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注目のアニメ製作会社「オレンジ」のモーションキャプチャ技術を体験&井野元社長インタビュー『モンスターストライク THE MOVIE ソラノカナタ』



スマホアプリ「モンスターストライク」(以下、モンスト)を、完全オリジナルストーリーで映画化した劇場版アニメ『モンスターストライク THE MOVIE ソラノカナタ』(以下、『ソラノカナタ』)が初登場1位を記録し、現在大ヒット上映中です。


本作は全編3DCGアニメーションで展開されているのですが、この制作を担当したのが、テレビアニメ『宝石の国』で注目を集めた制作会社「オレンジ」。アニメの制作段階でモーションキャプチャを使い、先に録った声優さんの声に合わせてキャラの動きを付けていく「プレスコ」という、日本国内のアニメーションでは珍しい作り方をしているのです。


今回、ガジェット通信では「オレンジ」を訪問し、実際にモーションキャプチャを体験! 「オレンジ」代表・井野元英二さんのインタビューでは、作品作りのこだわりを伺いました。


自分の動きがダイレクトに3DCGになるモーションキャプチャのすごさ



今回、モーションキャプチャを体験させていただいたのは、ガジェット通信のオサダ記者。自分の体にぴったりとあった特性スーツを着て、頭にはヘアバンドを付け、頭のてっぺんから足のつま先まで、ダイレクトに動きを読み取ることが出来るのです。



オサダ記者が動けば……



モニターの中の3DCGも一緒に動く!



ジャンプしても、一緒にジャンプ!



た〜のし〜!!!



この撮影エリアには、棒やボール、自転車など様々な物が置いてあり、棒を振った時の様子や自転車を漕いでいる時の体の動きをそのまま拾える様になっています。オサダ記者が持っている棒は、編集後、剣などに変わるというわけ。


この体験の様子はぜひ動画でご覧ください!


【動画】『モンスターストライク THE MOVIE ソラノカナタ』アニメ制作会社・オレンジでモーションキャプチャ体験してきた

https://www.youtube.com/watch?v=F0nxC6O5gL0



「3DCGを使えばスーパーアニメーターがいなくてもクオリティが高まる」井野元英二さんインタビュー



――今回は、モーションキャプチャ体験という貴重な機会をありがとうございました! オサダ記者がスーツを着て、色々な動きを撮影させていただきましたが、これがアニメーションになるまではどの様な工程で進んでいきますか?


井野元:まず「レイアウト撮り」というものを優先的に行うんですね。その為にモーションキャプチャで収録して、そのままほぼ加工せずに配置してみて「このカットがこれで成り立つのか」を検証します。それでいけるとなったら、美術さんにガイド出しをして、モーショーンを詰めていきます。その後は、ボディの動きの修正、顔の修正、髪の毛の修正と重ねていって、テイク的には5から7テイク。10回は行かないくらいでしょうか。


――なるほど。モーションキャプチャで撮ったものは一度そのまま配置してみるのですね。「オレンジ」ならではのモーションキャプチャの使い方を教えてください。


井野元:大抵の場合、モーションキャプチャを使う際には役者さんにお願いするのですが、オレンジの場合は役者さんは使わず、素人であるスタッフが一生懸命動いてやっているんですね。なぜそれで成立するかというと、モーションキャプチャを撮って、それをそのまま使うわけではないからです。元素材は料理でいうと、調理前の野菜や肉といった感じで、それにどんどん手を加えていくことでアニメという料理になると。


――スタッフの皆さんが体を動かすメリットはどんなところにありますか?


井野元:アニメの動きを理解していないとなかなか難しいという部分があって。特撮の役者さんなどは動きを理解している方も多いと思うので、今後はお願いすることがあるかもしれませんが、役者さんよりはアニメのレイアウトを理解している自社のスタッフにお願いしたほうが早いだろうというのが今の状況です。うちの場合、アニメーションの音声を収録して、その音声に合わせて演技をしてもらうので、そういった事に役者さんは慣れていないというのもあるかもしれません。


――『ソラノカナタ』は、前作の劇場版アニメ『モンスターストライク THE MOVIE はじまりの場所へ』(以下、はじまりの場所へ)から比べるとガラリと雰囲気が変わった作品ですが、どの様な部分を工夫したのでしょうか。


井野元:監督と『モンスト』の運営元であるミクシィのXFLAG さんで、どういうアニメーションにしようかと話していた時に「絵作り」が中心に決まっていったそうなんです。『はじまりの場所へ』(2016)では温かみのある絵が使われていたのですが、今回はカッコいいシーンも増やして、観ていただける年齢層の幅を広げようと、途中からオレンジが参加させていただくことになりました。


うちとしても、初単独元請け作品となったテレビアニメ『宝石の国』を無事に終わらせられたという経験があって、次は劇場アニメにチャレンジしてみたいなと思っていたので、ありがたいお話でした。


――『宝石の国』私も大好きですし、とても美しいアニメーションでした。本作は劇場アニメですから、劇場アニメならではの苦労した点もあったのではないでしょうか。


井野元:『宝石の国』だと閉鎖された空間で、宝石キャラクターは漫画の設定からして頭身が全て一緒だったので、CGとして作りやすい作品だったんですね。今回の『ソラノカナタ』には多種多様なキャラクターが登場して、色々な場所に行ったり来たりするのと、作画とCGが混在するカットをバランス良く出来るのかという所は課題でした。また、爆破・破壊シーンというのはアニメ制作では煙でごまかしたりすることが多いのですが、「逃げずに描きたい」というチャレンジをして。今後の表現に活かす為にも破壊シーンにはこだわりました。


――そういうチャレンジがあると、現場から悲鳴があがったりすることもあるのですか……?


井野元:(笑)。私自身、CG打ち合わせとか演出打ち合わせで、「ここは煙にしましょう」と逃げようとすることもあります。今回はVFXの山本というスタッフがぜひやりたいという強い気持ちがあって、会社としてもいつかは対面しないといけない問題だと思っていたので、今回挑戦して良かったです。


――井野元さんはご自身がもともとCGクリエイターで、オレンジという会社を立ち上げられたわけですが、日本のアニメをこう変えていきたいといった想いはありますか?


井野元:今後日本のアニメーションをCGで作っていく上で、どういう表現がベストなのか、というのは各社模索している所だと思うんです。正解というのはなくて、アメリカでは「ディズニーだったらディズニーの動かし方」という方法論が確立しているのですが、日本のアニメにCGが入ってきたのはそこそこ20年くらいなので、決まり切れていないんですよね。そしてCGアニメというのが視聴者の理解を得られない時期もあったり、作画と同じ様にCGを使うのが良いんじゃないかと考えられていた時期もあったり。


CGであるメリットを出していかなければ、CGを使う必要性は無いと私は思っていて、もっとCGをうまく使えば、人間の感情をリアルに表現することが出来るのではないかと。作画の世界でいう、宮崎駿さんや細田守さんの様なスーパーアニメーターがいなくても、CGを覚えれば色々な表現が出来るんじゃないかと、そういう事も考えています。


――3DCGの技術や扱える人が広がることで、アニメ表現の幅も広がるということですね。今日は貴重なお話をどうもありがとうございました!



『モンスターストライク THE MOVIE ソラノカナタ』大ヒット上映中

C)XFLAG


―― 表現する人、つくる人応援メディア 『ガジェット通信(GetNews)』
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