今回はFirstHedgeさんのブログ『FirstHedge 明日の投資情報』からご寄稿いただきました。

パリに巻き起こる「黄巾の乱」は、マクロン大統領を打倒するか?(FirstHedge 明日の投資情報)

「週刊ビジュアル三国志(3)2004年4月29日号 コミック三国志 黄巾の乱(一)」
http://d.hatena.ne.jp/asin/B00BJXKA7U/firsthedge-22

 
 中国ならともかく、まさか、花のパリで黄巾の乱が勃発するとは思いませんでした。英テレグラフ紙でポピー・マッケンジー・スミス記者がその背景を解説していますので、まず、そちらを紹介しましょう。

「 あたかもヴィクトル・ユーゴー自身が書いたシーンのようだ。黄色の蛍光色のジャケットを着た数千人の抗議者がパリで行進し、ラ・マルセイエーズを歌い、催涙ガスの霧の中でバリケードを建てている。何千人もの人々が、首都の周りや周辺地域から平和的に結集している。彼らの独特の服装は、「レ・ジレ・ジョーン」と呼ばれる黄色のジャケットである。自動車専用道がブロックされ、地下鉄駅が閉鎖された。これは、フランスがこの数年で経験した最大の蜂起の一つである
 この運動は緩やかなものであり、自らを「非政治的」と表現し、「指導者も教義もない」と述べている。そのソーシャルメディアでの投稿は、設立、税金、住宅給付、労働法、社会保障など様々な面を取りあげている。しかし、この運動は、最初は街の外、高速道路、そして農村や半農村のフランスの地方から始まった。人々は燃料コストについて怒り、懲罰的税金はますますフランスの自動車運転手に重くのしかかる。
 フランス車の62%を占めるディーゼル燃料は、過去1年間で約24%の価格上昇を見せている。リットルの平均価格は1.48ユーロ。リットル当たり7.6セントのこの増加は、今年3.9セントであったにもかかわらずやはり上昇しているガソリン税に近づいている。両燃料の税率は2022年までに78セント/リットルに調整されており、VATや原油価格の変動を考慮していないため、道路輸送に頼っているフランスの広大な地域では困難な時期を迎える
 ディーゼルゲートと二酸化炭素排出に関するより広範な事実の暴露は、マククロンを含む政府が反ディーゼル対策をとることを余儀なくさせた。フランスの運転手はすでに、ドイツ、ギリシャ、フィンランド、イタリア、オランダ、そしてもちろん英国をふくめても、ヨーロッパで最も高い燃料税の一部に耐えている。最近まで、フランスの自動車ドライバーはディーゼルモデルへの投資にインセンティブを与えられていた。しかし、この政策は消費者には目にも止まらないほどの速度で逆転している。
 マククロンの政府は自動車運転者を絶えずのけ者にしてきた。最近の措置は、小規模道路で速度制限を90kmphから80kmph(約50mph)に引き下げることで、都市の郊外に怒りをもたらした。地域社会の住民は毎日の通勤のために車に頼っているためだ。2040年までにすべてのガソリン車とディーゼル車の販売禁止という主張と合わせて、マクロンのレトリックは、フランスの「Mondeo Man」 – シトロエン市民(自動車運転者)の感情を逆なでしたのである。
 フランス政府は、かつてのディーゼル車と同様に、電気自動車を購入する人々に金銭的インセンティブを導入している。この制度は2017年に電気自動車の購入費用に6,000ユーロの補助金を組み入れ、さらに助成金が付け加えられるというものだ。しかし、それはかなり安い電気自動車でも高いRRPを考慮に入れると特に有利な割引にはならず、従来の自動車よりも高価になっている。
 だから黄色ジャケット(Gilets Jaunes)が正しいかも知れない。フィガロ紙の調査によると、フランスの市民の77%が今週末に「首都を閉鎖する」という計画を支持しており、前回の調査時から3%の増加となった。同じ調査では、Gilets Jaunesが「人気がある」(81%)と「勇気がある」(77%、「より良いもののために戦う」(78%))と答えた人が大半を占めている。そして62%が「暴力的である」とするカテゴリーに拒否反応を示している。
 これは、フランスの民衆の大多数が、気候変動や道路車両がその中で果たす役割を無視しているというわけではない。先月、エリザベート・ボルヌ運輸大臣が、フランスの大都市における渋滞料金の計画を発表したが、これは一般的な承認が得られている。
 フランスの都市部とその郊外には、世界でも最高の公共交通機関があり、かなりの料金がかかる。リヨンでは、雇用された大人の1ヶ月間の無制限パスは€60をわずかに上回り、公共交通機関は公害が許容限界を超えて上昇した日には無料になる。しかし、不安定で狭いネットワークしか提供されていない地域や、まったくサービスされていない地域では、怒りがわき起こっている
 今日の午後パリで広がっている抗議行動は単なる交通手段だけではない。燃料税の影響を受けた人々は、すでに「裕福な大統領」のマクロンによって疎外されている人たちである。彼らは、この余剰所得が政府によってどのように使われているのかについて透明性が欠けていると言い、政府がフランス社会で最も裕福な税金を払うための口実として環境保護政策をだしに使っているとのべている。彼らのユニフォームは、工場労働者と自動車運転者の両方を象徴する蛍光色のベストである。すべてのフランスの運転手は法律で車に反射型のジャケットを備え付ける必要がある。

