『ラ・ラ・ランド』のデイミアン・チャゼル監督&主演ライアン・ゴズリングのコンビが再びタッグを組み、人類で初めて月面に足跡を残した宇宙飛行士ニール・アームストロングの半生を描いた『ファースト・マン』が現在公開中。

月到達という前人未到の未知なるミッションの立ち上がりから、過酷すぎる訓練の実態、それを乗り越えて結ばれた飛行士たちの絆、様々なトラブルやミスによって道半ばで散った仲間の命、支え続ける家族の葛藤と地上で待つ間の切なる祈り、結末にまつわる秘話が全て明かされます。

本作で、ニール・アームストロングを演じたライアン・ゴズリングさんにインタビューを敢行。役作りについて、デイミアン監督に思うこと、など色々とお話を伺いました。

――本作拝見しまして、宇宙飛行シーンはスリリングな展開で観ているこちらも緊張しっぱなしでした。撮影も相当に大変だったのではないですか?

ライアン・ゴズリング:実は、肉体的に厳しかったシーンは無かったんだ。ただ、ニール・アームストロングという人を演じる為に、専門知識を理解して、覚えて、演じるというのが一番難しかった。彼は、パイロットである以前に根っからのエンジニアだったので、技術的な側面を理解するのに時間がかかったんだ。当時の未熟な技術で、あれほどのミッションをいかに成し遂げたのかを忠実に再現するために、僕自身が技術的な部分を理解していないと演じられないからね。

――ライアンさんはこれまでも役作りの為に家具作りの技術や、ピアノの演奏を身につけていますが、今度は宇宙の知識まで得たわけですね!

ライアン・ゴズリング:いやあ(笑)。逆に、本作での体験を通して、僕はとんでもなくひどい宇宙飛行士になるだろうって確信したよ。

――そんなそんな、ご謙遜を! 他にニール(アームストロング)を演じる上で意識した事は何ですか?

ライアン・ゴズリング:ニールさんのご家族やご友人、一緒にミッションに励んでいたNASAの同僚といった方々に直接お会いして、たっぷり時間をかけて話を聞けた事が大きかったんだ。ニールさんは、とにかく感情を表に出さないし、特に自分について語らないことで有名だったから、客観的にどういう人物かを知るには、身近にいた人から聞くのが一番話が早いと思ったから。ニールさんの奥さん(ジャネット)とふたりの息子さんの存在は、特に大きかった。実は、ジャネットさんは本作の公開前に亡くなってしまったんだけど、その直前にお会いできてすごく幸せだった。また、ニールさんの生家であるオハイオの農場も訪ねて、妹のジューンさんにもお会いして、思い出話を聞いたんだ。役作りにとても役立ったよ。

――ライアンさんとクレア・フォイさんが演じられた夫婦の空気感がすごく自然でしたね。

ライアン・ゴズリング:今回はすごく珍しい撮影の仕方をしたんだ。アームストロング家のセットをまるごと建てて、クランクインの2~3週間前から、クレアと子供たちと一緒に暮らしながらリハーサルをやったんだ。デイミアン監督はずーっとカメラを回しっぱなしにしていて、素の感じがカメラに収められていたよ。実際、本編にはいくつかその時のシーンも使われているんだ。クランクインでいきなり会って、「初めまして、よろしく」と言って始まったんじゃなくて、一緒にいられる準備期間があったから、あの複雑な夫婦の力関係は、その3週間を通して築けたと思う。

――それはそれは、デイミアン監督らしい斬新な撮影手法ですね。『ラ・ラ・ランド』に続き、二度目のタッグとなった監督とのお仕事はいかがだったでしょうか?

ライアン・ゴズリング:『ラ・ラ・ランド』を一緒に作ったことで、固い絆というか信頼関係という土台がしっかりできていたから、楽しかったし、やりやすかったよ。お互いあうんの呼吸で、多くを語らずとも意思疎通ができるという部分もあるしね。あとはやはり、役者と監督という関係よりも、「一緒に映画を作っていくんだ」と同じ気持ちで進めていけたのも、僕にとってはすごく楽しい体験だった。

――相当な凝り性な監督だと思うのですが、「正直大変だな〜」と思うことはありますか?

ライアン・ゴズリング:あはは(笑)。そうだなあ。撮影現場でものすごいプレッシャーがかかっている中、みんながすごくバタバタして、とっ散らかった状態になっていても、デイミアンは常にクールで落ち着いているんだ。微動だにせず、取り乱した様子を一切見せない。見ていてちょっとイラッとするね(笑)。自分もなるべく冷静にいようと努めるけれど、デイミアンと仕事をするときは、デイミアンがクールなので「負けたくない!」みたいな感じ。

――『セッション』、『ラ・ラ・ランド』に続き、今回の『ファースト・マン』という実在の宇宙飛行士を描くというテーマ選びに驚いた人も多いと思います。過去の3作をご覧になって、ライアンさんが考えるデイミアン監督の一本通ったテーマは何だと思いますか?

ライアン・ゴズリング:3作を通して追っているテーマは、目標や目的を達成する過程で、どれだけの犠牲を払わなければいけないのか、ということだと思う。もちろん当事者のことだけではなく、周りの家族や友人、恋人にも犠牲を強いる。そこまでしてまでも、ひとつの目標を追うべきなのか? ということに彼は一番興味を持っているんじゃないかな。デイミアン自身がそういう人なんだよ。周りに犠牲を強いて、彼自身もかなりのリスクを背負って、果敢に作品を築き上げていくところは、彼自身にも重なっていくところがあるんじゃないかな。

――ニール(アームストロング)は月面着陸をしましたが、ライアンさんの映画人生の中での最大の到達地点はいつですか?

ライアン・ゴズリング:一番大きな転機となったのは、『The Believer(原題)』への出演だね。僕のキャリアのスタートは子供向けのテレビ番組で、初めて『The Believer(原題)』という作品でいわゆるシリアスで本格的な演技に挑戦したんだ。そこで、本当にいろいろなタイプの役柄をできるドラマチックな俳優になりたい、という気持ちにもさせられてそこから積み重ねてきた。

そもそも僕は、こう見えてジーン・ワイルダーとか、往年のコメディ俳優が大好きなんだ。でも、自分のことは一応わかっているつもりなので……おそらくそういう俳優にはなれないだろうし、コメディタイプの作品には向いていないんだろうって自覚してるんだ(笑)。だから自然と今のようなキャリアになってきているんだと思うよ。

――いえいえ、ライアンさんのコメディもぜひ、また観たいです! 今日は楽しいお話をありがとうございました。

映画『ファースト・マン』現在公開中
https://firstman.jp/

―― やわらかニュースサイト 『ガジェット通信(GetNews)』

情報提供元:ガジェット通信
記事名:「映画『ファースト・マン』ライアン・ゴズリングに聞く「一つの目的の為にどれだけ犠牲を払えるか」