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映画『影踏み』北村匠海インタビュー「正義と悪の裏表がリアルに感じられる作品が好き」



「64-ロクヨン-」「クライマーズ・ハイ」などで知られるミステリー界の巨匠・横山秀夫の「影踏み」(「祥伝社文庫」)。警察小説の旗手である横山作品の中でも犯罪者側を主人公にした異色の犯罪ミステリーが、ついに映画化。現在大ヒット上映中です。


本作の主人公は深夜に寝静まった民家を狙い現金を盗み出す忍び込みのプロ<ノビ師>という、孤高の泥棒・修一。山崎まさよしさんが熱演し、本作の音楽も手がけています。そして、山崎さん演じる修一と共に<謎>を追う青年・啓二に北村匠海さんが抜擢されています。


2019年には『影踏み』を含め5本の映画に出演(うち2本は声の出演)、公開待機作品も目白押しである注目俳優の北村さんに、映画について、影響を受けた作品について、お話を伺いました。



――本作、楽しく拝見させていただきました。今回、北村さんが演じた啓二は物語上とても重要なキャラクターで、しかもネタバレせずにお話を聞くのが難しいのですが(笑)。


北村:本当、そうなんですよね(笑)。僕もネタバレしない様に気をつけます。



――まずはこの役柄を演じてみての感想はいかがでしょうか。


北村:役柄的にもチャレンジな部分が多くて、いつも以上に頑張んなきゃなって思ったし、「お前、この作品でどう爪痕残すんだ?」「こんな素晴らしい大先輩に囲まれて、どう戦うの?」って、撮影中ずっと自問自答していました。でも、個人的にはこういう作品の方が自分にカチッとハマる部分があるような気がしました。


――どういう部分が自分にハマると感じましたか?


北村:普段の僕自身が啓二みたいな感じで……。全体的にエネルギー不足というか、基本的にテンション低めなんです(笑)。


――北村さんが所属する「DISH//」のライブではとてもパワフルですが!


北村:「DISH//」でパフォーマンスをする時は、また別のスイッチが入るというか、ステージに上がると普段とは違う自分が出てくるんです(笑)。僕はもともと役者が繊細な芝居をしている作品が好きで、演じる上でもその方向がやりやすいと感じるんです。コメディの場合、普段は絶対にやらないような大げさな身振り手振りで演技をする必要もありますけど、『影踏み』みたいな作品であれば、セリフとセリフの間だったり、眉毛の動かし方や目線の配り方ひとつで感情が伝えられるので。自分がそういうお芝居の方が好きなんです。


――なるほど。そういう意味ではまさに『影踏み』は北村さんにハマる作品だったわけですね。


北村:『影踏み』の場合、お芝居の経験値ではなく、役に対して「どこまで深く迫れるか」が問われる作品だと思ったので、いろんな人の意見に耳を傾けながら、啓二という役柄に向き合いました。


啓二は常に跳ねているような青年で、ひょうひょうとしながらも、あっけらかんとした可愛らしさもあって、自分とは全くタイプが違う役柄ではあるんですけど、ふとした瞬間に急に心細くなって、切ない表情をしたりもするんです。そんな啓二の繊細な心情をお芝居で表現するのが、すごく楽しかったです。




――監督からはどんなオーダーや演出がありましたか?


北村:監督には「啓二としてどう思う?」とか「このセリフどう言う?」って聞かれて。篠原監督って、ご自身の撮りたい画だけじゃなくて、演じる側の気持ちをちゃんと汲み取ってくれる監督なんです。お芝居って、一旦始まったらどうなるか分からないんですよね。相手がどう出てくるかによっても変わってきたりするので。篠原監督が役者の可能性を信じて下さるからこそ、時にはそれが迷いにつながったりすることもあるんです。でも、みんなで一緒に答えを導き出す姿勢が僕はすごく素敵だなと思いました。篠原監督が撮るものを信じてみんながついていく理由が本当に分かって、とても良い経験になりました。


――完成した作品をご覧になって印象的なシーンはどこですか?


北村:一番思い出深いのは、まさよしさんと自転車で2人乗りするシーンです。自転車のシーンは何回か登場するんですが、修兄と啓二が一緒にいる場面の中でも、特に温かさが感じられて。まさよしさんが映画音楽をつける時にも、「賛美歌のような子どもが歌っている曲を使いたい」ってお話しされていたこともあるんですが、暗くて重い部分も描かれている『影踏み』の中で、僕が演じた啓二という存在は、どこか光みたいな役目を果たしていたのかもしれないな、と思いました。


――会話数が多くなくても絆を感じる、確かに温かいシーンですよね。撮影中も和やかに進んでいったのでしょうか。


北村:はい。まさよしさんと一緒に過ごす時間が長くて、まさよしさんは本当の兄弟の様に優しく接してくださいました。お互い音楽という共通項もあったのも大きかったと思います。両親がまさよしさんのファンで、僕も『セロリ』や『One more time, One more chance』をよく聴いていました。9月に開催された「Augusta Camp 2019」のステージでまさよしさんと一緒に歌わせていただく機会があって、改めて大先輩のアーティストと一緒に作品作りができたことのありがたさを実感しました。まさよしさんのお子さんもいらしてて、すごく可愛くて。色々なセンスが磨かれているんだなあとうらやましくなりました(笑)。


――色々な音楽を聴いて育って、すごいお子さんに成長しそうですよね。また、同じくアーティストの竹原ピストルさんとの共演はいかがでしたか?


北村:実は僕、高校生の時、ピストルさんの追っかけだったんですよ。(村上)虹郎から薦められて東高円寺のライブハウスに聴きに行ったりして。刑事役のピストルさんが、タバコを吸いながらまさよしさんと喋っているシーンがあって、「めっちゃかっけぇ!」と思いながら見てました。ピストルさんに胸ぐらつかまれても、全く臆さないまさよしさんも格好良くて。憧れの方同士の演技は本当に感動的でした。



――北村さんもお2人の様に、お2人以上にすごい表現者になっていくのだろうなと個人的にもとても楽しみにしています。


北村:ありがとうございます! 憧れの人は本当にたくさんいるので。先日映画『ジョーカー』を観たのですが、ホアキン・フェニックスの演技が本当にすごすぎて……。僕は昔からリヴァー・フェニックスが憧れの俳優さんでもあるのですが、彼のファッションとかヘアスタイルを一時マネしてて、前髪をかきあげまくってたんですが(笑)、『ジョーカー』のホアキンはリバーを超えていたんじゃないかと。すごかったです。


――確かに『ジョーカー』でのホアキンって、先ほど北村さんがおっしゃっていた様な目線の演技や繊細な表情の変化がすごいですよね。


北村:そうなんですよね。昔からダークヒーローに惹かれる部分があって、『時計じかけのオレンジ』のアレックスとか。いつかああいう役柄を演じてみたいです。『影踏み』の修兄もそうですが、ダークーヒーローって本当に魅力的ですよね。


――一見悪に見えるものが正義や愛をより強く映し出している、という事もありますものね。


北村:『ジョーカー』もそういう正義と悪の裏表がリアルに感じられる作品でしたよね。『影踏み』でも、家族や兄弟、恋人など大切な人への愛が、時に憎悪に変わってしまったりする瞬間を描いていて、ジャンル的には「ミステリー」になるのかもしれませんが、考えさせられるヒューマンドラマだと僕は思っています。


――北村さんのダークヒーローが見れる日を楽しみにしていますね。今日はありがとうございました!



撮影:オサダコウジ


『影踏み』大ヒット上映中!

https://kagefumi-movie.jp


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