 ジレ・ジョーヌ(Gilets Jaunes)によって発表されたプレスリリースによれば、彼らが糾弾しているのは、燃料税に留まらない。「われわれは貧困層から超富裕層を守る政府を糾弾しており、公共サービスが貧困であるにもかかわらず、私たちに絶えず課税する政府を非難する」と彼らは主張している。「環境問題は、最も脆弱な人々に課税するための口実として使用されてはならない。
 投獄された人々の法的費用をカバーするために2億ユーロ以上がクラウドファンディングで集められている。そしてその資金は、バレンシエンヌで逮捕された「セドリック」を救済するために既に使用されている。彼は、平和的に抗議を行っている時に、警察が催涙ガスを使って弾圧している光景をFacebookを通じてライブビデオで放映したと言われている。資金集めのサイトによれば、使用されなかった資金は、抗議活動で殺された家族の間で分配されるとしている。
 RTLとのインタビューで、フランソワ・デ・ルギ環境大臣は、政府が「人々の声を聞く」ための地域討論を予定していると発表した。この動きは遅すぎるかもしれない。人々はすでに自分自身で抗議の声を上げている。そして、彼らは、エリゼ宮殿を取り囲んでいるのだ。」

「Paris burns as ‘Gilets Jaunes’ march on Elysee Palace, but it’s small-town France that suffers from Macron’s knee-jerk policies」『The Telegraph』
https://www.telegraph.co.uk/cars/comment/paris-burns-fuel-tax-anger-grows-outside-cities-drivers-suffer/?utm_campaign=Echobox&utm_medium=Social&utm_source=Twitter#Echobox=1543109204

 結局、欧州の自動車メーカーのディーゼル車を巡るインチキから、マクロン大統領が強制的な電気自動車への変換を図ろうとしたところ、フランス国民から一斉に反発を受けたというのが真相のようです。

 政府の失策のつけを、弱者に負担させようというのですから、今回の騒動は、黄色いジャケット派の方がある意味筋が通っているように思えます。

 政治面から言えば、マクロン大統領の再任はこれで綺麗に吹き飛んだといえるでしょう。とすれば、残るのは、既存政党ではなく、ルペンの国民戦線の再浮上になるのではないでしょうか。

 
執筆: この記事はFirstHedgeさんのブログ『FirstHedge 明日の投資情報』からご寄稿いただきました。

寄稿いただいた記事は2018年12月02日時点のものです。

―― 面白い未来、探求メディア 『ガジェット通信(GetNews)』

情報提供元:ガジェット通信
記事名:「パリに巻き起こる「黄巾の乱」は、マクロン大統領を打倒するか?(FirstHedge 明日の投資情報)