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お酒の楽しさと怖さが、淡々と描かれているビターな人間ドラマ『アナザーラウンド』:映画レビュー


本年度のアカデミー賞国際長編映画賞を受賞し、話題沸騰中の映画『アナザーラウンド』。マッツ・ミケルセン演じる冴えない高校教師マーティンとその同僚3人は、ノルウェー人哲学者の「血中アルコール濃度を常に0.05%に保つと仕事の効率が良くなり想像力がみなぎる」という理論を証明するためとんでもない実験に取り組むことに。仕事中でもお構いなしに酒を飲み常に酔った状態を保つと、授業も楽しく、生き生きとしたものになっていき、生徒たちとの関係性も良好になっていく。同僚たちもゆっくりと確実に人生がいい方向に向かっていった。しかし、実験が進むにつれ、だんだんと制御不能になり…。というストーリーです。

【動画】『アナザーラウンド』予告
https://www.youtube.com/watch?v=QGhNfbXpjj8

まず伝えたいのは、ダンサーでもあるマッツの高すぎる身体能力の高さで、酔っ払ってふざけているだけでものすごく優雅。日本の道端で酔いどれている千鳥足のおじさんとは全く違う佇まい。友達同士でじゃれあっている姿も笑えるくらい気品があるのです。

「先生の授業は退屈」と生徒に言われ、家庭関係もうまくいっていない中年男性4名が、「体内のアルコール度数を0.05%に保っておくとリラックスして堂々と振る舞えるらしい」と言われ実験することに。そして実際にほろ酔いで仕事したら仕事もプライベートもうまくいった!すげえいい感じ!てな具合に、日常的に飲酒して仕事をする様になります。

血中アルコール濃度0.05%というのはグラスワイン1,2杯ということで、最初は適量を守り、アルコール濃度を測る装置まで買って実験に挑みます。が、もともと酒好きの4人。適量を守れるわけもなく…。ここらへんの展開は筆者としては耳が痛いのですが、同じく酒好きの皆さんは「わかるわー…」と思えるのではないでしょうか。

撮影現場では飲酒は完全NG、酔った姿は全部演技ということで、4名の演技力・表現力の高さがものすごいです。だって酔っている様にしか見えないから! 飲みすぎた翌日の肌のシワシワ感なんて目をそむけたくなるほどでした。

お酒の楽しさと怖さが、静かな展開の中で淡々と描かれている本作。飲酒して仕事した成功体験が忘れられず酒量が増えていく感じは、漫画家・まんきつさんによる『アル中ワンダーランド』をぜひ併せて読んでいただきたいです。

お酒に対する感想が続きましたが、ビターな人間ドラマとしての見応えもたっぷり。中年特有の人生の悩み感、大人になっても変わらない友情感、苦くて愛しいストーリーが丁寧に描かれた本作。エネルギッシュな夏を終え、しっとりとした秋にはこの映画を観て自分自身と向き合う時間を作って見るのも良いのではないでしょうか。

最後にこれだけは言わせてください。マッツの競歩!

【関連記事】血中アルコール度数0.05%に保つと仕事がはかどるとな?! 分裂しながら映画『アナザーラウンド』のシーンを検証してみた
https://getnews.jp/archives/3098444 [リンク]

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