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裏社会インタビュー:リアル家政婦は見た!冬休みの家出娘の地獄!



どうもどうも、特殊犯罪アナリスト&裏社会ライターの丸野裕行です。今回は“家出少女”に関するインタビューを行いました。



年末年始も経過し、どこからともなく街に出現してくる家出少女たち。警察庁の統計によると、1年間に補導される未成年者の家出少女・少年は増加傾向にあり、2019年には数千人規模にのぼった。家出少女と言えば、大阪女児誘拐のI容疑者が逮捕された事件が記憶に新しいところだろう。


家出少女を宿泊させ、売春や窃盗、恐喝、薬物などの犯罪に巻き込む男たちがいる。それらのほとんどは、暴力団や地下組織による手引きである。


今回お話を伺ったのは、家出娘を囲い込んだ寮家出少女の身の回りの世話をしていた杉野由佳さん(仮名、56歳)。



(※写真は全てイメージです)


彼女が体験した家出娘たちとの壮絶な日々、お聞きいただきたい


ゴミ屋敷に住む女の子たち


丸野(以下、丸)「どんなキッカケで家出娘たちの世話をしはじめたんですか?


杉野さん「甥っ子の借金の保証人になってしまったんです。家政婦で生計を立てていた私にはとてもムリな額でしたね。ある広域暴力団の方々が乗り込んできて“どうやって返すんじゃ!!” と詰め寄られたのがキッカケでした」


丸「なるほど」


杉野さん「当初、熟女もののAVにでも出演しろ、と言われました。私が、それだけは……と土下座しましたところ、家政婦をしていることを確認されて、幹部の森本さん(仮名)が助け舟を出してくれました。ある寮の家政婦をやってほしい、子供の世話頼むわ、という話になりました。条件は通いではなく、泊まりです。炊事、洗濯であれば今まで通りできますから、そこはすぐに承諾しました。ちゃんと働いたらしっかり借金も返せますし



丸「そのときは、てっきりベビーシッターだと思っていたんですよね?」


杉野さん「翌日に連れられて行ったのは、東淀川区の大阪の下町の小さなマンションでした。猥雑な街でしたね。“ここや! 着いたで!” と言われて古いマンションの扉を開けると、いきなり食品の腐敗臭が鼻を突きました。森本さんは“全寮制の―いわば駆け込み寺やな、保護施設や” って言ってらっしゃいました


少女の管理費で20万


杉野さん「マンションの中はコンビニ弁当やペットボトル、カップ麺の残骸が積まれた足の踏み場がないゴミ屋敷でした。カーテンは閉めきられ、昼間だというのに真っ暗。よく見ると猫のように目を光らせる少女が数人、息を潜めています。この子たちは? と森本さんに聞くと、“ウチの店で働いてもらってる”というお返事でした。収容された人数は全4室で10名。年端もいかない10代半ばの家出した女の子が未知の仕事をしながら共同生活をしている姿に私は絶句してしまいました。ここの“管理”で、私の報酬は月20万と後から言われました」


丸「ネットやスカウトを使い、集めた家出娘たちを使って、援助交際美人局(つつもたせ)などをやらせているという事実も、杉野さんはのちに知るようになったのですよね」


杉野さん「はい。まずは借金を返すためにも、私は意を決して部屋の掃除から始めることにしました。食器があふれたキッチン周り、便がこびりつくトイレ、カビがびっしりと生えた床や天井を覆うバスルーム……おそらく掃除をしたこともなかったのだと思います。なんとか人の居住空間にしましたが、その日から哀しい毎日が待っていました


丸「ほほう……」



杉野さん「まずは“寮”の規律の厳しさでしたね。一例をあげますと……」


タバコ・酒は没収

買い物に行くならコンビニ。スーパーマーケットへはいかない(近隣の主婦などは、マンションに出入りしている子供などに敏感なため、主婦の多いスーパーではバレやすくなる)

彼氏には電話しない(絶対にこの寮のことを話してしまうため)

男遊び・夜遊び禁止(仕事が終わった後は、極力、他人との接触を制限)

休暇は週1日

FacebookなどSNSは禁止

2日に一度は、親に電話かメールを入れる(捜索願いを出されないようにするための工作)

etc…


杉野さん「これを徹底させなければ、警察に目をつけられる確率が高くなるらしく、“絶対守らせてくれ!” と森本さんから何度も念を押されました」



杉野さん「彼女たちの“仕事”はお昼と夜の2交代制。迎えの車に乗り込んで体を売るんです。そのほかは、偽造免許証を使ったヘルス店のお仕事。スナックの2階を使う売春スナックでのお仕事もありますし、先ほど丸野さんがおっしゃってた美人局などの仕事もあったようです」


