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犯罪者インタビュー:「他人の家に勝手に住む男」に話を聞いてみた



どうもどうも特殊犯罪アナリストの丸野裕行です。


裏社会ライターなんて商売をやっておりますと、いろいろな過去を持つ人々と知り合う機会が多くなります。


しかし最近知り合ったのは、まったく知らない人の家に上がり込み、そのまま生活していたという一風変わった犯罪歴を持つ男性Cさん(無職/61歳)でした。懲りた彼は、現在生活保護を受けて生活しているという。


今回は彼が逮捕されるまでの生活ぶりと、気づかれずに勝手に住むコツ(?)を教えてもらいました。(※編注・マネすると犯罪になります)



<写真:Cさんご本人>


まるで漫画のような話


丸野(以下、丸)「実際にどこで生活していたのですか?


Cさん「全然知らない人の家の天袋で生活をしていました。逮捕時に住んでいた家はもう11軒目でしたね。罪状は住居侵入現行犯でした」


丸「バレないものなんですか?」


Cさん「僕は、実際に数ヶ月間バレずに生活をしていました。発覚した原因のひとつに、被害者の方が以前から食べ物がよくなくなるので不審に思っていたようでした。自宅に侵入者がいると感づかれたわけです」



丸「それで、何かを仕掛けられたわけですか?」


Cさん「はい。住人の男性は、人影に反応する監視カメラ警報装置を設置したようです。僕が知らず知らずのうちにカメラを回され、スマホに画像を自動送信されて、御用となったわけです。マットレスを持ち込んで、快適に暮らせていたので残念です


丸「まるでプロの無断居住者ですね」


一軒目は、農家の納屋


Cさん「数年前に勤めていた印刷会社が潰れ、自分の家をなくしました。親兄弟もいなく天涯孤独なので、頼るところはどこにもありません。ほんの少しの間、雨風をしのげればいい……そんな軽い気持ちで、初めての無断居住したのは、一軒の農家でした」



丸「ほうほう」


Cさん「塀に囲まれた大きな旧家で、ちょうど留守。納屋にトラクターがあったので、どうやら家族で農業を営んでいるらしいと思いました。ひもじかった僕は、鍵のかかっていない家に無事侵入できました」


丸「すごい話ですね、どこに隠れるんですか?



Cさん「それからは冷蔵庫に入っていた麦茶と握り飯と佃煮を盗み、離れの納屋の2階に息を潜めました。家主は、夫と妻の老夫婦。犬などは飼っていないようでした。怖いのはやはり番犬なので……。そこで1週間が経過する頃には、住み心地のよさにこのままでいいという気がしてきたんです。暑さ寒ささえ耐えることができれば、なんとか我慢はできます。腹が減ったら、納屋に天日干ししてある大豆を齧ったりしてしのげるんです」


丸「なんか発見された日本兵みたいですね」



Cさん「でも、事態は急変したんです。夏休みに孫たちが帰ってきたんです。老夫婦が納屋の1階に花火やジュースなどを用意しはじめたので、このままだといつかバレると思いました。だから、潜める他の家を探すことにしました。他人の家で快適に過ごす術を手に入れてからは、気分はまるで1人暮らしをする部屋を探す大学生のようでした」


住んでいることがバレないコツ


丸「何を基準に選ぶんですか?」


Cさん「第一にやはり広い敷地、隅々まで目が行き届かない家を選ぶことですね。住人はできれば1人暮らし。掃除や洗濯など生活に無頓着な方がいいですね。押入れから屋根裏へ入り、盗んできた寝袋を持って生活をはじめました



丸「だいたいどのくらいの期間、その家で過ごすんですか?」


Cさん「引越しは5ヶ月に1度程度ですね。食料が減るので、さすがに半年間もいればバレてしまいます」


丸「バレないコツを教えてください」


≪Cさん流、勝手に住んでいることがバレないコツ≫

・鈍感な住人が住む家を選ぶ(ずっと同じ洗濯物が干してある、夏なのに枯葉が軒先に落ちているなどで見分ける)

・食べ物は多くの種類を少しずつ(1種類が減れば必ずバレるために、煮物ひと口、ゴハン2口、パン1枚などでしのぐ)

・お金を盗むときは千円札1枚、硬貨1枚ずつ(なくなっていても気のせいで済む)

・住人のバスタイムは、お食事タイム(ゆっくり味わえる)

・夜行性動物になる(朝と昼を完全に逆転させる)

・新聞は、ガマンして1日遅れのものを読む

・トイレは必ず流す



Cさん「しかし、いくら気をつけていても様々な苦境に立たされることもありますよ。でも、そのスリルがたまらないわけです」


丸「はあ」


Cさんの苦境


Cさん「1番は、トイレの問題ですね。住人が外出しないときには、ひたすら便意と格闘しなければならない。オシッコはペットボトルにできるんですが、大便は臭いがもれるのでダメです」


丸「やっぱりねぇ、そうですよね」


Cさん「あとはバルサンを焚かれたときには参りました。ゴキブリなんて気にしない田舎でも何度か燻煙されたことがあります。2日間は喉と目をやられるんですよ、あれは。まぁ、こんな生活をしていて何のメリットがあるのかと思われるでしょうが、誰もいなくなった後の他人の家で入浴する喜びを味わったことのある人間にはわかるはずです」

(※編注・犯罪です)



丸「入浴はいつ?」


Cさん「家の住人が仕事に行くと、1週間に2回は風呂に入ります。湿気とネズミの糞にまみれた屋根裏から本当に解放される至福のひとときです。もちろん、水道代とガス代が極端に上がらないように気をつけて、ですけどね


屋根裏に先客がいた!


丸「その生活で、一番驚いたことはどんなことですか?」


Cさん「無断居住をしていて一番驚いた事件は、当たりをつけた家の屋根裏に先住者がいたことでした。照明やマットレス、ポータブルラジオまで用意された屋根裏には、白いひげが生えたじいさんが座っていました。驚いている僕に缶チューハイを手渡してくれて、しばらく話しました」



丸「話したんですか!


Cさん「“自分はここに住んで3年。ここで野垂れ死んだら、住人に迷惑がかかる……死に際は、公園かなんかで迷惑かからんようにせんと……”と缶チューハイを呷(あお)ったじいさんは悲しい目で言いました



いかがでしたか?

ひょっとするとあなたの家の屋根裏にも誰かが勝手に住んでいるかも知れません。ちょっと覗いてみれば?


(C)写真AC


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(執筆者: 丸野裕行) ※あなたもガジェット通信で文章を執筆してみませんか


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