主さんや「わさお」と関わったことのある人へ取材したり膨大な写真や映像を取り込んだりして「わさお」をインプット。そこから破片をつなぎ合わせて作る“復元彫刻”なのだとか。実際には生きていない動物を、いわば現世に再現している。

「飼い主さんからは“耳が分厚かった”、“尻尾が竜巻みたいだった”といろいろな表現をヒアリングしました。まるで人間3Dプリンターのように作りました」と製作の苦労も語っていた。

はしもと氏がこだわっているのが、「生命感」と「その子らしさ」。「この一刀を入れるとこの子の生命が失われるのではないか」という緊張感を常に持ちながら彫っているという。造形としての美ではなく生命感が最も出たときに彫刻を終えることを目標としているのだそうだ。

会場には、はしもと氏が飼っている飼い犬の月くんもたくさんいる。

初代と2代目の2頭がいるので、それぞれの表情やポーズの違いを見つけるのも一興だ。

この他にも、はしもと氏の知り合いの方が飼っている猫や飼い主からの依頼で製作した猫など、猫たちが集まって悠々と過ごしているコーナーも。

この猫たちが乗っている家具は、予備校時代にはしもと氏にデッサンを教えてくれた師匠の西村浩幸氏による象鯨彫刻家具だ。日常の暮らしのなかに取り入れ、触れることで心が癒されるこの象鯨彫刻家具は、はしもと氏も「パブリックアートのようにいろいろな場所に置きたい師匠の作品です」と太鼓判を押していた。

はしもと氏に個別で話を聞かせてもらったところ、今回あえて「動物」ではなく「ケモノ」と表現したという。生き物や動物と言うと、少し遠い存在に感じてしまうかもしれないので、「ケモノたち」として人間の一部のように作品を身近に感じてほしいからだという。

また「わさお」でチャレンジした復元彫刻について聞くと、「今までの知識や技術をすべて詰め込むのがとても大変」と、目の前で生きている「その子」を見て研究しながら彫れる肖像彫刻とは異なる苦労を語ってくれた。

「他の子は正解があるので悩まないで彫れます。一つの作品に費やす時間はそれぞれ異なりますが、たとえば私の飼い犬の月くんなんかは数週間で完成します」

「でもわさおくんは正解がなくて、今でもこれでいいのか迷っているくらい(笑)。ヒアリングや取材で3か月、それから資料を揃えてインプットしてから実製作で2か月。でも最後のほうはわさおくんを見て“寝かす時間”が大半なんです」とはしもと氏。

「寝かす時間」というのは、作品の印象を確認する作業なのだとか。少しずつ一刀を加えても何か間違えると「痛い!」と言われるような気分になるほど、繊細な時間を過ごすのだ。しかし、それ故に完成した後の喜びのひとしおだったそう。

「飼い主さんはもう1回会えたことで嬉しくて泣き崩れていらっしゃいました。また“やっとわさおに触れた!”とも。わさおくんから結構噛まれたりしたそうで、なかなか優しく撫でさせてもらえなかったそうで。でもこの木彫りだと思う存分に触れる。そのことにとても感動されていました」(はしもと氏)

青森県の鯵ヶ沢に住んでいたわさおくん。冷たい海風で毛が猛々しくなびいていた瞬間を切り取っている。その毛並みもぜひ見て触ってほしい。

「文章を読まないと理解が難しい現代アートも増えていますが、キャプションに素材や大きさ、年代が書いてあると“作品”になってしまう。私はモノではなくそのままの動物たちに会える、大人も子どももわかる美術を目指しています。動物アレルギーの心配もないですし、作品はたくさん触ることができるので、ぜひお子さんを連れて一緒に来てシンプルな楽しみ方をしてもらいたいです」と呼び掛けてくれた。

また、会場の入り口側に展示されているはしもと氏のアトリエを再現したミニチュアの展示も見逃せない。

そもそも今回ギンザタナカで展示を行っているのは、もともとギンザタナカがはしもと氏が原型製作を担当した「純金オブジェコレクション」の“動物オブジェシリーズ”を2019年9月から展開していることが背景にある。これははしもと氏による動物によって異なる可愛らしい表情を持つ木彫り原型を、美しい輝きと高い資産性のある純金で表現したシリーズ。発売当初から好評を得て現在は16種類を展開している。

今回展示されているはしもと氏のアトリエを再現したミニチュアは2022年6月に「純金オブジェコレクション」の“動物オブジェシリーズ”に「子ねこ」と「子いぬ」の新ラインナップが拡充されたことをきっかけに作られたという。動物たちが生まれたはしもと氏のアトリエをミニチュアクリエイターの北野トマレ氏が忠実に再現したもので、2022年9月にはギンザタナカ銀座本店の1階で展示された。

純金の動物オブジェもたくさん配置され、見ているだけでも光り輝く純金の美しさを堪能できるだろう。細部にまで作りこまれた家具やはしもと氏のお気に入りの道具、インテリアには遊び心あふれる仕掛けがふんだんに散りばめられていた。

ギンザタナカによると、動物オブジェの中でも一番人気は「ねこ」なのだとか。そのほかにもその年の干支の動物は売れ行きがよく、なかには「シリーズすべて購入したい」というお客さんもいるとのこと。

さらにミニチュアの後方では、はしもと氏がアトリエで仕事をする様子を映した定点映像がプロジェクターで流れている。映像と目の前のミニチュアを比較しながら鑑賞するのも面白いだろう。はしもと氏も「このアトリエは来年には移転するので、この空間で製作をするのは今年が最後なのでとても貴重な映像です」と笑顔で語っていた。

会場で作品を眺めていると、ふと心地のいい音楽に包まれていることに気付く。これはイトケン氏が、今回の個展のために特別に制作した環境音楽だという。広々とした会場で体に染み渡る音楽を聴きながらケモノたちの温かみに触れる体験は、唯一無二ではないだろうか。

展覧会「はしもとみお 木彫展 -時をかけるケモノたち-」は2023年3月19日まで開催(入場無料)。木彫りだからこそ表現できる、獣たちの温かみや息遣いをぜひ感じてほしい。

お知らせ | 【公式】田中貴金属ジュエリー(ギンザタナカ)企業サイト
https://www.ginzatanaka.co.jp/news/1875[リンク]

はしもとみお 木彫展 – 時をかけるケモノたち – | 展覧会 | 木彫 彫刻家 はしもとみお ホームページ
https://miohashimoto.com/exhibition/2011/[リンク]

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