丸「前取材の段階では、食事を作っても食べてくれないと言ってましたよね」


杉野さん「私が共同生活に入った夜、そうめんを作ったんですが、誰も箸をつけてくれませんでした。ゲーム片手にお菓子でお腹を満たしているんだから当然なのですが、それでは栄養が偏ります。食べるように促してみたんですが、ウザがられましたね。まぁ、突然中年女が同居してきたんですから当然の反応なんですけど。それでも毎日おいしいものを作り、気長に待ってみようと思いました。しかしハンバーグやオムライス、作っても作っても誰も食べてくれない日々が続きました。数日経った頃……私お手製のエビフライのお皿の上に使用済みのタンポンが並んでいました


丸「それはひどい」


杉野さん「問いただしてみると、うんざり顔で告白したのはリーダー格のみゆちゃんでした。心まで荒んではダメ、と言ってはみたものの、強く言っても仕方がないので様子を見ようと思いました。けれど、その出来事あたりから徐々に嫌がらせが減りました。そんなある日、栄養不足のまま、16才のマリちゃんが高熱を出しました。布団に寝かせていたはずが、気が付くとトイレの中で吐いていたんです。助け出して体を綺麗にし、また布団に寝かせると、“ゲロだらけの体、よう触るわ……”とみゆちゃんが言ったのです。その時はさすがにみゆちゃんに平手打ちをしてしまいました」


丸「友達が苦しんでいる中で、それはないですね」



杉野さん「私が泣きながら訴えると、みんなが心配そうに近寄ってきました。タオルを持ち寄って、交替で看病することになったんですが、実はみんないい子だったんですよね。それからは、一緒に食事を摂るようになりましたね


少女たちの哀しい境遇


丸「疑似家族のような関係性ですけど、何かわかりました?」


杉野さん「そうですね……。食卓を囲むと、会話から色々な事を知りました。今まで家で魚料理というものを食べたことなかった子がいたり、ネグレクト(育児放棄)を受けていた子がいたり、父親と二人きりで暮らし性的虐待を受けていた子がいたり、母親に熱湯をかけられた経験がある子まで……本当に可哀想になりました。児童養護施設から逃げてきた子もいました」


丸「なるほど……」



杉野さん「幼いときにみんな辛い体験をして、孤独の中で苦しんでいたわけです。それからは、みんなが家族だと思おう、と話すようになりました。辛いことがあっても乗り越えらる、と。それからは、みんなが私のことを“お母さん”とも呼んでくれるようになりました。この頃になるとようやく、共同生活に充実した部分が出てきました。でもこの子たちが行うのは、売春です。性病などのトラブルが起こらないはずありません。気付けばヘルペスや梅毒に感染している子がいました


丸「暴力団や半グレの家出人を使ったシノギの場合、女の子たちは実費での医療費を借金として背負い、働くことを誓約させられますね」


杉野さん「さらに困るのは妊娠です。“ひょっとして、そのお腹……”ってなると、“ウチ、どうしたらいいのかわからんなって!!”と泣きじゃくってしまって……。早く病院へ連れて行こうとしたときにも、森本さんが“オレが何とかする”と言って」


丸「それ、あとはどうなったんですかね……?」



杉野さん「私は“お腹にいるのは子供なんですよ! こんな状態のままで暮らすのは地獄です!!”を森本さんを咎めると、“家に帰してしまえ”となりましたね。妊娠した彼女はもともと厳格な家庭に育ったのですが、冷徹な後妻がいる環境から逃げ出してきた子でした。彼女が帰る場所なんてありません……。その出来事からほどなくして、突然別れがやってきました


最後の日のお弁当


杉野さん「私があのマンションに来てから2ヵ月が経った頃、森本さんが突然やってきました。“アンタの甥っ子が見つかって金返すことになった。頑張ってくれたな、おばちゃん”と。突然の知らせに驚いてしまいまして……。愛しいあの娘たちと、突然離れ離れにならなければならないからです。急すぎる話に“ちょっと待ってください! 1日だけ待ってください!”と懇願すると、へんな顔をされましたね……。その日、晩ご飯はいつもよりご馳走を作って、全員で川の字になって寝ました。明日いなくなることは最後まで言えないままでした。翌日、早朝に起きて、泣きながらみんなのお弁当をこしらえました」



丸「子供たちへ置手紙なんかは残したわけですか?」


杉野さん「はい。後ろ髪を引かれる想いでした……。あの子たちは家に帰ったのか、……それが今もずっと、心に引っかかっています」



杉野さんの“寮”での生活は辛いことばかりだったようですが、それでもいくつかある良い想い出を語るときの杉野さんの表情は幸せそうでした。


最後に杉野さんは目に涙を浮かべながらこう締めくくりました。


「一度きりの人生の春。事情はあるだろうけど、“ひと冬の体験”で片付けるには哀しすぎます。最近の事件でも、小6の女児が誘拐されていましたが、家出の後に待っているのは、地獄の入り口です。家出を考えている子供がいたら、何とか思いとどまらせたいです」


(C)写真AC


(執筆者: 丸野裕行)


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